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女上司『無料奉仕だけど、残ってくれる?』俺「はい」→女上司『いつも悪いからごて飯奢らせ』→数日後、残業代が全てついてたのに気づいた結果・・・

2018/10/31 UPDATE
 
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俺:34歳 
嫁:29歳  
先輩:たしか31歳 

俺、ちょっと特殊な

専門職なのだが会社が倒産し、 
契約社員として嫁会社へ。 
(契約社員からの正社員登用が望める会社) 

嫁は俺が入るチームの

チーフで先輩はその部下 
俺は嫁の部下で先輩の後輩となる。 



嫁の第一印象は

「事務的で冷たい感じ」。 

先輩が契約社員担当

先輩の指示で俺は動く。 
が、この先輩との



やりとりがスゲーストレスだった。 

俺が作った書類等に

1回でOKをくれることは無く、 

必ずダメ出し

作り直しを要求される。 

ダメ出し自体が

嫌なわけじゃないのだが、

その理由が

いつも俺にはよくわからない。

 
「分かりにくい」とか
「読み手のこと考えてる?」とか
「文章がさぁ」とか。 

こう書くと先輩が

粗探しをしてるだけじゃないかと思われるかもだが、

この職種は他者にプレゼンする要素もあるので、

一概に先輩がおかしい

とは言えない。 

「分かりにくい」というのは

十分なダメ出し理由になるんだ。 

ただ、俺が「どこが悪いか」を理解できていないだけで。 

で、わからないながらも言い回しを変えたり、

レイアウトを変えたりを何度かするとOKが出る。 

釈然としないながらも

「読みやすさってそういうことなのかな」

とか思ってた。 

でOKが出る際も、いつもため息交じりで

「まぁいいや」的な態度で。 

何よりきついのが、それらのやりとりの際に

先輩が高確率で発する



「使えねぇヤツだな」という呟きだった。 

俺に直接ぶつけると言うより、

独り言みたいに呟く。 

でも確実に俺にはもちろん、

周囲の人にも聞こえる音量で。 

俺は、自分で言うと嫌味だけど、

自信家なところがあった。 

派遣社員とは言っても

同業他社で働いていた自負もあり、 

この会社に入っても即戦力になれるというか、 

この会社のシステムさえ把握すれば

すぐに役に立てる自信があった。 

もっと言うと、正社員になれると思ってた。 

だが先輩とのやりとりでプライドズタズタ



みるみる落ち込んでしまった。

そんな状況で数ヶ月経った日 

また先輩に「使えねぇ」と言われた、だけでなく、

この日はもう一言付いてきた 

「正社員登用の制度って、あれ、

本当に有能な人のためのものですからね?」 

見透かされてる、惨めだった 

そのとき、後ろから嫁が 

「ホントですね。正社員登用の制度、

ちょっと考え直したほうがいいかも」 

スゲー怖い形相してた 


「……申し訳……」 

「俺さん悪いけど今日、就業後あいてます?」 

「え、はい」 

「少し時間いいですか、悪いけど残業代は出せないけど」 

「……はい」 

完全に自信をなくしてた俺は

「更新不可」

みたいな話をされるんだと思った。 
恥ずかしながら目が潤んでしまった。 


横目で先輩がニヤけてるのが見えた。 

で就業後。
なぜか隣の部屋の別グループのシマへ。 
そこのリーダーは嫁と知り合いみたいだった。 


「悪いけどPC貸して」 
隣組
「おう、いいけど何だ?」 

「ダメ出し」 
隣組
「ほう……」 

隣組リーダーは俺を見て
ちょっと気の毒そうな顔をした(ように見えた)。 


「今日、先輩さんに最初に見せた資料と、
言われて作り直した資料見せてください」 

「はい、最初はこれ(A)で、
直したのがこれ(B)ですが、Bもダメ出しされました」 

嫁、両方の資料を見比べる。 


「じゃあ、この件の前に手がけたもの、
最初のものから完成版まである?」 

「たぶんPCに……」 

「悪いけど持ってきてください」 

PCを探り、
前回の案件の初期版、完成版その途中のものを渡す 
嫁、それをじっくり眺める。 
再び本日の案件を見直す。

嫁、Bを俺に見せ 
「えっとね、こことここの表現、もう少し砕けた感じで」 
「こことここは順序を変えたほうがわかりやすくない?」 
「ここは、このままでもいいんだけど、
ちょっと表現が厳しいです」 
「ここはAの表現に戻して」

