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ただのバスではない!もはや移動式ホテル!高速バス「マイフローラ号」12席のみ!居心地がいい!

靴を脱いで繊細に運転。12席の夜行バスのおもてなし。 山道でも酔わない運転を心がける運転手。
2016/04/28 UPDATE
 
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高速バスを利用する方必見!高速バスと言えば、狭くて疲れるという方も多いはず。しかしそれを根底から覆す高速バスがあるんです。こんな高速バスみたことない!と感動してまた乗りたい。まだ乗っていたいとついつい言ってしまうぐらいです。今回は高速バス「マイフローラ」を徹底的にご紹介します。

じゅうたんを敷きつめた車内には、木製のパーティションで一部仕切られた個室風のひろびろとした座席が並ぶ。夜行バス「マイ・フローラ」の乗客は靴を脱いでスリッパに履き替え、居間で過ごすようにくつろぐ。靴を脱ぐのは乗客ばかりではない。実は運転手も「靴を履かずに」ハンドルを握っているのだ。
一体なぜ?

「“乗り鉄のバス版”のようなマニアがSNSを通じて広めてくれた」という海部観光(徳島県海部郡)の異色の夜行バス「マイ・フローラ」。2011年に大型高速バスで国内初の2列シート、最少の12席を実現し、徳島と東京を毎日結ぶ。“バスらしくない”個室感とゆったり感が最大の魅力。

床下のトランクを改造した運転手用の仮眠室

徳島県を拠点に、徳島-東京を毎日結ぶ海部観光のオリジナル車両「マイ・フローラ」は、わずか12席。大型高速バスの常識を打ち破る、その画期的な“バスらしくない”内装は前回の記事でご覧いただいた通りだ。

 「ほかのバスとの違い」の説明を受けながら一番奥の化粧室まで見終わると、乗務員リーダーの和田 護さんが「床下には乗務員用の仮眠室もあるんです。フルフラットの状態で横になれるんですよ!」というので、「じゃあ、見せていただいてもいいですか!」と膝を乗り出し、普通は目にできない楽屋裏を見せてもらった。

 通常、大型バスの車体の床下には普通自動車のトランク2つ分ほどのスペースがあり、その1つを改造したという。もう1人の乗務員と2~3時間ごとに運転を交代し、ここで仮眠をとる。

「客を安全・快適に運ぶ気品ある運転」を支える装備

夜行バスの乗務員は運転技術が優れているだけではだめで、「昼寝て夜起きる」生活への適応が求められる。しかも2~3時間ごとに運転を交代し、乗客が眠りに落ちる真夜中に「覚醒と仮眠」を繰り返すのだ。

 マイ・フローラが誕生した2011年当時、大型バスの多くは、3列シートのトイレ付き車両を除き、乗客と同じ車内の座席で交代運転者が仮眠をとるのが当たり前だった。下の写真のように運転席側の最前列の席に“工夫”があり、ここで乗務員は椅子に座った状態で足を上げて仮眠をとるのである。独立した仮眠室を設けるのは珍しかったが、実は、いまでは運転手用の「床下仮眠施設」は珍しくないという。

というのは、2013年8月に国土交通省が改正した制度の新基準による。その前の年、2012年4月に関越自動車道で起きた居眠りが原因とされるツアーバス事故をきっかけに、再発防止策として、高速乗合バスの夜間運行は400kmを超える場合には交代運転者の配置と、「乗務員が体を完全に伸ばして仮眠できる設備」の設置が義務づけられたのだ。

 コストを下げれば安全の質の低下を招き、危険につながりかねない。ちなみに現時点で高速乗合バスも貸切バスも生活路線バスも、ドライブレコーダーの搭載は任意だが、今年1月に発生した軽井沢スキーバス事故を踏まえ、一定の旅客バスに装備が義務化される見通しらしい。

 貸切バス事業者を対象にした安全への取り組み評価制度で2015年、海部観光グループは全国初となる最高位の三ツ星認定を徳島県で唯一取得。マイ・フローラは「付けられる機能は全部付けてもらった」(和田さん)という同社で最高級の車両だ。ドライブレコーダーは4カ所に設置し、社内での安全面の検証や学習ツールとしても役立てている。マイ・フローラはその快適さから「杖をついたお年寄りも普通に乗ってくる」ため、AED(自動体外式除細動器)も積み、万が一の対応にも備えるという万全の態勢だ。

乗務員には「靴を履かない運転」を指導する

「バスは劇場、運転手はアクター。運転手のもてなしでお客さまに感動をもたらしたい」

 これは海部観光を創業した打山 昇会長の言葉。かつて他社で観光バスの運転手としてハンドルを握っていた会長、その現役時代の経験に基づくものと思われる。金言である。和田さんも「その気持ちを自分も常に持っている」と語った。同社の運転手さんは、会長の思いをどんなもてなしで体現するのか?

