ふと目の前に、そこにいないはずの知り合いとそっくりな人がいたら、驚きますよね。
「いないはず」と思えば思うほど、思い切って声をかけようか、迷うところです。
ドッペルゲンガーという現象をご存知でしょうか。
古くから、神話や、伝説、迷信といった中で語られてきた、自分もしくは知っている誰かが、いないはずの場所に現れる現象です。
そして、自分のドッペルゲンガーを見ると、それは「死の前兆」と恐れられてきました。
そんな不思議な体験をしたある人がいます。
ふと目の前に、そこにいないはずの知り合いとそっくりな人がいたら、驚きますよね。
「いないはず」と思えば思うほど、思い切って声をかけようか、迷うところです。
ドッペルゲンガーという現象をご存知でしょうか。
古くから、神話や、伝説、迷信といった中で語られてきた、自分もしくは知っている誰かが、いないはずの場所に現れる現象です。
そして、自分のドッペルゲンガーを見ると、それは「死の前兆」と恐れられてきました。
そんな不思議な体験をしたある人がいます。
産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中している『夕焼けエッセー』。
一般の方が投稿する600字のエッセーです。
その中で、ある不思議な体験をした人のエッセーが掲載されました。
「ドッペルゲンガー」
ふと目覚めると、そこに弟がいた。朝の通勤ラッシュ。いるはずのない弟の姿に、脳が一気に覚醒する。「なんでいんの?」と言いかけてもう1人の自分が袖を引っ張る。ちょっと待って、もっとちゃんと確認して。
弟は去年東京に就職した。今ごろ京葉線で、通勤ラッシュに揉まれているはずで、関西にいるわけがないのだ。しかし、本社は大阪にあるらしく、出張というのもありうるのだ。数日前に火鍋とタピオカミルクティーの写真で「飯テロ」LINEがきていた。中国出張から帰ってきたところだと言っていたが、営業マンというのは、そんなに頻繁に出張するものなのだろうか。
視線を弟らしき人に戻す。切れ長の一重、スッと通った鼻筋、厚めの唇、身長の割に小さな手、極限まで噛んだらしい平べったい爪。寝ぼけて頭がおかしいのだろうか。とにかく似ている。とりあえず、LINEしてみなよ!ともう1人の自分。『もしかして今関西おる?』と送ると、すぐに既読がついた。
『おらんわ』。すよね。ということは、あれが噂のドッペルゲンガーというやつか。
電車がホームに滑り込む。席を立とうとすると、弟のドッペルゲンガーと目が合った。彼は体をひねり、道を開けてくれた。その背中が、弟より少し小さかった。いつも1つのいすに2人で座ってYouTubeの怖い動画を見ていた。怖いのは苦手なので大半は弟の背中を見ていた。あの背中ではなかった。
その日はなんだか体が軽かった。自分のドッペルゲンガーを見ると死ぬと聞いたことがあるが、家族のドッペルゲンガーはどうやら元気をくれるらしい。
(京都府 25歳)
朝の世話しない通勤ラッシュ中、幻のような、現実のような、不思議なものを見たこの人は、弟の懐かしい背中を思い出し、元気をもらったようです。
顔付きや、手の形はそっくりでしたが、自分が見ていた背中とは少し違い、却ってそれが懐かしい記憶を呼び起こした、そんな時間になったのですね。
それにしても、家族が間違うほどに似ていたその男性は、一体なんだったのでしょう。
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