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清原和博被告に懲役2年6月求刑!涙の謝罪「申し訳ない...」これが公判内容の全て!!

覚せい剤取締法違反の罪に問われた元プロ野球選手の清原和博被告(48)の初公判が17日、東京地裁(吉戒純一裁判官)で開かれた。
2016/05/17 UPDATE
 
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清原被告に懲役2年6月求刑。判決は31日。

覚せい剤取締法違反の罪に問われた元プロ野球選手の清原和博被告(48)の初公判が17日、東京地裁(吉戒純一裁判官)で開かれ、検察側は懲役2年6月を求刑した。判決は31日に言い渡される。
清原被告は起訴内容を「間違いありません」と認め、被告人質問で「ストレスや不安は野球で解決できていたが、引退後は薬物に負けてしまった」と述べ、「プロ野球を目標とする少年たちに申し訳ない」と涙ながらに謝罪した。弁護側の情状証人として野球評論家の佐々木主浩氏(48)が出廷。清原被告の人柄などについて証言したほか、「2回目はないと強く信じる」として清原被告が更生するためのサポートを約束した。
2月2日に逮捕されて以降、公の場に姿を見せるのは105日ぶり。紺のスーツにネクタイを締め、緊張した表情で入廷した清原被告は、裁判官から氏名を聞かれると小さい声で「清原和博です」。職業を問われると「今は無職です」と返答した。
《高校生のときにはPL学園高校でエースの桑田真澄氏と「KKコンビ」として活躍し、甲子園大会で2度の優勝を果たした。西武在籍の11年間に4番打者として8度のリーグ優勝、6度の日本一に貢献し、通算本塁打が525本を数えるなど野球界で華々しい成績を残した清原被告がなぜ、薬物に手を出したのか。3月に保釈されて以来、初めて公の場に立つことになり、その発言に注目が集まっている》

公判内容

《午後1時30分。傍聴人で満員の東京地裁425号法廷に紺色のスーツ、青っぽいネクタイ、白いワイシャツ姿の清原被告が入廷し、一礼した。逮捕時と同様、顔は少し日焼けしているようにみえるが、ひげはなく、少しやせた印象だ。佐々木氏はすでに法廷に入り、後方の傍聴席に座っている。吉戒裁判官が開廷を告げ、清原被告は証言台の前に立った。氏名や生年月日、住所などを尋ねる人定質問が始まる》

 裁判官「仕事は何をしていますか」

 被告「無職です」

 《大きな体ながら、その声は小さい。続いて検察官による起訴状の朗読が始まった。起訴状によると、清原被告は今年2月、東京都港区内で覚醒剤を使用した上、覚醒剤約0・2グラムを所持。また昨年9月ごろ、群馬県みどり市の無職、小林和之被告(45)=覚せい剤取締法違反(譲渡)の罪で公判中=から同県内で、覚醒剤1・2グラムを8万円で譲り受けたとされる》

 《起訴状朗読の間、清原被告は直立不動。起訴状朗読が終わると、吉戒裁判官が黙秘権などについて説明。その上で、起訴内容についての認否を尋ねた》

 裁判官「検察官が読み上げた内容に、間違いはありますか」

 清原被告「間違いありません」

 《傍聴席にいた記者たちが速報を伝えるために慌ただしく法廷を後にする。認否に続き、検察官が事件のストーリーを示す冒頭陳述が始まった》 

《覚醒剤を使用したなどとして、覚せい剤取締法違反(使用、所持、譲り受け)の罪に問われた元プロ野球選手、清原和博被告(48)の初公判。「間違いありません」と起訴内容を認めた清原被告が弁護人の間に着席すると、女性検察官が冒頭陳述を始めた》
検察官「検察官が立証しようとする事実は次の通りです」

