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【13歳で誘拐され結婚】ネパールの「最下層民」と言われる”ダリット”の少女たち

廃れてほしいと、少女が願う「習慣」とは?
2016/07/28 UPDATE
 
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13歳と聞いて、皆さんは何を想像するだろうか。

年齢からすると、日本では中学1、2年生に該当する。

中学校から始まる数学に四苦八苦したり、部活の練習に打ち込んだり、
友人達と好きな異性の話題で盛り上がったりと、楽しそうな雰囲気がある。

同じ13歳でも、ネパールに暮らす”ダリット”と呼ばれる最下層民の少女達は、
誘拐されて強制的に結婚を迫られている………。

「最下層民」の集落

数年前の凍てつく夜、当時13歳だったススミタ・カミさんは夫の家を
ひそかに抜け出し、ネパール北西部の片田舎にある両親の家まで走り続けた。

その理由とは、何だったのか。

同国の「最下層民」とされるダリット(Dalit)の集落では、10代の少女の多くが強制結婚の伝統的風習に従うことを期待される。ススミタさんは自分の意志に反する結婚から逃れた後、直ちに脅威にさらされた。夫の実家が両親に、ススミタさんを返してくれと要求したのだ。しかしススミタさんの両親はこれに拒否し、より良い人生を送りたいと切に願う娘の力になることを決意した。

 現在16歳のススミタさんはAFPに対し、「親には、結婚なんかしたくない、(夫の家には)戻らないと告げました。逃げてきたのは、学校に戻りたかったからです」と語った。

児童婚

1963年に児童婚が禁止されたネパールだが、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、18歳未満で結婚させられる少女の割合は現在も10人中4人に上り、低所得層であるダリットではこの比率が上昇する。主流派の人々から敬遠されているダリットは遠隔地に居住しているため、その風習がとがめられることは皆無に近い。

 2012年に非営利人道支援団体のプラン・インターナショナル(Plan International)とセーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)、ワールド・ビジョン(World Vision)が行った調査では、ダリットの少女4人中3人が、10代または10代になる前に結婚している実態が明らかになった。少女が結婚相手として男性に誘拐される例も後を絶たないが、文化的慣例であるため反対する家はほとんどない。
ススミタさんは、まきを集めている最中に誘拐され、その4日後に結婚を強いられた。ススミタさんの母親のジャダネ・カミ(Jadane Kami)さんも、10代でこうした試練に耐えることを余儀なくされた。「これがわたしたちの文化。こうしなければ少女たちが駆け落ちし、よその集落に行ってしまうという不安があるのです」と、当初は娘の強制結婚に反対していなかったカミさんは語った。

 ネパールでは10年間の内戦を経て王政が廃止され、民主政治への移行が進んでいるが、ダリットの児童婚は根強く残っている。

隔絶された居住地

チベット高原(Tibetan Plateau)との境にあるフムラ(Humla)区の中心地シミコット(Simikot)では、ダリットの人たちが隔絶された居住地で暮らしている。干し草屋根の家屋は、カーストが高いヒンズー教徒や仏教徒の光るトタン屋根の家屋とは明らかに対照的だ。

 フムラ区のバム・バハドゥル・KC(Bam Bahadur KC)副区長はAFPに対し、「ダリットはカーストの底辺にいることから苦難を強いられている。何世紀もの間、他の階級に属する人々との交流を禁止されてきた」と説明した。「これが彼らが孤立を深めた要因なのは言うまでもなく、旧習に固執し、なかなか変化しようとしない」

 当局者によると、ダリットは家計面でも厳しい状況にある。子どもたちは通学をやめて働くことを強く求められ、親たちは農民として生計を立てるのが精いっぱいだ。

 7人きょうだいの長女で18歳のダナ・スナール(Dana Sunar)さんは、クラスで最後に残ったダリットの女子生徒だった。他の生徒らが退学する中、ダナさんは卒業して教師になる夢を持っていたものの、14歳で誘拐され、月収わずか50ドル(約6000円)の18歳の農民と強制結婚させられた。「ずっと泣いていた。目の前の扉が閉じ、自分の夢が破れた気がした」とダナさんは振り返った。

 夫の実家はダナさんに対し、退学して農業と家事に専念するよう圧力をかけた。既に生後6か月の双子の母となったダナさんは、新たな生活が「苦労ばかりの毎日」だと話す。「十分な収入がなく、1日1食のこともある。この子たちをどうやって育てるか見当がつかない」

廃れてほしい「このひどい慣習」

専門家らは、児童婚が破壊的な影響をもたらすと指摘。政府で子どもの人権問題に取り組んでいるクンガ・サンドゥク・ラマ(Kunga Sanduk Lama)氏は、「未成年で子供をもうけると教育がおろそかになる上、母子ともに健康問題を抱えることになる」と警告した。

 法律も無力だとラマ氏は言う。書類や写真、証人の証言など、強制的に結婚させられた事実を裏付ける証拠がないと処罰を求めることができないとされているためだ。そこで、ラジオ番組や街頭劇、放課後の児童クラブを通じて問題意識を高める活動が重点的に行われている。

 もっとも、既に伝統の被害者となった少女たちにこのような啓発プログラムは不要だ。現在9年生のススミタさんは、「このひどい慣習」が廃れてほしいと強調した。

 靴修理職人として月に80ドル(約9600円)を稼ぐススミタさんの父親は、制服代が45ドル(約5400円)もかかる学校に通わせるのは厳しいと認める。しかし今はススミタさんに学業を続けさせるため家族であらゆる手を尽くす考えだと述べた。

 母親のカミさんは「娘に自立の機会を与えたい」と語った。「娘が逃げたのは正しいことだったと思う。私は自分に選択肢があると感じたことは全くなかったから、娘は私より勇気がある」(c)AFP/Ammu KANNAMPILLY

親の決めた相手と無理矢理結婚させられたという話は、昔の日本にも確かに
存在した。

しかし、ただ日常生活を送っていただけなのに誘拐され、結婚を迫られ、
学校も辞めさせられるという話は、日本では聞いたことはないだろう。

”人権”とは何なのか、何のために”結婚”はあるのか、今一度考えさせられる事案である。

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