今年1月の成人の日以降、神奈川県警には「はれのひ」(横浜市中区、破産)に関する新成人や家族らからの相談が400件以上、寄せられた。「多くの新成人の被害者がいる。あらゆる手を駆使して立件する」(捜査関係者)-。県警は社会的反響の大きさも踏まえ、捜査2課を中心に、1月中に同社の経営実態の把握に着手。半年ほどで元社長(55)を詐欺容疑で逮捕した。
立件に当たり、被害者に据えたのは金融機関。虚偽の財務書類を示し融資金をだまし取った疑いに着目した。昨年11月には同様の手法で警視庁が経営破綻した格安旅行会社「てるみくらぶ」を同容疑で立件した先例もあった。
県警はこれを突破口に「新成人に対する不当行為についても厳正に対処する」(幹部)構えだ。一方で、ハードルは高いと指摘する声もある。捜査関係者は一般論と前置きした上で「顧客との契約を履行できずに破綻する企業は無数にある。『だます意図』を立証するのは相当難しい」と漏らす。新成人がはれのひ側と契約した内容や時期もさまざまで、「被害者と、そうでない人の線引きをせざるを得ない」とも明かす。
債権者集会では、同社側に資産はほとんどなく、債権者への配当は不可能との見通しが示されており、新成人の被害救済が進むかは見通せないのが実情だ。
2016年春ごろより、信用調査会社である東京商工リサーチに、てるみくらぶの信用情報に対する問い合わせが増加していた。東京商工リサーチは2017年3月23日から取材活動を開始。3月24日の時点で、本社、福岡支社、名古屋支社、大阪サロンが営業を停止していることを確認。本社の従業員は非常用階段を使って出入りしていた。さらに東京商工リサーチの取材において、てるみくらぶのツアーの航空券が発券できなくなったり、ツアー催行が中止されたりするなどのトラブルが発覚した。
観光庁も、この件の調査を開始し、同26日に立ち入り検査を行った。観光庁によると、ハワイのホノルルでは、現地の在アメリカ合衆国日本国大使館総領事館に「てるみくらぶを通して、支払い済みのホテル代を請求された」との相談が計3件あり、観光庁は安全確保を理由に、追加の支払いに応じることを勧め、費用が足りない場合は、日本からの送金方法を現地の在外公館大使館または領事館に聞くよう呼び掛けていた。海外旅行保険では旅行先で旅行会社が経営破綻した際、航空券やホテルの代金の入金が確認されず、現地で請求されて支払ったホテル代や航空券代は一切補償されない(航空券代やホテル代の補償は、航空券の代金の支払いが確認され、かつ搭乗予定便が欠航となった場合のみ補償される)。
3月27日、てるみくらぶは東京地方裁判所に自己破産を申請し倒産(=経営破綻)。同日地裁より破産手続き開始決定を受けた。破産申請時の負債は約151億円。東京商工リサーチが算出している「リスクスコア」(向こう12ヶ月における倒産確率を統計的手法を用いて100から1まで数値化した客観的な指標)は2016年9月以降は、最高リスクである「1」であった。
同時に自己破産を申請した自由自在、てるみくらぶホールディングスと合わせて負債総額は約217億7,795万円となり、旅行業として過去3番目の倒産規模となった。
てるみくらぶにおける旅行者の最高被害額は364万3600円で、最低被害額は5948円であった。ぶっちゃあ、矢部美穂、栗山夢衣などの著名人も被害に遭っている。2017年4月23日には、「てるみくらぶ」の経営破綻で旅行に行けなくなった被害者らが東京都墨田区押上にある WALLOP で初会合を開き、「被害者の会」を正式に発足させた。自らも被害者の1人が発起人となった初会合には、弁護士やTwitterの呼び掛けで参加した15人が会場に集まった。
このように被害にあわれたかたや、事件の経緯が似ているのだ!
カードで払っていればクレジットカード会社への連絡もすぐにした方がいい。
金子氏は「今回、被害者に対し、クレジットの支払いを止めるかどうかは、カード会社各社の判断。(実際振袖のレンタルなどはれのひの)サービスを受けていなければ、『支払いを止めて』と言うことができる場合がある。まずはカード会社に相談を」と呼びかける。
はれのひや会社の対応が不明な状況だが、証拠の保存や状況整理は重要になりそうだ。
てるみくらぶの被害に遭ったという都内の女性(25)は、会社とのやりとりを証拠に、被害から約半年後に代金を取り戻したという。
女性は、てるみくらぶで予約をしていた代金約14万円をカードで一括で払った。
「予約をした際、『今すぐ(数日後)カードで引き落としをすれば、この金額で』みたいなことが書いてあって」
数週間後に、てるみくらぶから「自己破産」のメールを受け取ったという。 弁済の方法をネットで調べ、日本旅行業協会にたどり着いたが、弁済額は少額。そこで旅行の保険会社とクレジットカード会社に連絡をした。カード会社からは、問い合わせから半年ほど経ったころ、返済可能という連絡を受けた。
契約書と書いていなくても、手紙など業者とやりとりしたものも証拠になる」と話す。カードで支払っていれば、支払い明細書や領収書も残しておいた方がいい。
消費者問題に詳しい「ともえ法律事務所」の寺林智栄弁護士によると、契約書や重要事項説明書、契約物品の明細のほか、メールのやりとり、試着時の写真なども貴重な証拠になる。証拠は、はれのひに正確な被害金額を示すとき、購入者が着物を取り返すとき、民事裁判など、あらゆる場面で重要になる。
横浜市と八王子市の消費生活センターには、成人の日から4日経った1月12日も、1日で43件、契約額約1400万円分の相談が寄せられた。問題発生以降、両センターに累計484件、契約総額約1億5660万円分の相談が寄せられた。
こうした多額の契約総額や行方不明の貴重な品物、「もし、それらの物が返ってきても、今回はそれで済まないケース」、それならばせめて、救済の措置が広がることを願う。
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