 《まず読み上げたのは、清原被告の「身上経歴」だ》

 検察官「被告人は大阪府岸和田市内で出生。高校卒業後に西武ライオンズで稼働し、球団移籍などを経て平成20年に引退しました」

 《犯行当時については「タレントなどとして活動していた」と述べた。検察官は家族構成にも言及する》

 検察官「婚姻歴があり、子供をもうけるも離婚し、当時は単身生活していました」

 《清原被告はモデルの亜希さん(47)と12年12月に結婚し、2人の息子がいるが、26年8月に離婚している》

 検察官「遅くとも現役を引退した20年ごろから覚醒剤を使用するようになり、繰り返し使用していました」

《検察側の冒頭陳述によると、26年8月ごろから、群馬県みどり市の無職、小林和之被告(45)=覚せい剤取締法違反(譲渡)罪で公判中=から覚醒剤を調達するようになったという》

 検察官「27年9月1日、被告人は小林(被告)に電話し、群馬県内のコンビニエンスストアで合流。公訴事実記載のホテル客室内で覚醒剤約1・2グラムを代金8万円で譲り受けた。28年1月31日、被告人は小林(被告)に電話し、覚醒剤を注文。代金4万円で購入し、2月1日ごろ、公訴事実記載のホテル客室内で小林(被告)から購入した覚醒剤を注射器で使用しました」

 《清原被告はガラスパイプと、覚醒剤の入ったビニール袋を持って帰宅し、残りを自宅で使用したという。検察官は、28年2月2日に警視庁の捜査員が清原被告の自宅マンションに家宅捜索に入るまでの経緯についても説明した》

 検察官「捜査員にビニール袋内の覚醒剤とガラスパイプが見つかり、(覚醒剤)所持の事実で現行犯逮捕されました」

 《その後の検査では、清原被告の尿からも覚醒剤成分が検出され、使用の事実でも起訴された。清原被告は時折、左隣に座った女性弁護人の手元の資料に視線を落とすなどしながら、読み上げに聞き入った》

 《ここで、吉戒純一裁判官が、公判に提出された証拠について弁護側に意見を聞いた》

 女性弁護人「書証については全て同意します」

 《弁護側が同意したことを受けて、女性検察官が、逮捕の状況などについて記した証拠の概要を読み上げた》

 検察官「逮捕場所は被告人方。(捜査員が)被告人方に合鍵で入室したところ、被告人が左手に注射器とストロー片を持って立っていたこと。ダイニングテーブル上に白色結晶入りのビニール袋を見つけ、『これは覚醒剤か』と聞いたところ被告人が『はい』と答えたことなどが記されています」

 《女性検察官は早口で証拠の概要を読み上げる。ガラスパイプに付着した白色結晶からは覚醒剤0・15グラムを検出。自宅寝室のタオルの上にはガラスパイプが置かれ、台所からは注射器が押収された。証拠物に付着していた白色結晶からは覚醒剤が検出されたことを説明していく》

《次の証拠品として、検察官は清原被告が所持していたという、2つのチャック付きビニール袋に入った白い粉末状のものを提示した。検察官がそれらを手に持って、清原被告の前まで歩み出る》

 検察官「これを見てください。見えますか」

 《身じろぎせず、うつむいたままの清原被告に検察官がうながす。清原被告はやっと顔をあげ、検察官の手にあるビニール袋をみる》

 清原被告「はい」

 検察官「あなたのものに間違いありませんか」

 清原被告「はい」

 検察官「もういらないものですか」

 清原被告「はい」

 《清原被告の目には力がなく、強面で「番長」と呼ばれていたころの覇気を感じることはない。傍聴席でかろうじて聞き取れるほどの声で返事をすると、清原被告はまた視線を落とした》

 《検察官はさらに証拠の概要として、清原被告の尿からも覚醒剤が検出されたことや、清原被告の両腕の肘の内側に残った注射痕などについても説明していく》
《覚醒剤を使用したなどとして、覚せい剤取締法違反(使用、所持、譲り受け)の罪に問われた元プロ野球選手、清原和博被告(48)の初公判で、検察側は清原被告自身の供述調書を読み上げ、覚醒剤を常用するようになった経緯の説明を始めた》

