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娘の命か嫁の命究極の選択を迫られたそして下した決断とは……

【究極の選択】「娘の命」か「嫁の命」か。究極の選択を迫られた俺と嫁→そして2人が下した決断とは……
2018/04/05 UPDATE
 
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娘の命か嫁の命究極の選択を迫られたそして下した決断とは……

ある家族の、大きな決断のお話

嫁への報告も終わったし、

娘夫婦も自宅から帰っていったから

お前らちょっとおっさんの

昔話に付き合ってくれよ。

そんなに時間は取らせないから。

なんとなく今日は、誰かと

話していたい気分なんだが

あいにくこういう時に

頼れる友人がいないからさ(笑)

嫁とは中学校の同級生で高校から

どちらが言い出したともなく

自然と付き合い始めた。

幼馴染っていうよりかは、

腐れ縁に近いかもしれない。

俺も嫁も、別に美男美女って訳じゃない

どこにでもいる普通の男と女。

でも、今だから思うのは

本当に俺が嫁にベタ惚れだったんだなってことだ。

そういや他の女なんかには目もくれなかった。

それは嫁も一緒だったらしいな。

ずーっと俺のことだけを見てくれて、一緒だった。

自惚れじゃなくて、事実だと思う。

お互い大学は別だったが、

俺の就職を機に同棲して1年後に結婚。

その半年後に妊娠判明。

俺たちは、絵に描いたかのような

「模範的夫婦」だった。

そんなある日、嫁が

「ちょっと一緒に病院へ来てほしい」

と言い出した。

幸せは一気にどん底へ

よく、お腹の中の子とか

見れるじゃないか

そういうのを一緒に見るのかなー

なんて思ってたんだけど

その日、病院には俺の両親や

彼女の両親も呼ばれていた。

「奥さんの命を優先するなら、

子供はあきらめるべきです。」

その場にいた全員が、

医者に言われた言葉は

ドラマやマンガの世界でしか

聞いたことのないようなセリフだった。

嫁の両親からすれば

「嫁の命」って答えるだろう。

一人娘だし、いまだに親父さんは

娘離れが出来てないくらいに

嫁にべったりだし。

俺の親だって、孫を楽しみにしてたが

「嫁ちゃんの命には代えられない」

っていう空気だった。

俺自身も、嫁が居なくなるなんて

考えたくもなかった。

本当に断腸の思いだったけどな、

でも仕方がないんだ。

嫁の命には代えられない。

誰もが

「赤ちゃんをあきらめる」

っていう選択に異論はなかった。

たったひとりをのぞいては。

嫁はもう、医者からことの顛末を聞いていた。

「子供の件だけどさ…」

「私産むからね!」

「お前、産んだらどうなるかわかってるのか?」

「うん」

「それでも産みたいのか」

「うん」

昔っから、

一度言い出したら

聞かない奴だったから

こうなったらどうしようも

ないってのは

俺が一番よく知ってたけど

さすがにこの時ばかりは

死ぬ気で説得した。

俺の両親も、嫁の両親も

事の重大さを嫁に説明したけど聞かなかった。

「もちろん死にたい訳ないじゃないよ

でもね、私とあなたの子供が

死んじゃうのはもっと嫌だから

それにあなたなら、

ちゃんと育ててくれるでしょ?」

こんなこと言われたら、

誰にも嫁を止めることはできなかった。

結局、こういう時って

助からないってお決まりなんだよな。

嫁は自分が母親になった

感慨に浸る暇もなく逝っちまった。

残されたのは

嫁が居なくなってあらためて呆然としてる俺。

そして嫁の形見である娘。

目元は、産まれた時から嫁にそっくりだった。

(ここで改ページします)

