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【夏を目前に】お化けよりも人間の方が怖い!! 震えが止まらない実話厳選公開!!【PART15】

人間という恐怖に、ずっと手を掴まれたままでいる。
2016/07/28 UPDATE
 
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逃げても逃げても、どこまでも追いかけてくる。

人間の執念が、一番怖い。

【地元のキ〇ガイの話】ババアは正門前に夕方頃になるといつも立っていた

地元のキチガイの話。

オレが小学生だった頃、地元に有名なキチガイババアがいた。あだ名は『お守りババア』お守りババアは俺が通っていた小学校の正門前に、夕方頃になるといつも立っていた。

お守りババアは一年中厚手のコートを着ていて、同じくいつも被っているフェルトの帽子には、たくさんの小さなぬいぐるみが縫い付けてあった。

コートも帽子も原色まんまの赤一色で、教室から校門を見ただけで、一目でお守りババアがいる事が分かった。

お守りババアはいつも両手を体の脇にぴたりとつけた気をつけの姿勢で、その姿勢を崩す事は決してなかった。いつから入浴をしていないのか、お守りババアの周りにはいつもアンモニア臭がきつく漂っていた。


そんなお守りババアがお守りババアと言われるゆえんは、

「お守り作ったけ、もらってくんろ」

と通りかかった小学生に声をかけてくる事からだった。高学年や親にお守りババアの事を話しても、いいから気にしないで無視して関わるな、と誰もが言われていた。

単純に不気味だったからと言う事もあったが、そのせいでほとんどの子がお守りババアを無視して日々を過ごしていた。

そんなある日、オレの学年に転校生がきた。そいつは初日から鼻息が荒く、意地っ張りで向こう見ずな奴だった。

今思えば、転校生だからとナメられたくなかったのだと思うが、そいつはいろんな事にすぐ張り合ってくる奴だった。

「なあ、夕方に校門前にいるおばさんなんなの?」

そいつが転校してきて何日か過ぎた後、オレのグループが昼休みに校庭で遊んでいると、突然転校生がオレのグループに声をかけてきた。

どちらかというとおとなしい子が多かったオレの学年の中で、オレのグループはやややんちゃな奴が集まり、良くも悪くも学年の話題の中心にオレ達のグループはいた。

今思えば、友達がまだ出来ていなかった転校生は、オレ達のグループと仲良くなれば早く学年になじめると思ったのだろう。

オレ達は突然の乱入者に途惑いながらも、お守りババアのことを転校生に教えた。

初めは真面目な顔をしていた転校生だったが、オレ達が腫れ物を触るようにお守りババアの事を話す様子を見てか、徐々にオレ達のグループにかみつき始めた。

「臆病だな。オレはそんなババア怖くも何ともないよ」

こちらをさげすむように言う転校生に、だんだん腹が立ってきたオレ達は、じゃあ、とお守りババアからお守りをもらってきたら、オレ達のグループに入れてやると意地の悪い事を転校生に言った。

初めは何のかんのいって断ろうとする転校生を、オレ達も悪のりし始て、もらってこなかったらお前が実は臆病な奴だと言いふらすと言ってしまった。

そうしてその日の放課後、転校生は後ろからはやし立てるオレ達に追われるようにして、お守りババアに近づいていった。お守りババアはその日も校門から出てくる子供達に、

『お守り作ったけ、もらってくんろ』

と、何度も何度も同じ調子で繰り返していた。

転校生は時おり泣き出しそうな顔でこちらを振り向いていたが、腕組みをしてニヤニヤ笑いながら見ているオレ達の様子を見て覚悟を決めたのか、早足でお守りババアの前に進んでいった。

「お守りください!」

うわずった声で怒鳴るようにお守りババアに声をかけた転校生の方を、お守りババアはゆっくりと向いた。

「手作りだっけ、大切にしてくんろ」

そういうと、お守りババアは帽子を手に取り、その中からフェルトで縫った赤いお守りを取り出して転校生の前に突きだした。

転校生は何度かためらった後、奪い取るようにお守りを受け取ると、オレ達の方に駆け寄ってきた。

汗を浮かべて青ざめた顔の転校生にオレ達は何も言えず、ただぼうぜんと転校生の顔を見つめていた。

「ありがとな。大切にしてくんろ。ありがとな。大切にしてくんろ、ありがとな。大切にしてくんろ。ありがとな。大切にしてくんろ。ありがとな。大切にしてくんろ」

ぼうぜんとしているオレ達の前で、突然お守りババアが同じセリフを大声で繰り返し始めた。オレ達は突然ものすごく怖くなり、叫びながら裏門に向かって全速力で走ってその場を後にした。

裏門のある校舎裏に逃げ込んだオレ達は、息を切らしたまま、汗だくで引きつったお互いの顔をじっと見つめていた。

しばらくして恐怖感が薄れると、思わず吹き出してしまい、オレ達は腹を抱えて笑いあった。そこには当然、その日の主役の転校生もまじっていた。

「なあ、お守り開けてみようぜ」

誰が言い出したのか覚えていないが、逃げ出すほどの恐怖感を味わった反動なのか、逆に妙な興奮状態になっていたオレ達は、転校生の手に握られたお守りを囲うように身を寄せ合うと、ニヤニヤしながらお守りのヒモをゆるめて中身を取り出した。

お守りの中には、一枚の紙が入っていた。

『この子が早く死んで、敬子とあの世で遊んでくれますように

敬子が好きな事
①折り紙
②一輪車
③縄跳び

敬子が好きだった赤色になるように、血まみれでこの子が死にますように』

さっきまでの興奮状態はすぐに引き、逆に鳥肌が全身に立った。

その紙を取り出した転校生はぶるぶる震えだし、紙を凝視したままぼろぼろ涙をこぼし始めた。オレ達はそんな転校生の様子を見ても何も言えず、ただ同じように紙を凝視していた。

すると突然、転校生が誰かに強く髪を引っ張られ、校舎裏の地面に引きずり倒された。振り向くと、そこに鬼のような形相をしたお守りババアが、転校生の髪をつかんでオレ達の後ろに立っていた。

「大切にしてくんろぉ!!大切にしてくんろぉ!!大切にしてくんろぉ!!」

お守りババアは転校生の髪をつかんだまま腕を振り回し、転校生は恐怖で口から泡を吹きながら、髪をつかんでいるお守りババアの手にしがみついていた。

パニックになったオレ達は何度もゴメンナサイ!と叫びながら、転校生を振り回すお守りババアを止めようと、アンモニア臭がきついお守りババアの体に泣きながらしがみついた。

やがて騒ぎを聞きつけた先生達が駆けつけ、お守りババアは先生達に取り押さえられた後、警察に引き渡されていった。

事情を聞くために警察署に言ったオレ達は、しゃくり上げるほど泣きながら、その日の出来事を警察官に隠さずしゃべった。

オレ達を迎えにきた母親達は、オレ達が無事である事にほっとすると、何度も平手で頭を叩いてきた。

「だから関わるなって言ったでしょうが!」

涙を流しながら頭を叩いてくる母親を見て、オレ達は調子に乗って転校生をたきつけた事を後悔した。

その日の夜、帰宅した父親にオレはコブが出来るほどきつくゲンコツを食らい、この事件の事もお守りババアの事も、二度と口にしないようきつく約束させられた。

翌朝会ったグループの友人達もコブが出来ていたり、青タンを作っていたりしていて、みんな一言も昨日の事件について話そうとしなかったので、どこの家も同じような状況だったのだろう。