 検察官「『引退後の生活は乱れていました。現役時代は試合がありましたが、(引退で)目標をなくしていました。左足が不自由になり、先生からは良くなることはないと言われました。実際に戦地に行った方には失礼ですが、私は戦地へ行ってけがをした兵士のような気持ちでした。いずれどこかのチームのコーチや監督になりたいと思っていましたが、依頼してくるチームはありませんでした。心の隙間を埋めるようにして覚醒剤を使うようになりました』」

 《清原被告は視線をあげることはない。検察官の読み上げは続き、覚醒剤の使用場所や入手ルートについて説明を続ける》

 検察官「『覚醒剤を使うのはたいていホテルの部屋でした。自宅には子供がいるので覚醒剤は使えません。平成22年ごろ先生の診療を受け、病院に入院しましたが覚醒剤をやめることはできませんでした。26年3月には週刊文春に私の覚醒剤疑惑が書かれると、マスコミの仕事もなくなってきました。本当に孤独でした。(覚醒剤に絡み関係があった)昔の知人に連絡をとるようになりましたが、やめたいと思っていたことは事実です。やめられなかったのは私の心の弱さだと思います』」

《孤独、心の弱さ…。清原被告は群馬県みどり市の無職、小林和之被告(45)=覚せい剤取締法違反(譲渡)の罪で公判中=に連絡をとったという》

 検察官「『小林に連絡をとったときには、収入や仕事に不安を感じていました』」

 《テレビのバラエティー番組などでたびたび目にしてきた豪快な清原被告のイメージとはかけ離れた弱々しい姿が語られる。検察官は供述調書の読み上げをやめ、このときの状況について解説していく》

 検察官「28年1月、小林に『ひとつお願いします』と電話をかけています」

 《ひとつ、というのは覚醒剤1パケという意味で、注射器2~3本とともに用意してもらい、清原被告は4万円を支払っていたという。2月1日、都内のシティホテルにチェックインすると、注射したり、ライターの火を使いガラスパイプであぶったりして使用。その後、知人に覚醒剤を使ったことを意味する「落ちた」とメールを送っていたという》

 《検察官の説明によると、清原被告が覚醒剤を使用する場合は、小林被告が一緒にいることが多かった。使用後、ぼうっと過ごしていて動けない清原被告のため、小林被告が飲み物などを買いに行くことがあった》

 《続いて、弁護人が証拠の説明を始め、清原被告の父、洋文さんの手紙について言及する》

 弁護人「本来なら証人になりたいが、狭心症の発作を起こしかねないということで手紙を書いてもらった。故郷の岸和田に(清原被告を)支援したい人が多くおり、支援する環境が多く整っているということが記載されています。また被告人を応援したい父としての心情がつづられています。寛大な処分を求める480人の署名が集まったことや、清原被告が洋文さんに青いグローブを買ってもらったときのことなどが書かれています。一部を読み上げます」

《弁護人が手紙を読み上げる》

 弁護人「『和博は私に手紙を書いて弁護人に託してくれました。手紙は生まれて初めてもらいました。手紙の中で和博はただ謝っていました。ごめんなさい、と書いていました。また、更生し人生をやり直すことがしっかりとした字で書かれていました。和博は、厳しい現実があると言っていますが、それ以上に難しいことが待っていると思います。人の役に立つ人間として生まれ変わり、人生をやり直してほしいと思っています。親としてできる限りの支援をしたいと考えています』」

 《清原被告がうつむいたまま鼻をすする。続いて弁護人は清原被告を幼少から見守った人とされる人物の手紙の一部を読み上げる》

 弁護人「『和博君は番長というイメージとは裏腹にまっすぐな男です。阪神淡路大震災では積極的に支援をしてきました。私たちで(清原被告の)更生を支援する会を立ち上げました。治療や高野山での更生のための万全の体制を整えます。知人宅を訪問し、寛大な処分を求める署名をお願いしたら、480人分がすぐに集まりました。私たちは一度の過ちで和博君を見限ることは考えてなく、もう一度立ち直ってほしいと考えています。和博君は街全体の宝です』」

