世界最大級の淡水魚といわれる「アリゲーターガー」が大阪や埼玉など日本各地で目撃されている。生態系を崩すおそれがあるとして、今年、特定外来生物に指定される方針が決定された。いったいどんな魚なんだろうか?
■愛知県・名古屋城、このお堀に“ある巨大生物”がすみ着いているという。その名は「アリゲーターガー」という巨大な淡水魚。まだらな模様に、ワニのような口、そしてとがった歯。体長は1メートルをゆうに超える大きさだ。
■なごや生物多様性センター・寺本匡寛さん「ここに生息しているはずのない生き物ですので、誰かが放した可能性が非常に高い」。7年前からお堀で生息していることが確認されているという。
■先月、埼玉県の荒川では、釣りが趣味の大学生が、全長91センチ、重さ12キロのアリゲーターガーを捕獲した。口の中をみてみると、鋭い牙が無数に生えていることがわかる。
■アリゲーターガーは、もともと北米や中南米などに生息。ワニのような姿から90年代に熱帯魚ファンの間で人気になった古代魚だ。魚のほか、水鳥など小動物も食べ、大きいものでは、全長3メートルにもなるという。
■横浜・八景島シーパラダイス・安部さん「非常にどう猛な性格でして、水槽で、少し手を動かすと、それがエサと認識されると、手にかみつくケースもありまして、飼育員も何度かケガをしたことある」。
■アリゲーターガーの生態に詳しい生物ライターの平坂さんは「ものすごく成長のスピードがはやくて、1年間で1メートル近く成長して、一般的な家庭では飼いきれなくなってしまう魚なので、もてあまして、たくさんの方が全国各地の色んな川に放してしまった」と、その可能性を指摘する。とくに都会の川は、温かい生活排水が入るため、生息しやすい環境だという。
■環境省は今年3月、生態系を守るべくアリゲーターガーを「特定外来生物」に指定する方針を決定。再来年からはペットとして飼育することが原則禁止となる予定だ(※指定前から飼育していたものは事前申請すれば可能)。
■再び名古屋城。1メートルを超えるアリゲーターガーが発見されていたお堀では、先週末、市民団体などが、網での捕獲に乗り出した。その網にかかったものとは?
今回の捕獲劇は情報番組の撮影クルーも同行する大掛かりなものであったが、二人は見事に期待に応えて見せた。
兄弟によると、昨夏から頻繁にアリゲーターガーの姿を見ていたという。この場所に二個体が居ついていることを突き止めていたほか、同水系の別エリアでも大型のアリゲーターガーを目撃しているという。
アリゲーターガーは成長すると2メートルを超える大型魚で、一般的な家庭での終生飼育は困難である。だがその一方で小指ほどの可愛らしい幼魚が安価で大量に出回っている。そのため、衝動的に入手した飼養者、あるいは大量に仕入れた販売業者が後々になって持て余し、河川や湖沼へ密放流するケースが後を絶たない。
今回捕獲された二個体も同様の顛末を経て寝屋川に住み着いたものである可能性が高い。
本種は気候が近しい北米原産であるため、日本国内でも越冬が可能で、繁殖・定着の恐れもある。こうした特性から、環境省は2016年3月に他のガー科魚類ともども外来生物法が定めるところの特定外来種に指定する方針を発表した。なお、ガー科魚類は飼育者が多い魚であることからおよそ二年間の周知期間を設け、実際の規制開始は2018年4月からとなる。
なお、捕獲されたアリゲーターガーは鹿児島大学へ研究資料として寄贈された。
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