 その1つは「揺れない走り」だ。

 新人研修の際には、半分ほど水を入れた500mlペットボトルをダッシュボードに立て、これが倒れないような走りを身につけさせる。“揺れない技術”を磨くため、同社が実践するのは独特のやり方だ。「靴を履かない運転」を乗務員に徹底指導している、というのだ! 「靴を履かない運転指導は全国でも珍しい。弊社以外に皆無ではないでしょうか」
「靴下1枚」の繊細な感覚でペダルの踏み込みをコントロールする運転は、打山会長自身が乗務員時代に始めた。「会長が運転するバスは山道でも酔わないと評判だったそうで、『打山さんの運転なら旅行に行く』というファンも多かったと聞きます」(山元さん)

 大型バスは車両重量が10トンを超える。エンジン出力は乗用車以上の馬力があり、車体を止めるブレーキも強力だ。しかもブレーキは1つではない。通常のフットブレーキのほか、排気ブレーキ、リターダーと3つもある。でかい躯体を動かすのだから、ペダルの踏み込みと離す操作で乗客の体は前に後ろに振られてしまう。「アクセルのオンオフを繰り返してお客さまを前後に振る運転を自動車用語で『しゃくる』といいますが、この動きで酔う。靴を脱ぐのは、『しゃくり運転』になりにくいと考えるからです」(同)

 山元さんによると、道路運送法や旅客自動車運送事業運輸規則等には乗務員に対する履物についての記述はないという。47都道府県が制定する道路交通法施行規則では、木製サンダルや下駄等、運転操作を妨げるものを履いて運転してはならないとあるが、「履かないといけないという規制はありません」とのこと。

足の“親指だけ”使うなど、靴を脱げば数ミリの違いが踏み分けられる

「ペダルは数ミリの動きでも違うんですよね。靴を履いていると靴底全体でグーッと踏み込むことになりますが、靴を脱ぐと親指だけでちょっと踏むこともできる。靴はかかとの高い低いの違いがありますけど、靴下1枚ならば踏む感覚はいつも一緒。微妙なアクセルとブレーキの加減ができる。ほんのちょっとの違いですが、そのちょっとずつが9時間乗っている間にお客さまの体に響いてくるんです」

「特に、このバスには『くつろぎたい』という目的のお客さまが乗りますから、会長の思いが十分伝わっていない乗務員は乗せない。乱暴な運転で体が前に後ろに動けば、座っていても踏ん張るでしょう。踏ん張ることでお客さまは疲れるんです」(同)。なるほど。あたかも「バスになど乗っていないかのような乗り心地」で、客の長距離移動を支援するのだ。

「ペットボトルを倒さないようにするには、アクセルをじわーっと抜いて、そこからすーっとブレーキを踏んでいく。際(きわ)まできて踏むようなことは絶対しない。後続の乗用車はイライラすると思うんですよ。信号までまだ30mもあるのに、なんでこんなところでスピードを落とすんだろうって」(同)

 個室のような座席のゆったりした背もたれを深く倒し、いつしか眠りに落ちる夜行便。さぞや夢心地だろう。乗客に「ゆっくり寝られました!」と喜ばれるのが一番うれしい、と和田さんは語る。

 ただ、「靴を履かない運転」は同社の乗務員の中でも賛否両論あり、「事故でガラスの破片が飛び散った場合、靴を履いていないと危ない、という意見もある」(山元さん)のも現状だ。

 海部観光のモットーは「気品のある運転で、徳島の先頭を走りたい」。揺れない走りはもちろん、乗客への気遣い、マナーも紳士的なのだ。マイ・フローラでは男性客を後方に、女性客を前方の座席に案内する。それは、トイレなどの際に女性の脇をなるべく男性が通らないように、との配慮からだ。トイレは一番後ろにあるので、男性は女性が座る前方を通る必要はないでしょう?ってわけだ。

 “感動をもたらすアクター”である運転手さんは、走り以外に、どんなもてなしをするのか? 「たくさんあります」と和田さん。「そこまでするんだ……」と驚いた。

定員12名!超豪華「マイフローラ号」に予約殺到

■ 基本情報
・名称:海部観光
・住所:徳島県海部郡美波町奥河内字弁財天84-1
・電話番号:0884-77-1060
・公式サイトURL:http://www.kaifu-kanko.co.jp/

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