 《弁護人は更生を支援する会が僧侶や建設業関係者で構成され、病院の手配や施設の確保をすると説明した。署名を集めた地域は清原被告が幼いころ、母親に自転車で伴走されながら走った道の近くなどだったことを述べると、清原被告が青いハンカチで目頭を押さえた》
 《覚醒剤を使用したなどとして、覚せい剤取締法違反(使用、所持、譲り受け)の罪に問われた元プロ野球選手、清原和博被告(48)の初公判。清原被告と親交がある元プロ野球選手の野球評論家、佐々木主浩氏(48)が弁護側の情状証人として証言台の前に立った。吉戒純一裁判官に促されて真実を述べる宣誓を行い、着席。清原被告が眉間にしわを寄せ、申し訳なさそうにうつむく》

 弁護人「もともと被告人とはいつ出会ったのですか」

 佐々木氏「最初に会ったのは30年くらい前。高3で一緒に写真を撮ったのが初めてで、親しくなったのは大学1年の時に共通の友人を通して食事をしてからです」

 弁護人「会ったときの印象はどうでしたか」

 佐々木氏「彼は高校の時からスーパースター。ミーハーな気持ちで僕から『写真を撮って』と言いました。清原君は笑って『いいよ』と言ってくれて、優しい人だなと思いました」

 弁護人「2人とも昭和42年度生まれの同級生ですね。すぐ打ち解けましたか」

 佐々木氏「最初からそうなりました」

 弁護人「親しくなったのは大学の時とのことですが、その後は定期的に会ったのですか」

 佐々木氏「予定が合えば食事をしていました」

 弁護人「昭和42年度(生まれ)のメンバーで会を立ち上げたといいますが、2人とも入っていたのですか」

 佐々木氏「はい」

 弁護人「いつごろ立ち上げたのですか」

 佐々木氏「2006年か07年で、清原君が初代会長になってくれました」

弁護人「それは自分がやりたいと言ったのですか」

 佐々木氏「いえ。人柄で、彼がやればまとまると思いました」

 《佐々木氏は淡々とした口調で清原被告との思い出を振り返る。清原被告はうつむいたまま動かない》

 弁護人「被告人は慕われていたということですか」

 佐々木氏「はい、そうです」

 弁護人「会の名前はなんですか」

 佐々木氏「絆の会という名前をつけました」

 弁護人「活動内容はなんですか」

 佐々木氏「少年野球教室を開いたり、引退した同級生との会合を持ったりして、この後、何ができるかを考えていました」

 弁護人「活動はいつまでやりましたか」 

 佐々木氏「4年間くらいです」

 弁護人「やめたのは理由があったのですか」

 佐々木氏「清原君が会長を降りたので行かなくなりました」

 弁護人「被告人の性格はどう感じていますか」

 佐々木氏「優しくて気が利く人間です」

 《清原被告は時折目を固くつぶり、佐々木氏の話を聞いていた》

 弁護人「エピソードがあれば教えてください」

 佐々木氏「一番は、今もですが、食事をした後、普通の人は『じゃあね』と言いますが、清原君はにこにこして『ありがとうね』と言ってくれます。僕はその言葉が好きで、また食事をしたいなと思います」