そしてその日以来、転校生は学校に来なくなった。事件から一週間ほど過ぎた後、オレ達は担任の先生に呼び出され、転校生をイジメただろうと問い詰められた。

オレ達は否定したが、その日、転校生の親が学校に乗り込み、転校生がイジメが原因でおかしくなってしまったと騒ぎ立てたらしい。

そうしてオレ達の親は学校に呼び出され、当事者の親たち同士の話し合いの末、結構な額の慰謝料を転校生の親にオレ達の親は支払った。慰謝料が支払われると、転校生は再び転校していった。

お守りババアも、その後二度と校門の前に現れる事はなかった。

結局、名前すら覚えてあげられないまま転校した彼がどうなったのかも、お守りババアがなぜあんなものを配ろうとしていたのかも、オレは今も知るよしもない。

暴漢を返り討ちにしてやった話

結構昔だけど19歳くらいで専門学校の学生だった頃の事。

学校にはバイク→電車→徒歩で通学していた。

駐輪場がいっぱいの時は、そこらの自転車とか寄せて停めるしかないんだけど、田舎のちょっと大きめの駅だと駐輪場とか溢れかえるくらい多い。

そんな時はもう駐輪ゾーン横にでも適当な場所に停めてロックしておくしかない。まあそこすら溢れてるんだけど。

ある日、帰りが遅くなりバイクを停めていた駅に着いたのが21時くらいになった。駐輪場へ入っていくと結構遅いから駐輪スペースはガラガラ。(放置自転車があるからそれなりにはあるけど)


混雑してる時に停めたので、スペースなくてかなり遠くに置いてあったんだけど、そこへ近付くにつれて違和感を感じた。

ガラーンとした駐輪場に残ってる自転車もなんか変な気がした。倒れている物も多い。見られている気配というのか、周りが妙に気になった。

サッサと帰ろうとバイクに荷物を入れてロック外して駐輪場から出そうとしていると、ん?なんかすげー重い。確認すると後輪がパンクしていた。

嘘だろ。スポークホイールだぞ、チューブだから修理できないし帰れないじゃないか。タイヤを見てみると、パンク傷が思いっきりナイフなどで切られた痕だった。。

「……か…よ…邪魔……とこに……てんじゃ…ねー…よ」

と突然声が聞こえた。ビクッとして立ち上がると、駐輪場の中に人が立っていた。

照明は一つ一つ離れていて少し暗いが、照明の下はよく見える。そいつは照明から少し離れたところにいてたが、背が高く細い奴のようだった。

誰もいない駐輪場に、にょきっと突然人が出てきてゾクッとしたが、こっち見てなんかしゃべってるのがわかると普通の人間だとわかり少しホッとした。

ホッとするんじゃなかった。そいつは突然こっちに走ってきた。

照明の下を通った所で見えたが、手に小さなナイフ持って振り回してやがる。漫画みたいにブンブンあほみたいに。空を切るそれはなんの意味があるんだ。

その時はそんな余裕もなく、うわー!とあわてた。

「お前らの自転車邪魔なんだよぉぉぉ!!ここに置くんじゃねぇぇよぉぉ!」

完全にこっち狙ってるのが解ったが、ナイフ持ってる相手に背中向けて逃げるのは無防備でよけいに怖い。

バイクにかけてあったオフロードフルフェイスヘルメットを取り、こっちに真っすぐ走ってくるナイフマンに思いっきり投げつけた。

相手のダメージ考えずに物を思い切り投げたの初めてだ。

メットはこっちに向かってくる奴の顔面にボゴォっと当たり、そいつは「うごぉぉっ!!」って吹っ飛んだ。私のメットはゴロンゴロンと悲しい音を立てて転がっていった。

相手は地面に転がったが、まだナイフを持ってる。私は急いでバイクに縛り付けたバッグを開け、中から取り出した。包丁を2本。

当時調理師専門学校生で、ちょうど偶然包丁を持ち帰る日で、包丁セットの入ったバッグを持っていたのだ。

相手は立ち上がろうとしていたが、脳震盪でも起こしたのか顔にダメージを負ったのかよろよろしていた。そいつに包丁を持って近づいたら、奴はこっちを見て尻餅をついた。

「うぁぅぁぁぁ……やめて」

何を言ってやがる。

ナイフを武器にする奴はその怖さもよく理解しているのか、自分より多い武器におびえたのか、包丁が出刃包丁と柳刃包丁で見た目にも鋭利すぎたのが怖かったのか、完全に逃げ腰で両手で体を支えるような感じ。

これ他の人から見たら完全に私が加害者だよな。そいつを見張りながら携帯で警察に連絡し、警察が来るまで

「ちょっとでも動いたら、ヤルヨ」

とおどしてた。私も怖かったけど、相手が戦意喪失状態で助かった。

警察が到着すると、奴は縮こまってナイフも手放してた。警察は真っ先に私に近づき完全に拘束しようとしてる……。凄く…恐いです。

私は包丁を地面に置き、警察に説明。通報したのも自分だと説明して、携帯見せて納得してもらった。

当時は包丁などもバッグに入れていれば問題なく持ち運びできた。この数年後にナイフによる事件があり、学校や店から持ち帰るなどの理由ですら厳しく取り締まられるようになったようだ。

奴は警察に拘束され、その後奴のナイフを確認し、駐輪場の自転車を警察が見て回ると、残っているほとんどの自転車やバイクなどのタイヤがそのナイフによって引き裂かれていた。

私もバイクをやられたのを調書に書いておいた。

後に相手から弁償をしてもらった。奴の家族がしたのか、届け出た被害者全員にきちんと支払われたようだ。もちろん大事なメット代金ももらった。

警察から聞いたが、そいつも自転車できてるらしく、駐輪場に停める場所がなくて場所を空けるためにやったとかなんとか。

まあタイヤ切り裂かれる所になんかだれも停めたくはないし、それ狙いだったのかな。

洒落にならないのは、夜遅かったとはいえ駐輪場周辺には民家もあるのにあの奇声を聞いて出てくる人もいなければ、通りかかる人もいなかった。

こんな場所で女性が、ナイフを持った男に襲われたら逃げるのは無理だろうなと思った。

その点は駅の方へ連絡しておいたら、卒業前だから1年もたたずに照明が増えて明るくなり、駐輪場も整理されて放置自転車も逐一処理されるようになった。卒業までしかその恩恵には預かれなかったけど。

包丁二刀流は洒落にならないほど安心感があった。

部屋の中に私以外の誰かがいる。

私が大学3年になり、一人暮らしを始めてからしばらくたった時のこと。

独立してから半年もたつと、生活に慣れてきてしまい、悪い面を言うと私は無用心になった。というのも、出かけるときは鍵をかけないで外出してしまうのだ。

部屋には盗られるものもなく、貴重品も金品も置いてない。さらにいくと、鍵を部屋に置いたまま外出することが日常になってしまった。

しかし、ある日のこと。外出から帰ってくると部屋に鍵がかかっていた。かなり焦ったが、とりあえず隣に一軒家を構える大家さんのところへ行った。

この大家さん、年齢がかなり行っていて良い人なのだが頼りない。鍵がかかっていることを伝えてマスターキーを出してと頼んだところ、どうやらなくしてしまったらしい。


私の部屋を開けられる鍵は全部で3つ。私が持っている鍵と、大家さんのマスターキー、そして私の実家で預かっている鍵。

しかたがないので1時間かけて実家に帰り、鍵を借りて、ようやく帰宅することができた。

ここで謎が残るのだが、誰が鍵を閉めたのか、という点。可能性として一番高いのは、私なのだが、帰宅すると部屋に鍵は落ちていた。つまり、鍵がかかっている間、ずっと私の鍵は部屋の中にあったのだ。