とかとかとか。 
等々伝え「いま直せる?」と。 

直すべき場所がわかってるので、
たいした労力でもない。 
30分くらいで修正できた(C)。 

それを見せると

「うん、じゃ悪いけどちょっと待ってて」 

俺、隣組の空席で待つ。 

「残業時間じゃないんだから自由にしててねー」 

隣組
「嫁さん、怖いでしょ(ニヤニヤ」 

「は、はぁ……」 

「悪いけど余計なこと言わないで」 
隣組
「へいへい(ニヤニヤ」 

居心地悪い……
この隣組も俺を蔑んでいるんだな…… 

15分くらいたったら「お待たせ」と嫁。

 
書類入りの封筒を俺に渡す。 
「これ(D)の使い方は後で伝えるから、
とりあえずしまっておいて」 
俺は自席に戻り机にそれを入れた。


「自分の何がいけないか、わかります?」 

「申し訳ありません。実は、よく……」 

「ですよね」 

嫁は厳しい顔で俺を見つめていた。
俺は消え入りたかった。 

その日はそれでお終い。
終業時間を1時間ちょい過ぎてた。 


「悪いけど残業代出せないから……」 

「はい、承知してます(さっきも聞きました)」 

「残業代替わりで悪いけど、
夕ご飯でもおごらせてもらえる?」 

「はぁ(「悪いけど」が多いな)」 

そんで飲みながらメシ食わせてもらった。 


俺の前の会社での経歴をかなり根掘り葉掘り訊かれた。 
あまりに詳しく聞きたがる嫁の態度と
今の仕事の出来がメチャクチャなことが重なって、
過去の経歴を話すのは恥ずかしかった。
自分の誇りだと思っていたから余計恥ずかしかった。 

「こんな経歴持ってるのに、今は全然ダメなんだね」

と、嫁に言われているような気がしてしまい……
(実際は全然そんなこと言われてない) 

後はグチだよね。
すっかり自信を失ってしまったこと、
自分が高飛車だったことも認めるが、
先輩の言動は正直きついことも話した。 
嫁は相変わらず「悪いけど」が多かった。
口癖だと思った。 

飲み始めこそ「責められてる」

と思ってたんだけど、話してるうち、
嫁は目つきがきつくて口調は鋭いけど
間違ったことは何も言ってなくて的確だと気付いた。 

俺は先輩とのやりとりでだいぶ参ってしまっていて、
嫁の「厳しい」指摘すら、
涙が出るほどありがたかった。 
酒の力もあったのか……
嫁は基本的に険しい顔してるけど、
たまに見える笑顔が魅力的だと思った。 

けっこうな時間になった。
俺はさりげなく
「遅くまですみません。ご家庭あるんですよね?」
と訊いてみた。 

「ん? あるけど?」 

……そうだよな。
そんなうまい話ないよな……と、再びトホホ。 


「じゃ、明日よろしく」
といういことでその日は別れた。

 
ご馳走になったお礼を言うと
「ううん、ごめんね」と言われた。 

何が「ごめんね」か分からなかったけど
「遅くまでごめんね」なのかと勝手に思った。

そして翌日。
まずはC(昨日嫁に指摘されて30分で直したもの)
を先輩に提出。 
先輩の対応はいつもどおりだった。

また直せと。 

いつもならこの流れで、
また時間をかけて文章を直すのだけど…… 
(数時間かかる) 
この日は違った。
昨日嫁から受け取った封筒があった。 
嫁から指示を受けていたのだ。 

「もしCを先輩に見せてまたダメ出し受けたら、
2時間後にこの封筒(D)を、
俺が作ったフリをして先輩に渡せ」 と。 

その指示通り、2時間くらいしてからDを見せる。 
先輩はまたしてもいつもどおり
ため息つきながら「ハァ、これでいいよ」と…… 


「そんなに気に食わない出来なんです?」 
嫁がいつの間にか後ろに立ってた。 

先輩
「いやぁ、何というか……」 

「それ作ったの誰だと思います?」 
先輩
「……え?」 
先輩が答えるより前に嫁「私」。 

突如キョドる先輩。
慌ててDに再び目を落とす。 

先輩
「嫁さんのでしたか……すみませんよく読まないで。
よく読むとやっぱ全然ちげーわ。スゲーわかりやすいd」 

「よく見ないで返事したんだ?」 

先輩
「……すみませんでした。
俺さんのは、いつも出来があんまり……
だったので、今回もそう思い」 

「悪いけどそれ(D)、
さっき俺さんが見せたの(C)と殆ど同じですが?」 
先輩
「」 


「それ(D)は、確かに最後手を入れたのは私だけど、
本文はCと殆ど変わりません。語尾が違う程度」 
先輩
「あの、そっ」 


「殆ど変わらないのに、俺さんが作ったCはダメで、
私が最後にちょっとだけ書いたDは
気に食わないながらOKで、
その同じDをよくよく見直したら
スゲーわかりやすいんですね?」 
先輩
「いや、だからその」 


「悪いけど、
昨日俺さんに残ってもらったのは聞いてましたね?」 
先輩
「はひ」 

「仕事見せてもらって、話も聞かせてもらったけど」

こっからずっと嫁のターン。

要約するとこんな感じ。
 
「確かに俺さんの原案は、
ウチの業務からするとちょっと『硬い』。
難しく感じるところもある」 

「これは、俺さんの経歴から来る癖である」 

そう、この会社は「同業他社」とは言ったけど、
顧客の属性が微妙に違って、
前の会社で書くもののほうが、
ちょっと畏まった文体が必要だったんだ
(あとで気づいた)