 弁護人「その時はいい顔をしているんですね」

 佐々木氏「はい。かわいい顔してます」

 弁護人「佐々木さん自身、『番長』というイメージは持っていますか」

 佐々木氏「ないです」

 弁護人「これまでに飲食店などで清原被告がトラブルや暴力沙汰を起こしたことはありましたか」

 佐々木氏「ないです」

《弁護人の質問は2005年、引退を決めた佐々木氏が最後に登板した試合の様子に移る。佐々木氏は清原被告がバッターボックスに立つことを要望し、その対戦は実現した》

 弁護人「なぜですか」

 佐々木氏「高校時代からライバルで、最後は清原と決めていたので、球団にお願いしました。最高のバッターだと思います」

 弁護人「どういう部分がですか」

 佐々木氏「思った通りのバッティングができて、ホームランを打つ“ツボ”が分かっている、一球に向き合う姿勢があります」

 弁護人「被告は努力家でしょうか」

 佐々木氏「努力家です。今では多くの選手が海外でトレーニングしていますが、その前からやっていました。身体の作り方を含め、野球には人一倍でした」

 弁護人「引退試合での打席ではどんな様子でしたか」

 佐々木氏「泣いてくれて感動しました。熱い気持ちが伝わってきて、あの対戦は心に残っています」

 《清原被告は佐々木氏のフォークを空振り三振し、涙を流しながら握手をしていた。当時のエピソードを清原被告は身じろぎもしないまま聞いていた》
《覚醒剤を使用したなどとして、覚せい剤取締法違反(使用、所持、譲り受け)の罪に問われた元プロ野球選手、清原和博被告(48)。証人として出廷した元プロ野球選手の野球評論家、佐々木主浩氏(48)への弁護人からの質問は続き、平成26年に週刊誌が清原被告の薬物使用疑惑を報じたことへの受け止めなどについて尋ねる》