大家さんに問いただすと、誓って鍵をかけてないと言う。そうなると、ある可能性が浮上してくる。考えたくもない恐ろしいこと。部屋の中に私以外の誰かがいる。

私の部屋はとても狭く、人が隠れる場所は風呂場とクローゼットぐらい。不気味な気配を発するクローゼットを恐る恐る開けてみた。

…いた。

まさかいるとは思わなかったが本当にいた。「ああああっ」と声を上げ、情けないぐらい驚いた。同い年ぐらいの女だった。

しばらくお互い沈黙を続け、私はだんだん冷静になり、距離をおきながら状況を把握した。

この女、知っている。半年前に告白をしてきた女だ。顔も名前も知らない女だったので、不気味に思い丁重に断ったのだが、それでも女が何度も告白してきたのを覚えている。

とにかく顔が嫌いだったので次第に無視するようになったが、それ以来会うこともなくあきらめたのだと思っていた。

女はずっと黙って、笑いもせずうつむいていたので、かわいそうだとは思ったが、事が事なので、私は警察を呼んだ。女は私を見ることもなく警察に連れて行かれた。

深夜だったので、今日のところは休んでくださいと警察に言われ、私はようやく部屋の中で一人になれた。眠れない夜であった。

翌日から、私は必ず鍵をかけて外出するようにし、この事件には関わりたくないので、警察に任せることにした。その女が2度と会いにこないことを条件にして。

しかし、その事件の翌日の夜も、部屋の中で人の気配を感じた。私の神経は敏感になっていたので幻聴が聞こえているのだろうと思った。

何かがうっすらと聞こえてくる。部屋にテレビはない。音を発するスピーカーの類もない。

隣の部屋から聞こえてきているのだろうと思い始めたが、壁に耳を当てても、どうも違う。部屋の中から聞こえてくるのだ。

次第にそれは、人の声であることがわかる。あの女の声だ。1時間以上も聞こえるので、もはや幻聴ではないと確信していた。

確かに、あの女の声でボソボソと何か言っているのが聞こえるのだ。また、あの恐怖が戻ってきた。今度はもう冷静にはなれない。クローゼットを開ける勇気もなかった。

部屋を飛び出し、近くに住む友達に電話をかける。訳を話すと、友達はすぐに私のもとへ来てくれた。

友達は一緒にクローゼットを開けてくれるという。刃物を持っているかもしれないからくれぐれも気を付けよう、と。その言葉だけで頼もしかった。

友達と部屋に入ると、まだ女の声がかすかに聞こえる。友達もそれを認識した。友達は声を荒らげてクローゼットに向かって啖呵をきった。

「オラァァァ!!出てこい!!」

反応がない。しかし、まだ、ボソ…ボソ…と女が声を発しているのが聞き取れた。

「開けるぞぉ!!」

興奮した友達がクローゼットを開けた。私は一歩下がってしまった。…今度は誰もいなかった。声がするのに誰もいない。

私と友達は顔を見合わせ、互いに青ざめた。あいかわらず、声は聞こえる。声は少し聞き取れるように大きくなっていた。

近くにいる。しかし、クローゼットには闇が広がったままだ。そして、友達はクローゼットの下、衣服と衣服の間に、あるものを見つけた。

ICレコーダーだった。声の発信源はこれだった。幽霊でなく、本人でもなくて何よりだったが、私は耐え難い気持ち悪さを感じた。

ICレコーダーに耳を当ててみた。女の声がようやく聞き取れる。私は嘔吐してしまった。

「〇〇(私の名前)好き。〇〇、帰ってきた。見つけて。〇〇と一緒がいい。〇〇、〇〇…」

と繰り返し再生されていたのだった。

【イジメ】便器の水を飲めと言われブチ切れた。リーダーの顔に何度もパンチを喰らわせ立てなくなったところでトイレの窓から…

関東から関西に引っ越した時、言葉が違うせいか「ブリっ子(死語)」と言われ、すごいイジメを受けた。

一生懸命関西弁を使おうとしても、「アクセントが変」とさらに嘲笑を受けるだけ。教科書に落書き、私物を捨てられる、一言しゃべるたびに「言葉が変」と嘲笑されるので、言葉が出なくなってしまった。

喉に何か詰まったみたいになって、授業中、朗読の番が回ってきても、声が出ない。全てを否定された。

構内を歩いていたら、上階からいきなり水をかけられたり…ノートや教科書には「死ね」のラクガキだらけ。


もうダメだ、死ぬしかないと思いつめ、何度も自殺を図るが未遂。飛び降りるためのビルを探して徘徊したけれど、警備員に見つかったり、屋上に入るドアが施錠されたりしてて、有効な自殺方法が思いつかず

ズルズル生きていた。親は、必死で担任や教育委員会に掛け合ってくれたけど「チクった」と言われ、さらに水面下でエスカレート。アザが絶えない状態だった。

担任は、見て見ぬふり。

「イジメにあうのは、本人にも原因がある。ハッキリ嫌なことはイヤだと意思表示せずにビクビクしてるのが悪い」

と、キッパリ言われた。

市の教育委員会というのが、学校の先生とグダグダに馴れ会っていて、ほとんど何の役にも立たない、ということもこの時知った。

ある時、トイレに連れ込まれて「便器の水を飲め」と言われブチーンと切れた。私は、イジメリーダーの女の子の顔面に何度もストレートパンチを喰らわせ、立てなくなったところで、トイレの窓(3階)に連れて行き

「お前をここから落とす。生きていたいか死にたいか、選べ。生きていたいのなら、お前が顔面潰されて便器の水を飲め」

と言い放った。

他の女の子は、みんな恐怖のあまり失禁。本物の暴力には馴れていなかったらしい。(ちなみに私は引っ越し前、珍しい流派の空手道場に通っていた)

