その日は、イギリスのバーミンガムからプリマスに向かう、混雑していた電車に座っていたサマンサ・ウェルチさんと、3歳になる息子のライアンくん。
二人は6時間かけて目的地に向かう間、幼い息子が退屈しないようにゲームなどをし、さらに近くにいた他の乗客とも楽しく会話をして過ごしていました。
そして、人懐こい息子のライアンくんは、他の人たちに向かってお元気ですかと聞いて回ったり、すてきな髪型ですねと言ったりしていたそうで、母親のサマンサさんは「彼は人を褒めるのが好きなの」と、語りました。
サマンサさんはまた、電車に乗っている間、息子に様々なマナーについて言い聞かせていました。
例えば…せきをする時は、手で口を押さえたほうが良いことや、売店で買うときは、「お願いします」や「ありがとう」の言葉を忘れないことなどといったことです。
そんな中ふとサマンサさんが前を見ると、向かいに座っていたメガネをかけた男性が、電車を降りようと立ち上がりました。
そして、彼がサマンサさんたちの前を通り過ぎようとしたとき、彼は「これ、カバンから落としましたよ」と言いながら、折りたたんだメモをサマンサさんに渡したのです。
そのメモを開いてみると…
「これで何か美味しい飲み物でも買ってください。あなたは子どもに責任感をもって接していました。丁寧で、そして良いマナーを次の世代に伝えていた姿に感動しました。PS、私にはあなたと同じくらいの年齢の娘がいます。私もかつて知らない人から同じことをしてもらったことがあるんです。娘も子どもができたらあなたのように立派な母親になってほしいものです」
そこには5ポンド札が挟まっており、このようなメッセージが添えられていました。
出典: www.imishin.jp
この予想もしていなかったメッセージを、受け取った23歳のシングルマザーのサマンサさんは、心から感動したといいます。
彼女は、常にライアンくんに対して、正しく接しているか不安だったようで、シングルマザーでまだ若い自分自身であるために、この子に対して厳しすぎるのではないかや、時には甘やかしすぎているのではないかなど、心配だったとのこと。
そしてそこには、常に正しくあるべきだという気負いばかりが先に行っていて、だからこそ、他人に『あなたがやっていることは正しい』と言われたとき、それですべてが楽になったといいます。
この言葉は、いつも悩んでいた彼女に勇気を与えました。
そこでサマンサさんは、何とかこの感謝の気持ちを伝えようと、Facebookを使って帽子とメガネをしたあの男性を探し始めました。
すると1週後、努力は実り…あの時出会った紳士は、現在50歳で4人の子どもを持つケン・サンダースさんという、男性であることを突き止めたのです。
彼はあの日、一週間の仕事のストレスを抱えて電車に乗っていたところ、若い母親とその子どもを見かけ、無気力だった日常に一筋の光が差した思いがしたといいます。
「私の夜を明るく照らしてくれたのが、彼女だったんだよ。それならば、今度は私があの子の夜を照らしてあげられれば、そう思ったんだ」と説明します。
自分のしていることや、教えていることが、果たして間違っていないのか。
子供を持つ親なら誰もが思い、悩んでいることと思います。
それが、自身も若くシングルならなおさら、全ての責任は自分自身にあります。
そんな彼女でしたが、決して間違っていなかったことを認めてもらい、どんなに感謝とこれからの勇気となったことでしょう。
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