「でも、その部分をちゃんと指摘すれば、
俺さんはすぐに修正できる」 

「昨日私(嫁)が修正すべき点を指摘したら、
俺さんは30分で直せた。そして出来たのがCだ」 

「先輩さんは俺さんの書く文章に
違和感は感じたのだろうけど、その指摘をしていない」 

「ダメ出しだけされて、何が良くないかを伝えないから、
俺さんは修正に長時間かかり、
また的外れのところも多かった」 

「しかもCもDもよく読まず、
ちゃんと出来ているのに付き返し、
殆ど変えてないDをため息混じりに受け取り、
それを私が作ったといえばいきなり褒めだす」 

「最初に感じた違和感はともかく、
その後はしっかりとした理由も持たずに
俺さんに因縁をつけていただけ、
ということになると思うがどうか」 

先輩はうつむいたっきりになってしまった。 
嫁は更に続けた。 

「先輩さん、ことある毎に俺さんに
『使えねぇ』って言ってたんですってね?」 

「悪いけど、俺さんが『使えねぇ』んじゃありません。
あなた(先輩)が俺さんを『使うことができない』の」 

「意味分かる? 
俺さんが『使えねぇ』んじゃなくて、
あなたが俺さんを『使えねぇ』の!」 


「だから悪いけど上司として言います。
先輩さん、あなた本当に使えねぇヤチュ……だな!」 

俺(か、噛んだああぁぁぁ!!!!)

たぶん嫁は最後のところを
決め台詞っぽく言いたかったのだ。
なのに噛んでしまった。 

同時に向かいの机から噴き出す声が聞こえた。
チームの他のメンバーだった。 


「ぶふううぅぅぅwwww 
嫁さん、そこまでカッコよく決めたのに、最後wwwww」 

「う、うるさいな!!!!」 
嫁の顔を見ると真っ赤になってしまっていた。 

それでも先輩には堪えたようで
「失礼します」と席を立ち、その日は戻ってこなかった。 
その後、先輩は契約社員担当から外された。 

この一件の最中、
俺が処々で感じた「いたたまれなさ」は、
ほとんど全部被害妄想だった。 

最初、俺と先輩のやりとりで
嫁が鬼の形相をしていたのは、
俺にではなく先輩に対してブチ切れていた。 

その後の「正社員登用考え直さなきゃ」というのは、
実はこの先輩がまさに正社員登用だったんだ。 
(その経験がある先輩なら、
新しい契約社員(俺)の気持ちがよくわかるのでは、
ということで契約社員担当になった) 
だがこんな仕事をするんだったら
「考え直さなきゃ」という意味だった。 

隣組の人の態度は、
長年の付き合いで嫁が怒っているのに気が付いた。 
気の毒そうな顔は、
最初は「こいつ(俺)がターゲットか」と思ったから。
 
でもその後のやりとりで対象が俺でないと分かり、
ということは嫁が何か企んでるのもわかった。 

わざわざ隣のシマにPC借りに来るのも、
何か理由があるのだろう。 
だから「怖いだろ」とか茶々入れてニヤニヤしていた。 

「何が悪いかわかる?」と訊いたのは、
先輩からちゃんと指摘されてるかどうかの確認。
指摘されてないことがわかったから厳しい顔をしていた。 

経歴を根掘り葉掘り訊いたのは、
俺の「癖」が、どうして培われたかを理解するため。 
で、夕飯別れ際の「ごめんね」は

「本来ならば上司として、
もっと早く注意しなければいけなかった。
つらい思いをさせてごめんね」

という意味。 

「悪いけど」

は、嫁が興奮したり緊張したりすると
連発する口癖だというのもあとからわかった。 
実は部下を叱りつけるのは馴れてなくて、
かなり緊張していたんだそうだ。

ごめん、もう終わりみたいなものだけど、
あと1レスだけある。
が、子を迎えにいかねばならぬ。
今日は嫁が忘年会なのだ。
折を見て、ラスト投稿します!

回るお寿司屋に来ました。 
ラストです。↓ 

後日タイムカードを見ると、
例の日のタイムカードに修正印が押されて、
俺が残業したことになっていた。 

(この会社は原則的に契約社員は残業をしない。
やむをえない事情のときのみ上司の許可を得て残業できる)
 
(それとはまた別に、
押し間違えたタイムカードの修正には上司の修正印が必要) 

疑問に思い嫁に問いかけると
「必要があって残ってもらったのだから残業と認めます」と。 
俺は恐縮した。
「あれ? でもそしたら、
何で当日は「残業代出ない」ておっしゃったのですか?」 

そう訊くと嫁はうつむき、
聞き取れないほどの声でボソボソと何か呟いた。 
俺「え?」 耳を近づける。 


「……悪いけどそれは……ごはん誘う口実……」 

顔が、噛んだ時と同じくらい赤くなっていた。 

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