ボスが黙っていた(声が出なかった)ので、私はしたがう気がないと見なし

「よし、消えちまいな」

と言い捨てて、窓から投げ落とそうとした。しかし、そこで先生乱入。すぐに止められた。

その時は「チェ、殺りそこねたな。これで済むと思うなよ」と腹の中で思っていた。その後、職員室や校長室によばれ、あれこれ問いただされた。

「3階から突き落とすっていうのは本気じゃないだろうね?君はそんな生徒じゃないことはよく分かっているんだよ」

と優しく言われたので、

「いえ、本気です。今後は先生を当てにせず、自分で解決することにしました。次は、校内でテロ事件が起こると楽しみに思ってください」

と先生たちに宣戦布告した。校長先生は赤ら顔だったが、ドス紫に変わったのを今でもハッキリ覚えている。

数ヵ月後、校長先生はストレスからうつ病を発症して自宅マンションから飛び降り自殺してしまった。それについては気の毒に思っている。

しかし、父親はすでに翌々日に学校に呼び出されいて、ことの顛末を聞いて

「いやあ、ウチのバカ娘が申し訳ないww」

と口先だけヘラヘラ謝ったりしていたが

「お前よくやったなあ!!」

とフランス料理のフルコースを食べさせてくれた。

イジメの首謀者は、その後学校を中退したが、男にダマされて多額の借金を背負わされて鉄道自殺してしまった。

さらにその首謀者の両親は、先の自殺の件の鉄道会社から莫大な損害賠償を請求されて家庭が崩壊したあげくに練炭で心中してしまった。

しかし、あの瞬間、私は本気で相手を殺そうとしたことは間違いないが、もうその相手はいない。

我が子には絶対いじめをするなと教えている。モラルの問題だけでなく、後々復讐に遭って自分が殺されるハイリスクな行為だから。

嵐の熱狂的なファンがコンサートのチケットを落とした結果

従兄弟の数年前の体験談。幽霊関係ないけど。

当時、車の免許を取ったばっかりだった従兄弟。何かトラブルを起こしたら怖いと会社と家の間の移動はしばらく徒歩と電車だったそう。

そんな従兄弟、ある日残業で夜遅くまで働いていた。何とか電車に乗ることができ、電車を降りて駅を出てから家までひたすら歩く。

その家までの帰り道で従兄弟は何かが落ちているのを見つけた。革でできた何かは恐らく財布かパスケース。お人好しすぎる従兄弟はそれを交番に届けることに。

家に向かっていた足を方向転換させて逆の方向の交番へ向かった。途中の自販機でオロナミンCを買ってチビチビ飲みながら歩いていると前から人が歩いてくるのに気が付いた。


こんな時間におかしい!幽霊か!?そう思って前から歩いてくる人を観察したが顔もある、手もある、足もある。普通の人。

だが、普通の人がこんな時間に暗い道を一人で歩くか?そう思っていたら声を掛けられた。

「お前だろ?お前だろ?お前だろ?お前だろ?お前だろ?お前だろ?」

こんなことをブツブツつぶやいて近付いてくる。ここで従兄弟は幽霊じゃないけど別の意味でヤバイ人と確信。さらにその人は刃物?鋭いものを取り出して

「ニノニノニノニノ……」

などとワケの分からないことをつぶやく。ヤバイ、走らなきゃ。逃げなきゃ死ぬ。そう思っても足が動かない従兄弟。

相手は非情にも距離を詰めてくる。1歩、1歩、また1歩…………。

ここでとっさに従兄弟は飲みかけのオロナミンCを相手に投げつけた。相手がひるんでる隙にすかさずダッシュ。

回り道をして交番へ駆け込んだ。しばらくして冷静さを取り戻し個室で警察の人の事情聴取に答え、ついでに落し物を渡した。

警察「これ、何ですか?」

従兄弟「あの、刃物を持った人に会う前に拾った物で…………」

警察「財布?かなぁ……。」

すると、その財布的なものから紙切れがハラリと落ちた。あわてて拾い、それを確認する警察。

その紙切れはジャニーズの人気グループ、嵐のコンサートのチケットだった。ここで警察、従兄弟共にある考えが浮かんだ。

警察「こういうチケットって、入手できたらすごい貴重ですよね。落としたら気が気じゃなくなるだろうなぁ。」

従兄弟「あの、これってあの刃物持った人の物かもしれませんよね?あそこで大人しく渡しても良かったかも……」

警察「いや、逃げて正解ですよ。そこで正直にそれを渡して、もしその人の物だったらあなたが疑われて何をされるか分からなかった。」

そして警察がパトロールに行かせている物を現場に向かわせて、それから交番に来て従兄弟を家まで送ると提案した。こうして、従兄弟は何事もなく警察に家まで送り届けられて終わった。

後日、やはりあのチケットは刃物人間のものと確信。なぜなら、TVでやっていた嵐のステージの観客席に半狂乱の刃物人間がいたからだ。それくらい、奴は目立っていたらしい。

しつこくパーティーに誘ってくる知り合いがいた

大学1年の時に休み時間によくパソコン室に行ってたんだけど、そこで俺によく声をかけてくる男子学生(B君としておく)がいた。

最初はあいさつ程度というか軽い会話程度だったんだけど、ある日B君が

「いろんな大学の学生が集まるパーティーがあるから来ないか?」

と言ってきた。

俺はそういう人の集まりが苦手だったから断ったけど、B君はしつこく誘ってきて仕方なく「行く」と答えてしまい、その「パーティー」に参加する事に。


しかしその「パーティー」の前日からインフルエンザになってしまい、パーティー当日も熱があって具合悪かったからB君に

「ごめん、具合悪くて行けない」

とメールしたら

「だったら友達と車で迎えに行くから、詳しい住所教えて」

と電話が来た。B君に異常なものを感じた俺は

「行ったらみんなにインフルエンザうつしちゃうから…それに熱があって吐き気があるからこれから病院に行くんだ」

と言って電話を切った。

それで俺は親の車で病院に行ってたんだけど、俺の携帯には(家に置いていた)B君からの着信とメールが入りまくってて留守電には893みたいな声で

「テメー何で来ねえんだよ!」

「氏ねや!」

みたいな伝言が入ってた。

―その後大学内でB君を見かけなくなったんだけど、大学の掲示板と学生課が出してる学内メールに

「大学内で本学の学生のふりをして「パーティーに参加しないか」と誘う不審な人物にご注意下さい。

その人物は「経済学部2年の〇〇〇〇」と名乗っているそうですが、調査した結果、本学内に「〇〇〇〇」という名前の学生が在 籍 し て い る 事 実 は あ り ま せ ん。」

その〇〇〇〇って名前がB君の名前だった。それから数ヵ月後、とある事件の容疑者として写真と名前が出てたのがB君だった。

【衝撃】隣人のとった行動がヤバ過ぎる…

未遂で終わったけど今までで一番怖かった話。

小学校3年くらいだった頃、一時期俺は小さなマンションで暮らしていた。爺ちゃんから譲ってもらった家をリフォームするとかで、期間としてはだいたい半年くらいだったかな。

古くてかび臭いマンションだったけど、家の近くでかつ値段が安いとかで決めたらしい。そして当然のこと安いってことで、入居者はそこそこいるみたいで俺の住んでた部屋の両側にも入居者がいたと覚えてる。

片方は優しそうな老夫婦が住んでいて、もう片方がずんぐりした陰気な男とその母親らしきおばさんの2人が住んでいた。

この男の人を仮にAと呼ぶことにする。おばさんの方は、朝にいってらっしゃいと声を掛けてくれたり、母さんと談笑していたりとかなり愛想のいい人。


しかし一方で、Aは恐らく何らかの障害を抱えていたのか、ちょっと表情が変で奇行が目立っていた。

例を挙げると、夜に廊下を意味もなくウロウロしていたり、エレベーターの中でブツブツとうめきながら寝転がっていたりと。

そんなだからウチら家族をふくめ、マンションの人たちは、おばさんとは仲良くしながらも一定の距離を保っているようだった。

だからなのかは知らないけど、引越しから1ヶ月もすると、次第におばさんを目にする回数が減っていった。

そして越してきて3ヶ月くらいたった頃、なぜか完全におばさんを見なくなり、それに伴ってどういう訳かAも姿を消した。だから多分引っ越したんだろうとその時は思っていた。

そんなある日、俺が学校からマンションに帰ってくると、なにやら奇妙な視線を感じた。友達が着てるのかなと思って見渡しても誰もいない。おかしいなと思っていると、あることに気が付いた。

隣の部屋、Aの住んでいた部屋の扉が少し開いているのだ。そのマンションの扉は全自動……とかではもちろんなかったが、扉の自重で勝手に閉じる仕組みになっていた。

なので少し空いてるということは、誰かが裏で押えて開けているか、何かがつっかえて閉じないかのどちらかということ。

何だろうな、泥棒あったらダメだし閉じたほうがいいのかな、って思ってジーッと扉を見てると、急にバタン!と扉が閉まった。その時は驚いたけど、マンション古いし立て付けが悪くなって閉まんなかったんだろうと自己解決してしまった。