 弁護人「(週刊誌の報道後も)付き合いを続けていましたね」

 佐々木氏「彼を信じていました」

 弁護人「佐々木さんが野球殿堂入りしたパーティーにも被告人を呼びましたか」

 佐々木氏「はい。(清原被告に)欠席と言われましたが、彼がいないとパーティーは成りたたないと思い誘いました」

 弁護人「なぜ欠席と言われたんですか」

 佐々木氏「当時、『家庭で問題がありマスコミがいるので、迷惑をかける』と言っていました。そんなことは関係ないと引っ張りました」

弁護人「その後、名球会のイベントで会いましたね」

 佐々木氏「(イベントは)野球教室で、明るく楽しそうで彼らしい様子でした」

 弁護人「名球会のイベント以降に、別の企画もしていましたか」

 佐々木氏「もう一度、何ができるか話しているときに事件が起きました」

 《質問内容は逮捕時の心境に移る。清原被告は、うつむきがちに佐々木氏の証言を聞く》

 弁護人「(薬物疑惑の報道後も)付き合いを続けていました。逮捕されましたが、どういう気持ちでしたか」

 佐々木氏「正直ショックでした」

 弁護人「信じていたのに裏切られたという気持ちですか」

 佐々木氏「裏切りというか、ショックでした」

 《証人として出廷した経緯について質問は及ぶ》

 弁護人「なぜ証人を引き受けたのですか」

 佐々木氏「昔からの彼を見ているので。親友だと思っているので引き受けました」

弁護人「(佐々木氏は)投手として実績があり、名球会理事、解説家や評論家としても活躍しています。証人をやることへの反対はありませんでしたか」

 佐々木氏「お話をいただいたときに即決で『分かった』とお返事しました。周りからは反対もありました。でも何ができるか考えて、何かしてあげたいと思いました」

 弁護人「出廷要請その日に返事をいただけました」

 佐々木氏「はい」

 弁護人「被告とはその後話しましたか」

 佐々木氏「はい。電話で『ごめんなさい』『すまない』と暗い声でしたが、本人の声を聞けて安心しました」

 弁護人「謝っていましたか」

 佐々木氏「はい」

 弁護人「今後も応援したいという人は野球界にいますか」

 佐々木氏「います」

弁護人「差し支えなければ具体的にありますか」

 佐々木氏「名前は言えませんが、先輩、後輩、同級生と話しています。彼は一生野球人ですので、何かしら(野球に)関わってほしいと思います」

 《佐々木氏は清原被告を「野球人」とし、一緒に野球を通じた更生の道を探っていくと強調した》

 弁護人「なぜ野球が更生につながると思いますか」

 佐々木氏「今でも野球人。携わることはいいことで、彼の技術を後輩に伝えてほしいと思います」

 弁護人「被告は著名人でメディアにも取り上げられると思います。立ち直ると思いますか」

 佐々木氏「サポートが必要だと思うので、皆さんにみていてほしい」

 弁護人「被告が再びやったらどうしますか」

 佐々木氏「2回目はないと信じています」

《弁護人の質問が終了。女性検察官が質問に立ち、佐々木氏に対し週刊誌報道後の清原被告の様子を尋ねた》

 検察官「様子の変化はありましたか」

 佐々木氏「いつも通りでした」

 検察官「被告自身が長い間やっていたと言っていますが、その中でも変わった様子はありませんでしたか」

 佐々木氏「僕の前では一切ありませんでした」

 検察官「具体的に(更生を)どう支えていきますか」

 佐々木氏「彼の体のこともあるので、相談しながら、同級生と野球教室やボランティア活動をやっていきたいと思います」

 検察官「難しいことだとは思いませんか」

 佐々木氏「これからの行動で示すしかないと思います」

 検察官「覚醒剤はどうやめさせますか」

 佐々木氏「野球のことをやります。いろんな方々と相談しながらやっていきたいです」

 《続いて、男性検察官が佐々木氏の出廷に関する質問を投げかけた》

 検察官「反対の声があったといいますが、差し支えない範囲でどういった声がありましたか」

 佐々木氏「僕のイメージとかを考えてくれました」

 検察官「(清原被告にとって)今後は球界での仕事は難しいのではないでしょうか」

 佐々木氏「今後の行動次第だと思います」

 《検察官からの質問は終了。最後に吉戒純一裁判官が質問を行う》

 裁判官「(逮捕されるまで)異変は感じませんでしたか」

 佐々木氏「感じませんでした」

 裁判官「報道の後に、薬物をやっていないか聞いたことはありますか」

 佐々木氏「聞いたことはあります」

 裁判官「結果的に裏切られました」

 佐々木氏「そのときはそうでしたが、もうやらないと信じています」

 《佐々木氏への証人尋問が終わり、いよいよ被告人質問に移っていく》
《覚醒剤を使用したなどとして、覚せい剤取締法違反(使用、所持、譲り受け)の罪に問われた元プロ野球選手、清原和博被告(48)の初公判。元プロ野球選手の野球評論家、佐々木主浩氏(48)の証人尋問が終わると、清原被告に対する弁護側の被告人質問が始まった。吉戒純一裁判官に促され、一歩一歩踏みしめるようにして証人席に座った清原被告は沈痛な表情をしていた》

 弁護人「プロ野球選手になり、初めてユニホームを着たのはいつですか」

 清原被告「1986年2月1日です」

 弁護人「30年後の2月1日に覚せい剤取締法違反の現行犯で逮捕されました。どう思いますか」

 清原被告「本当に情けないです」

 弁護人「選手時代には、ファンの方からたくさんの声援をもらっていましたが、今、その人たちにどのような気持ちを感じますか」

 清原被告「大変怒り、失望されたと思います。本当に申し訳…あぁぁ」

 《在りし日の栄光と今日の落差を感じて胸中にこみ上げるものがあったのか。清原被告は掠れた声を震わせ、謝罪の最後まで言い切ることができなかった》

 弁護人「裁かれる立場になってどう思いますか」

 清原被告「プロ野球を目指す子供たちにも申し訳ない。野球界にも大変なことをしてしまい申し訳…はぁぁ」

 弁護人「家族に対してはどう思いますか」

 《家族のことを問われると、清原被告は大きく深呼吸し、答えた》

 清原被告「…○○、○○(息子2人の名前)。2人の息子には、本当に申し訳ない気持ちです」

《続いて、弁護人は今回の事件の内容について問いかけた》

 弁護人「2月1日に覚醒剤を使用しましたか」

 清原被告「はい」

 弁護人「誰から入手しましたか」

 清原被告「小林さん」

 《清原被告に覚醒剤を譲渡したとして、覚せい剤取締法違反(譲渡)の罪で公判中の群馬県みどり市の無職、小林和之被告(45)のことだ。清原被告は起訴内容を認めており、覚醒剤に関しては比較的すらすらと答えていく》