そして始まった、娘との生活

娘にとって母親の居ない生活が

決していいことじゃないのはわかってた。

再婚の話もあった。

見合いも勧められたし

嫁の親からも

「あなたの人生だから」

って言われてたし。

でも俺は全部断ってた。

嫁が今でも好きだったのはもちろんだが

娘を俺の手で立派に育てるのが

最初から最後まで大したこと

何ひとつしてやれなかった嫁に対して

唯一できる嫁孝行

(なんて言葉あるのか?)だろうなって。

もちろん、その気持ちや

思いが独りよがりに

ならないように、努力はしてた。

授業参観はもちろん、親が参加する

学校行事は出来る限り出た。

休みの日はなるべく遊びに出かけて、

寂しい思いをさせないようにした。

料理だって

「下手くそ」から「普通」

くらいにはなった。

今や得意料理は

娘の好きなオムライスだ。

幸い職場も理解してくれていて、

俺のことを後押ししてくれた。

周りからは

「俺さんは本当によく頑張ってる」

ってよく言われた

でも違うんだ。

本当に頑張ってたのは、

周りでも俺でもなく、

娘自身なんだと思う。

ある日俺は、小学校4年生に

なったばかりの娘にこう聞かれた

「ねぇ、なんでウチには

お母さんがいないの?」

ドラマやマンガの世界でしか

聞くことはないだろうって

勝手に思ってたセリフ。

言われる当事者になってみて

はじめて分かったが、ほんと辛いのな。

「お母さんはいないの?」と聞いた、娘の気持ちは…
思わず俺は

「なんでそんなこと聞くんだ?」

って聞いちまった。

そしたら娘は

「なんとなく」

って答えてた。

娘には一応

「母親は娘の小さいころに

病気で死んじゃったんだ」

ってことにしてた。

「お前のお母さんは

お前を産んだ時に死んだんだ」

なんて娘に言える訳ないだろ。

だからこそ尚のことびっくりした、

娘の中では

「病気で死んだ」

ってなってたはずなのに。

「なんでいないのか」

って聞いてくることに。

でもなんだろうな、

小さいながらも女の勘って

ヤツなのかもしれないな。

その時もう娘は本当の嫁が

死んだ理由を勘づいてたのかもしれない。

それ以降、娘が俺に嫁が居なくなった

“本当の理由”

を聞くことはなかった。

本当につらかったのは、

本当に強かったのは、娘なんだと思う。

そして、娘はまっすぐ育った
世間一般でいう反抗期

なんてものはなかったし

学校から帰ってくれば

部活で疲れているにもかかわらず

家の手伝いもよくしてくれた。

女の子特有の悩みは

俺の母や嫁の母に相談してたみたいだし

一番嬉しかったのは、

俺に遠慮しなかったことだな。

欲しいものがあれば

「欲しい」

って言ってくれるし

嫌なことは

「嫌だ」

ってはっきり伝えてくれたこと。

それがなんていうか、

娘が俺を信頼してくれてる

証な気がして、本当にうれしかった。

俺自身そんな娘にすごく

助けられてたんだと思う。

わかる人もいると思うけどさ、

働き始めたら人生ってあっという間だよな。

子供がいると尚のことだよ。

毎日が慌ただしく過ぎて行ってさ。

あっという間の二十数年。

とうとう娘が

「紹介したい人がいる」

って俺に言ってきたんだ。

(ここで改ページします)

立派に巣立っていった娘
旦那はまぁ、

俺が娘バカなことを

差っ引いてもいい男だと思う。

娘が初めて旦那

(当時は彼氏だけどな)

をウチに連れてきた際

俺にあいさつした次に

「是非、お母さんにも

ご挨拶させてください」

って言って、

仏壇の前で手を合わせて

くれたのがすごい嬉しかったよ。

こっからはもうとんとん拍子。

1年後には結婚式。

結婚式は嫁の席ももちろん用意されてた。

俺の隣。

娘の旦那の両親や親せきだけでなく

出席者の人たちも温かく

そんな俺たちを迎えてくれた。

……あのな。

残された人間が

一番やっちゃいけないのは

「もしも生きてたら」

っていう絶対にありえない

「もしも」

を想像することだと思う。

そんなことを考えても、

残された側も、残して逝った側も

辛くなるだけだから。

でもな、

結婚式が終わった日の夜は泣いちまった。

本当は、元気な嫁が俺の隣に居て欲しかった。

立派に育った娘の姿を、嫁にも見てほしかった。

あの日だけは、俺がそう思ったこと

嫁にも娘にも、許してほしかった。

かわいい孫娘の名前は、

娘と旦那から

「お父さんさえ良ければ」

との提案で

嫁の名前が元となりながらも、

ちょっと今風の名前になったんだよ

はじめて聞いたときは

「うまいこと考えたなぁ」

なんてやけに感心したのを覚えてる。

孫を連れて初めてウチに来た時

「お父さんはもう何回も見てるでしょ!」

って言って

真っ先に嫁の仏壇の前に行っちまったんだよ(笑)

「おかあさんの孫だよ。かわいいでしょ?」

まぁ「俺たちの娘」と「俺たちの孫」

だもの、当然かわいいよな!

嫁よりもう娘のほうが年上だもんなぁ。

俺も年を取る訳だよな(笑)

娘も嫁に行って、

家庭を持って、母になって。

いよいよ俺ももう独りぼっちなんだよ。

「お父さんも一緒に住みましょう」

なんて嫁の旦那は言ってくれるけどな

そんな柄でもないし、

何よりちょっとむず痒いしな。

なぁ、嫁よ、

もう少しだけこっちに居させてくれ。

お前のことだから、

気長に待っててくれるよな。

そっちに行ったとき俺とお前の娘と孫の話、

嫌ってほど聞かせてやるから

楽しみに待っててくれよ。

話したいこと、伝えたいこと、沢山あるからさ。

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