ところが翌日再び学校から帰ってくると、また扉が少し開いている。やっぱ立て付けが悪いのかなぁと思ってその扉の前を通り過ぎようとしたら、今度はキィっと少しだけ扉が閉まった。

その時になって初めて、誰かが扉の向こう側にいるって気が付いた。

でもその時俺は、隣のおばさんたちは引っ越したと思い込んでいたので、泥棒がいると勘違いしてあわてて家に逃げ帰った。

そして両親が帰ってくると、隣の引っ越したはずの部屋に誰かいた!と訴えた。が、お隣は〇〇さんでしょ?なに言ってるの?みたいにすんなり返されたのを覚えている。

どうやら姿を見かけなくなってはいるものの、時々隣の部屋から生活音が聞こえてたらしい。だから両親はまだ隣にAの家族が住んでいると知っていたんだろう。

それからはほぼ毎日、朝出るときはちゃん閉まっている扉が、下校する時には少しだけ開いていた。でも特に何があるでもないし、そこにいるのは泥棒じゃないって分かったので次第に慣れていった。

そんなある日、家で遊ぶことになり、友人らと一緒に家まで帰って来たら、やはりまた扉が少しだけ空いている。でもどうせ何事もないだろうと普通に扉の前を通り過ぎようとした。

が、その時、急に扉の隙間から太い腕が飛び出してきて、俺の腕をガシリとつかんだ。そして扉の中に引きずり込もうとぐいぐいと腕を引っ張ってきた。

俺は悲鳴をあげて無茶苦茶に抵抗したけど、引っ掻いたくらいじゃ腕は離れようとはしなかった。ところが幸い、俺の悲鳴に気付いた友人が、あわてて駆けつけてきてくれた。

友人はそこらに置いてあった小さなスコップでその腕をザクッと刺してくれて、扉の向こうから「えうーっ!」みたいな悲鳴が聞こえたかと思うと腕がパッと離れた。

その拍子に逃げ出して、急いで家の鍵を開けるとその中に飛び込んだ。しかし逃げ込んだはいいけど、これではもう外には出られない。電話するにもどこに電話すればいいかわからない。

悩みに悩んだ俺らは、とりあえずゲームをして気を紛らわせることにした。今思うと相当のん気だよね。

それから時間がたって、だいたい5時を回ったあたりにようやく母さんが帰ってきてくれた。そしてあわてて母さんは事の顛末を聞かせたが、最初はなかなか信じてもらえなかった。

しかし最終的に友人の弁護もあって信じてもらえ、とりあえず友人らは遅くなったということで母が車で送ることになった。

自分はその時一緒に行かなかったから分からなかったが、後の友人いわく、やはりその時も少しだけ扉は開いてたらしい。

そしてしばらくして父が帰ってきた。すでに電話で母から聞かされたみたいで、帰って早々、管理人さんと抗議しに行くから、とか言って出て行った。

それを聞いて俺もほっとしてテレビとかを見ていたんだが、少したつと急に隣の部屋が騒がしくなっていった。そして父さんがあわてて戻ってきて母さんに何かを伝えるとまた出て家から行った。

その後はいつものように、夕飯を食べて風呂入って寝た。違ったことと言えば、その日父さんを見なかったことくらいか。

さて、ここからは全部伝聞だが、どうやらその時隣の部屋では大変なことが起きてたみたい。というのも、管理人さんと部屋の合鍵を使って中に入ると、そのAが首を括って死んでいたのだ。

それだけならまぁ普通の自殺事件で終わっていたのだが、Aが首を吊っていた部屋がこれまたかなり異常だったらしい。まず部屋の天井から何十本も首吊り用の縄が釣り下がっていたみたい。

ご丁寧に天井にフックを打ち込んでの本格的なやつで、Aはそのうちの1本を使って自殺したみたい。

そして第二に、大量の男の子の写真が部屋から見つかったこと。隠し撮りしたのか、ほとんどがブレてたり影に隠れてたりではあるけど、それが大量に見つかったとのこと。

当然その中には俺の写真も含まれていて、Aは俺の写真を握り締めながら死んでいたらしい。

最後にコレが一番衝撃的だったのだが、その部屋には恐らくおばさんからのAへの置手紙が見つかったこと。

内容は「辛くなったらこれ(縄)を使いなさい。お友達と一緒にいきたい時は予備のを使いなさい」的なことだとか。

まぁさすがに細かい部分までは知らないが、成人したときに父から聞かせてくれた話は以上になる。

知的障害者を馬鹿にするわけではないけど、正直俺は彼らが何を考えているのかがわからない。あの時Aも俺に何をしようとして腕を引っ張ったのかはわからない。

もしかしたら友人と楽しそうに話してる俺を見て、寂しくなって話がしたくて腕を引いたのかもしれないし、そしたら或いはAも自殺することはなかったのかもしれない。

でも仮に一緒に逝きたくて、俺をぶら下げるために引きずりこもうとしていたのかと考えると怖くてたまらない。

これが俺の今までで一番怖い体験になります。

【人怖】雑居ビルの階段で見たおぞましい光景

俺は現在小さいながら、安定した会社で働いてるんだけど、前の会社が倒産した後、就職がなかなか決まらず、つなぎでバイトすることにしたんだ。

ポスティングのバイトなんだけど、普通の家とかに配ったりするのではなく、雑居ビル(スナックとかキャバクラとかホストクラブが多い)を中心に出前のチラシを配るというものだった。

雑居ビルっていうのは、大抵非常階段と中の階段の2個ついてるビルが多く、廊下が長いので、イメージで言うと学校の配置を考えてもらって、お店(教室)がずらーと並んでいて、階段が端と端にある感じを思い浮かべてくれるといいかと思う。


配り方は、ビルに入ると最初はエレベーターで最上階まで上がって、各階のお店にビラを配って、非常階段か中の階段で1階ずつおりて1階まで降りていくのを延々と繰り返す。

ポスティングするのは、お店が閉まってる朝9時ごろから、昼の4時ごろまでなんだけど、昼過ぎて、暑くなってきたので汗だらだらで配っていた。もちろん電気のついてるビルもあるんだが大概は薄暗いビルが多かった。

そんな中、〇六ビルってのに入って配ってたんだが、9階から8階へ非常階段で降りたんだけど、8階のドアが開かなかった。

こういうのはたまにあるから、戻って中の階段から降りようと思ったんだけど、下から「がさがさ」という音が聞こえた。

階段って、真ん中の部分から下が見える形状の階段があるんだけど、そこから見ると、ソバージュというか、ごわごわした髪の毛のおばさんが何か下向いてがりがり音を立てながらなんかしてた。

こういう時は、マニュアルで「こんにちわ」とあいさつすることになっていたので、俺が「こんにちわ」と言ったんだ。

すると、おばさんがすごい速さでこっちを振り向いた時に、俺の目に飛び込んだのは、子猫みたいな大きさの毛のついた塊にかぶりついてるおばさんだった。

やばいと思って、逃げようとしたがその前におばさんが走って下に逃げた。おばさんが逃げると同時に、俺も上の階へ逃げた。

エレベーターまでダッシュで行って飛び乗り、1階を連打した。すると4階で止まったから、おばさんがいたら殴ってでも逃げようと思ったが、普通の料理人みたいな人が乗ってきて助かった。

