昔から、健康を示すバロメーターとしてよく「快食、快眠、快便」などといわれる。確かに、日々のご飯がおいしくて、よく眠れて、お通じも快調ならば、おおむね健康に違いない。
逆に、体調が悪くなると、たいていこれらの快適さが失われる。体のバランスがどこか崩れ始めた証拠だ。
今回は「快便」、すなわち「うんち」に注目したい。うんちは、出た“現物”を客観的にチェックできるので、指標としてとてもわかりやすいのだ。
■色、形、におい…うんちに腸内環境が現れる
今回、お話をしてくれるのは、理化学研究所の辨野義己さん。腸内細菌の研究の傍ら、うんちに関する著書をたくさん書いている「うんち博士」だ。
「いいうんちの条件はまず、気持ちよく出ることです」と辨野さん。おおっ、やっぱりカギは「快便」ですか。
「そうです。ストーンと出て紙もいらないぐらい後味スッキリなのが理想的。そんな健康なうんちでは、含まれる水分は約80%です」。水分がこれより多いのは下痢気味のドロドロうんち、少なければ便秘気味のカチカチうんちで、どちらも快便からは遠のいていく。
「色とにおいも、いいうんちを見分ける大事なポイントです」
理想のうんちは黄~黄褐色。これは大腸内の善玉菌が元気な証拠だ。善玉菌が元気なとき、大腸の中はpH6.2~6.8程度の弱酸性。すると胆汁分泌が抑制され、うんち全体が黄色っぽく色づく。だが悪玉菌の勢いが強くなると、腸内は弱アルカリ性(pH7.5程度)になり、色が黒ずんでしまう。においも、善玉菌優勢のときは香ばしい程度だが、悪玉菌が増えると強烈に臭くなる。
もうひとつ大事なのが、形。いいうんちはバナナ状で、途切れることなく一続き。固さがちょうどいいから、スムーズに出るのだ。これが水分の少ないカチカチうんちだと、途中でぶつぶつ切れがち。逆に、便器の中で崩れて原形をとどめないほど軟らかいのは、ドロドロうんち。
「ほかにも、ミミズのような細いうんちや、ウサギの糞のようなコロコロしたうんちもあります」。細いうんちは食物繊維不足、コロコロしているのはストレスの影響で腸の動きが悪くなっている証拠だという。
なるほどね~、腸の状態が反映されて、うんちにいろいろなサインが現れるわけだ。でも、サインに気づいたら、どうすればいいのだろう?
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