その日でバイトはやめた。俺の人生で怖い思いをしたのはこれだけなんだが、これからの人生で雑居ビルの非常階段を使うことは、2度とないと思う。

怖くなくてごめんね。

※臭い注意※田舎の謎の風習

なんつーかこう、ヒドい車酔いした時みたいな気分になった話だけどいいかな。モヤモヤして気持ち悪いから聞いて欲しい。

ほっとんど会った覚えのないばあちゃんが亡くなったから葬式に出る事になった。母親のほうのばあちゃんで、記憶にあるのは猫を抱っこしてニコニコしてたことくらい。

で、葬式会場に行こうとしたら会場じゃなくて、ばあちゃんの実家に行く事になった。やっぱり田舎だからか古いけど立派な家で、庭に鯉がいる池があるのを初めてみた。

玄関開けてごあいさつ、と思ったらもうね、すぐに「うわぁ」ってなったんだわ。母親はハンカチ取り出して、俺はがまんしながら家の人を呼んであがらせてもらった。

ぶっちゃけすぐに出て行きたかったけど、失礼な気がして外の空気も吸えなかった。とにかく臭い。いや臭いとかいうレベルじゃない。あんな臭い嗅いだ事なかった。

このときに「まさか…」とは思ったけど、まさにそのとおりだった。

ざっくり聞いた話だと、ばあちゃんは長女で分家扱いなんだけど、ばあちゃんの両親は本家の人。でも葬式するのは、本家の家。この辺はわけわからないけど、なんかあったんだと思う。

親族に軽く会釈しながら、母親と一緒に最後の別れを言いに行こうと遺体を拝みにいった。けどね、やっぱり臭いんだわ。さすがにごまかせなくて、何度か嗚咽した。

母親も泣くフリでハンカチ使ってたけど、何度かやばそうだった。で、遺体がある部屋に通してもらったら案の定、原因がソレだった。

ばあちゃんの遺体がとにかく臭い。けど、入ってすぐに思ったのはそこじゃなかった。

顔にかける布が「真っ黒」だったこと。よくみると布の端に金色の糸で刺繍があって、それが刺繍の裏面だってのがわかった。

母親が吐き気か悲しいのかわからないけど、涙ぐみながら布団のそばに座った。俺もその隣に座ってしばらく黙ってたけど、がまんできなくて聞いてみた。

「この布はなんで白じゃないの?」

母親は「知らない」ってそっけなく返したけど、やっぱり悲しいみたいで声が震えてた。

臭いもキッツイし、二人きりにしてあげようと思って部屋を出た。というかタバコ吸いたかった。ほんと臭いも布もキツかった。

のんびりタバコ吸ってたら、いつの間にか来てた叔父さんも一服しにきてた。世間話をしつつも、どうしてもあの布の事が気になって聞いてみた。

「叔父さん、ばあちゃんに会いました?」

「おーおー会ったでな。えらい小さなってたな」

「なんで顔にかける布が黒いんですか?」

そしたら叔父さんは気まずそうにしながら、まぁいいかって教えてくれた。

「母さん、えらいくさかったやろ?あれな、わざとや」

そういって叔父さんがアゴで蔵のほうを見るようにうながした。蔵のほう見ると何の用かは知らないけど、明かりがついていて、誰かいるみたいだった。

「母さんは分家扱いやろ。だから黒い布なんや。それが家の習わしだそうでな」

分家の人には黒い布、本家の人には白い布をかける。元々は見分けるためとか。

「布に刺繍があったのは?」

「あれはな、母さんの名前と何代目のどの親の子かっていうのが書いてある」

「なんで…そんなことを?」

「化けて出たらわかるようにと出たら対処できるようにって俺は聞いたなぁ」

ごめん気持ち悪くなってきたからはしょると、黒い布に顔のシミができるまで遺体を放置するらしい。だからヒドい臭いだったらしく、その布は蔵の中に保存されるそうだ。ちなみにやるのは分家だけ。

どういう経緯かは知らないけど、そういう呪いみたいな習わしを今でも続けているとのこと。

叔父さんが歴代のあるから見てみるか、っていうから興味本位で見たんだけど、それがもうエグくてな。古いものほど肉染みが濃いんだわ。モノによっては顔の皮とか毛みたいなのもあって、どれも人の顔ってわかる。

葬式なのに遺体が棺桶に入ってないのでおかしいと思った。てか死体そんな放置していいのかよって。

変な風習とは無縁だった分、ウチが変な習わしの家系ってのがまた気持ち悪い。俺も母さんもあの肉染みにされるのかなって思うとキツイ。

話まとまってなくてごめん。

ライブチャットで小遣い稼ぎをした結果→トラウマ級の事案が発生

特定されないようにフェイクをまぜて書きます。長くなるけどごめん。

数年前のこと。

私は田舎を出て八王子のぼろアパートで一人暮らしをし、女子大に通いつつ、サークル活動はせずにアパートの近所のファミレスでバイトをしてた。

ファミレスは時給900円ちょっと。親からの仕送りは家賃5万+生活費2万で7万。遊ぶためのお金は自分のバイト代でまかなう感じだった。

でも、学校帰りにファミレスで働いて稼げるお金なんてたかが知れていて、服やかばんや靴を買ったり、飲み会に顔を出したりしてたらすぐになくなってしまう。


短時間でラクに稼げるバイトはないかな~なんて考えていたとき、八王子駅前にいるティッシュ配りのお兄さんにキャバクラの求人広告をもらった。

私は見た目が派手じゃないし、内向的でキャバクラなんてできそうにない。それにアルバイトとは言え水商売には抵抗がある。

だけどキャバクラの求人の下の部分には、「おしゃべり苦手でも大丈夫☆」というコピーとともにQRコードとURLが掲載されていた。

帰ってPCからアクセスしたらそこは、ライブチャットの求人だった。ライブチャットというのは女の子がWEBカメラで自分の姿を映して、その映像を、サイトを通じてお客さんに配信するというもの。

映像の内容は女の子によってまちまち。顔を出しておしゃべりする子もいれば、顔を隠す子もいる。露出度の高い格好で出演する子もいれば、普段着の子もいる。

お客さんはほぼ全員男性。お金を払ってポイントを購入し、ポイントに応じて女の子の映像を見られる。その金額の何割かが女の子に支払われるというシステム。

私はさっそく登録した。カメラはPC内蔵だったからその日からすぐに始められた。バレることはないとは思ったけど、念のためウィッグをかぶった。

映像の配信をスタートしたらすぐにお客さんが来た。人によっては、いかがわしいリクエストが来たけど、それには応じず、おしゃべりのみ。

体が目当ての人はすぐ出て行っちゃうけど、中にはおしゃべり目的で来ている人もいて、そういう人と会話を楽しんだ。不思議とカメラ越しなら喋れるもので、私は身分を偽りつつ、じわじわポイントをためていった。

一ヶ月するとポイントは5万円分ほどたまっていた。講義が終わったらファミレスのバイトをして、帰宅してからはライブチャット。週に3日程度、家で数時間のおしゃべりをするだけで月5万。割のいいバイトだった。

それというのも固定のお客さんがついてくれたから。4人くらい、私がログインしていると必ずチャットルームに入室してくれる人がいた。その人たちは、いかがわしいことより、おしゃべり目当て。いわく「のんびり話せて癒される」とのことだった。

田舎の出身だったからか「どんくさい」「ボーっとしてる」と言われることが多かったけど、固定客の人たちにとってはそれがいいらしかった。

固定客はほとんどサラリーマンだったと思う。たった1~2時間の会話のために数千円分のポイントを払えるような人たちだ。

文字チャットの時もあれば肉声でしゃべる時もあったし、オープンチャット(他の人からも見れる状態)の時もあれば、プライベートチャット(他の人からは見れない状態)の時もあった。

2ヶ月もすると常連さんとはだいぶ親しくなった。最初は身分を偽りながらしゃべってたけど、本当のことも聞かれれば少しは答えるようになっていた。

「〇歳の女子大生なんだよ」「バイトはファミレスでしてる」「西東京に住んでるよ」とか。

で、チャットのバイトを始めてから半年くらいだったかな。生まれて初めて彼氏ができた。友達に紹介してもらった人で、何回か遊んで、知り合って1ヶ月くらいで告白された。

恋人ができたらチャットはやめるって決めてたから、プロフィールに「月末で退会します」って書いた。それを見た固定客の人たちがお別れを言いにきてくれた。

「今まで楽しかったよ」「もう話せないなんて寂しい」と嬉しいことを言ってもらった。

チャット終了後にはメッセージ(簡易メール機能)で「これからも元気でね!勉強がんばれ!」なんて応援が届いて、ライブチャットを通した仲とは言えちょっとしんみりした。

その次の日もログインした。ログインとほぼ同時に入室&プライベートチャットにしてきた人がいた。常連のSさんだった。Sさんはプライベートチャットでしか会話しない、「二人きり」にこだわりのある人だった。

ログインした瞬間に入室なんて、待っててくれたのかな?なんて、のんきなことを考えた。応答ボタンをクリックしたら

「〇ちゃん、やめちゃうの?」

とあいさつもなく言われた。

「うん。色々あってw」ちょっと濁して答えたら「色々ってなに?」って少し強く聞かれた。

「学校とかバイトとか色々」

「もっと詳しく教えてよ」

「バイトの回数増やしたし、勉強もがんばりたいから」

「夜だけなら続けられるでしょ?」

「夜は勉強するから…ごめんね」

「毎日毎日そんなに勉強するの?チャットの時間も取れないくらい?」

「うん…資格の勉強もあるから…」

「土日は?昼間とかログインできないの?」

「土日は教習所に行きたくて…」

Sさんはかなりしつこかった。私は嘘を交えつつ答えたものの、面倒くさいなぁ…という気持ちが大きかった。Sさんは普段はもっと落ち着いてるから、どうしちゃったんだろう?という戸惑いもあった。

「教習所?どこ?八王子だよね?〇〇学校?」

「ん~まあそんなとこw」

「ここで稼いだ金で免許とるのか」

「そういうわけじゃないけど」

「そうだろうが!!!」

いきなり怒鳴られた。びっくりして心臓止まりそうになった。

「俺から巻き上げた金で免許とるんだろうがよ!」

「えっ!?えっ!?」

「お前にいくら使ったと思ってんだよ!ええ!?お前が」

ブツッ!

会話が切れた。というか私が切った。キックボタンという強制退出機能を使った。通話が切れてしばらくしても心臓がドキドキいってた。五分くらいしたら、Sさんからメッセージが届いてた。

「さっきは怒鳴ってごめん。つい取り乱してしまいました。大好きな〇ちゃんがチャットをやめてしまうと知って動揺してのことです。

嫌いにならないでください。ひどいことを言ったのはあやまります。すみませんでした。どうかまた通話してください。」

という内容のものだった。

「驚いてキックしちゃった。こっちこそごめんなさい。今日はやめておきます。月末までは不定期でログインするのでまた時間が合ったらチャットしようね」

そう返信して、その日はログアウトした。

次の日はログインしなかった。2日たって、バイトの後にログインした。またログインと同時にSさんが入室してきた。もちろんプライベートチャット。

「〇ちゃん、一昨日はごめんね」開口一番Sさんはあやまってきた。

「大丈夫。こっちも素っ気なかったしねw」

私はそう答えた。あんまり思ってなかったけど。

「でも〇ちゃん、本当にやめちゃうんだ」

「うん。やめるのは変わんない」

「教習所がんばってね」

「ありがと」

「八王子だから〇〇ドライビングスクール?」

「ん~w」

「〇〇自動車学校?〇〇ドライビングカレッジ?」

「どうだろうねーw」

この人、調べたのかな…とじゃっかん引きつつ答えを濁していたら

「ここで〇ちゃんがチャット始めてもう半年だよね。前に月5万くらい稼いでるって教えてもらったじゃん。5万×6ヶ月で30万だよね。

〇ちゃんは女の子だからAT限定かな。AT限定で学生コースのある学校に30万円で通うってことは〇〇ドライビングスクールかな?どう?」

とか言い出した。

もう私はドン引きだった。たしかにずっと前に月額どれくらい稼げるのか聞かれて答えたし「教習所に通う」って嘘もついたけど、そこまで調べてるとは思わなかった。

「聞かれても答えないよ~w」

「あっ、当たってるんだ?図星でしょ?」

「どうかなー?ごめんね、今日はもう落ちるよ」

「当たったから逃げるんだ?そうでしょ?」

Sさんはまだしゃべってたけど私は退室した。この間まで仲良くしてたSさんが、もうストーカーの類にしか思えなかった。退会は月末を予定してたけど、前倒しにしようと思った。

ログアウト前にメッセージを確認したらSさんから届いてた。

「〇〇ドライビングスクール評判いいみたいだよ^^僕も行ってみようかな(笑)」

怖くなって返事をせずログアウトした。Sさんは確かに以前から私の素性を聞き出したがる傾向があった。「学校はどのへん?」とか「出身はどこなの?」とか。

プライベートチャットで二人きりだし、普段は優しくて話題も豊富だし、オープンチャットよりだいぶ消費ポイントの多い(=お金のかかる)プライベートチャットを常にするくらい収入のある人だから、私も油断して「八王子だよ」とか「〇〇県だよ」とか答えてた。さすがに学校名や住所までは言ってなかったけど。

そんなわけないとは思いつつ、もしかして私の素性が知れてるんじゃないかと不安になった。彼に相談したかったけどライブチャットをしていたことはバレたくない。次の日からチャットにはログインしなくなった。

その夜は怖かったけど何日かしたらそんなことも忘れた。彼とのデートに浮かれていたから。でも月末に通帳の記帳をしたらライブチャットからのお給料が振り込まれてて、それで退会のことを思い出した。

気が乗らなかったけど退会処理をするためにログインして固まった。

「新着メッセージ100件」

お知らせ欄にはそんな表示が出ていた。ライブチャットのメッセージは最大100件までしか保存されない。限度いっぱいに届いたメッセージは、全部Sさんからだった。

「〇ちゃん!次のログインはいつ?」

「〇ちゃん^^もうすぐ月末だね」

「〇ちゃん?今日はログインしないのかな?」

「〇ちゃん!今日は教習所かな?」

「〇ちゃ~ん予定がわかったら返信してね」

「〇ちゃんどうしたの?」

「〇ちゃん見てますか?」

「〇ちゃん逃げたの?」

「逃げたの?」

「退会月末じゃないの?」

「ログインしないの?」

「逃げたの?」

「逃げるなよ」

「逃げたの?」

「逃げられると思ってる?」

「逃がさないよ」

そんなメッセージが100件続いてた。怖くて全部は読んでない。すぐに退会処理をした。この人ヤバイと思った。

逃げるって何?逃がさないってどういうこと?私が何かした?私はパニックになっていた。心臓がバクバクいってた。

たまにニュースで見る情絡みの殺人事件を連想してた。キャバ嬢や風〇嬢にみついだ男の人が、その女性を本気で好きになってしまう。

女性の方は仕事でやってるだけだから、もちろん恋愛感情なんてない。その行き違いが流血沙汰を起こす。

そりゃ私はSさんにお金を使わせた。だけど私は思わせぶりなことはいっさい言っていないし、Sさんを勘違いさせるようなこともなかったはず。

だけどそう思ってるのは私の方だけ?Sさんは私のこと好きだったの?混乱して頭が働かなかった。意味なんてないってわかってたけどカーテンを閉めてドアのチェーンをかけた。

月末を過ぎてからも何事もなく生活していた。私も安心して、変な人だったなーって思ってた。だけどある日、異変が起こった。学内の掲示板コーナーに、こんなお知らせが張り出された。

「[注意]つきまとい事件が発生しました。〇月〇日〇時ごろ当行の学生が自動車学校帰りに、40代~50代とみられる男性にしつこく声をかけられる事案が発生。

学生の皆さんはじゅうぶん警戒するとともに、防犯ブザーの持ち歩きを徹底しましょう。緊急時には助けを呼び、民家に助けを求めるなどしましょう」

うちは女子大だったから防犯意識が高かった。入学時には全員に防犯ブザーが配布されるし、つきまといや不審な声かけが起きると学校に報告してお知らせが貼り出される。多い時で週に5回くらいあったと思う。

いつもはとくに意識しないけど、この張り紙には「自動車学校」とあった。

チャットで怒鳴られた時、それから100件のメッセージを受信した時の恐怖がよみがえった。私は学生課に駆け込んで張り紙について聞いた。

報告者が誰か問い合わせると学生課の職員は名前を明かすのを渋ったけど、「心当たりがあるかもしれないんです」と伝えると、当該の生徒に連絡をとってくれた。

その生徒は講義の合間に学生課に来てくれた。違う学部の子だった。髪型はセミロングで、私がチャット中にかぶっていたウィッグに似てた。

「〇〇女子大の生徒?」

「同じ学校の子で教習所に通ってる子いない?」

「この教習所じゃないかもしれないんだけど」

「お姉さんくらいの背格好と髪型」

「〇歳だから〇年生だと思う」

その女の子は教習所から駅までの道すがら付きまとわれて、そんなことを延々と聞かれたらしい。私は確信した。男はSだ。明らかに私を探してる。

「たぶんクラッチバッグ(※大学名が印刷されてる)を見て声をかけてきたと思う。名前はわかんないけど、このへんの女子大に通ってて、ファミレスでバイトしてる子だって。顔を見ればわかるって言ってた」

私はSさんに、「八王子周辺の女子大に通っていること」「実年齢」「ファミレスのバイト」を明かしていた。

八王子周辺にある女子大は決して多くない。年齢とアルバイトから照合して、手当たり次第に聞いていけば、いつかは私にたどり着くだろう。

その子には、その人が探してるのは私かもしれないと伝えた。ライブチャットのことは伏せて、SNSで知り合った人だって説明した。もし次に見かけたら逃げてほしいということも言いふくめておいた。

その日の講義は欠席してタクシーで帰宅した。荷物を置いて、家中の戸締まりを確かめて、彼氏のアパートに泊めてもらった。バイクで迎えに来てくれてすごく心強かった。

彼の家で洗いざらい説明した。彼は黙って聞いてくれた。ライブチャットの存在は知ってたから勘違いもされずに済んだ。もう二度としないでほしいって言われたから、私はもちろんうなずいた。

彼の家から学校に通って、バイトにも行った。帰りが遅くなる時は彼が迎えに来てくれた。やっぱり男の人がいると頼もしくて安心できた。

1週間くらいして、一旦アパートに帰る用事ができた。彼が付き添ってくれたし昼間だしあんまり怖くはなかった。

何か異変が起こってたらどうしよう…と思いつつ、これといって変化はなかった。たまってた郵便物を回収して、また彼の家に戻った。

また1週間彼の家で過ごした。学校もバイトも通常通り通ってたしトラブルは起こらなかった。Sさんも私を探すのはあきらめたんだろうなーと思ってた。警戒心も薄くなってた。

1週間後のお昼くらいの時間、また郵便物の回収に自分のアパートに戻った。今回は彼の付き添いはナシ。一人で電車に乗って、駅からは徒歩で行った。

集合ポストには何通か手紙が届いていた。美容院からのDMとかがほとんど。その中に1通だけ宛先のない茶封筒があった。

たまにアパートの管理人から宛先なしで封筒がポストに投函されてることがあったから、きっと大家さんからだと思って回収して、階段を上がって自分の部屋に行った。

ドアを開けようとしてギクッとした。部屋の中からガサガサ音がした。虫が立てるような小さな音じゃない。ガサゴソガサゴソって何かをあさってるような音。

合鍵は両親と彼にしか渡してない。両親が来るなんて話は聞いてないし、彼はその時バイトに行ってた。

私は物音を立てないように後ずさりして、階段を下りて、そこからは猛ダッシュだった。全力で走って駅前の交番に駆け込んで事情を説明した。

おまわりさんが2人いて、片方のおじさんが無線(?)で応援を呼んでた。私は交番で待たされた。1時間くらいしてパトカーが来てアパートまで連れて行かれた。アパートの前におまわりさんが何人かいて、車を下りて話を聞かされた。

空き巣だった。ベランダから窓を割って侵入したらしい。応援が到着した時には犯人は立ち去った後で、部屋の中は空だった。何を盗まれたか立ち会いで確認することになった。

財布とか通帳は彼のアパートに置いてあった。金目のものはないはずだった。でも私の部屋からはパソコンがなくなってた。

タンスも荒らされてた。チャットの時によく着てた花柄のワンピースだけが盗まれてた。間違いない。Sだ。

「タイミングが悪かったら空き巣と鉢合わせになってたかもしれないですね」

おまわりさんはそう言ってた。

家を突き止められた。侵入された。個人情報が詰まったPCを盗まれた。服をとられた。私はショックでその場にうずくまってしまい、おまわりさんがパトカーで休ませてくれた。

交番で事情を説明した。ネットでトラブルがあったことから始めて、うちの学校の生徒がつきまとわれたことも話した。

頭が混乱していたけど、がんばって話した。おまわりさんは最初のうちは首を傾げていたけど、私の鬼気迫る様子を見てか、信用してくれた。

親に連絡が行って、しばらく実家に帰ることにした。彼のアパートまで突き止められると迷惑がかかるから、荷物をまとめてすぐに帰省した。

実家に帰ると家族は優しかった。みんなライブチャットどころかSNSの存在すら知らないようなアナログな人たちだから、空き巣被害に遭ったことしか伝えなかった。

荷物を整理していたらバッグの中から茶封筒が出てきた。Sが私の部屋に侵入した日にポストから回収したもの。騒動で存在を忘れてた。中を見るとプリンターから出力したA4の紙が入ってた。

「〇ちゃんへ

〇ちゃんが恋しくてつい来ちゃった^^しばらく留守にしているようなので勝手にお邪魔します。また遊びに来るね次は会えるといいな^^

Sより

追伸ちょっとPCを借りるけど返すから安心してね」

その後アパートは引き払って、バイトもやめた。学校は半年間休学した(後に復学したけど留年した)。警察はアパート周辺のパトロールを強化したらしいけど、Sはいまだに捕まってない。

その一件以来、一人暮らしが怖くてできなくなった。留守番すら怖い。とにかく家で一人になるのが怖くなった。

電話越しの男の人の声も怖いし、ネットでのチャットも怖い。彼との付き合いが続いてることと、無事に卒業&就職できたのが救い。

長い割にあんまり怖くなくてごめん。でも、私にとっては恐怖体験でした。

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