 弁護人「小林さんは暴力団ですか」

 清原被告「自分は暴力団と認識してはいませんでした」

 弁護人「小林さんはあなただけに売っていたのですか」

 清原被告「わかりません」

 弁護人「入手方法はどこからだと聞いていますか」

 清原被告「聞いたことはありません」

 弁護人「暴力団から入手したのではないですか」

 清原被告「聞いたことはありません」

 《清原被告と暴力団とのつながりを否定する内容のやり取りを進める弁護側。清原被告は「警察の取り調べについては全て正直に話した」と答えた》

 弁護人「いつから覚醒剤を使っていましたか」

 清原被告「引退してまもなく」

 弁護人「現役時代はどうでしたか」

 清原被告「使っていません」

 《弁護人は同じ質問を繰り返し、現役時代は覚醒剤に手を染めていなかったことを強調していく》

 弁護人「それはなぜですか」

清原被告「やはり自分は9歳のときにはじめ、引退するまで野球を続けていました。その中でのストレスや不安は野球で全て解消していました。しかし、引退すると社会の中での日頃のストレスやプレッシャーに対する解決方法がなくなり、ひざの故障で足が思うように動かず、そのころから、そういう理由で薬物を使ってしまったのだと思います」

 弁護人「現役時代はコーチになるなどの夢はありましたか」

 清原被告「全ての選手が持つひとつの夢だと思います」

 弁護人「あなたもですか」

 清原被告「はい」

 弁護人「あなたは現役を引退し、退団してから、コーチや監督などの依頼はありましたか」

 清原被告「いいえ」

 《清原被告はうつむきがちになり、小さな声でつぶやいた》

 弁護人「現役引退後、野球以外の趣味はありましたか」

 清原被告「趣味を持とうと思いましたが、ひざの故障で日常生活もままならず、見つかりませんでした」

 《辛い現実から逃げるために薬物に手を染めた、と弁護側は説明していく》

 弁護人「平成26年3月、薬物使用の疑惑を報じた記事が出て、仕事はどうなりましたか」

 清原被告「ほぼなくなりました」

 弁護人「同じ年に離婚していますね」

 清原被告「はい」

 弁護人「今回のこと(覚醒剤の使用)は、離婚が理由ですか」

 清原被告「それもひとつの理由です」

 《清原被告は小さな声で答えた。弁護人の被告人質問が続く》
《覚せい剤取締法違反(使用、所持、譲り受け)の罪に問われた元プロ野球選手、清原和博被告(48)への被告人質問が続く。弁護人は覚醒剤の使用状況について尋ねた》

 弁護人「毎日、(覚醒剤を)使用していましたか」

 清原被告「いいえ」

 弁護人「どういうときに使っていましたか」

 清原被告「心の中の寂しさやプレッシャー、ストレスに耐えきれなくなり、1人になると衝動的に使ってしまっていました」

 弁護人「注射器は以前から使っていましたか」

 清原被告「昨年、初めてです」

 弁護人「(注射器での使用方法を)誰から教えられたのですか」

 清原被告「小林です」

 《小林とは、清原被告に覚醒剤を譲渡したとして、覚せい剤取締法違反(譲渡)の罪で公判中の群馬県みどり市の無職、小林和之被告(45)のことだ。これまでの被告人質問では小林被告を『さん』付けで読んでいたが、このときは呼び捨てだった》

 弁護人「平成28年1月31日に覚醒剤を買っていますね、なぜこの日ですか」

 清原被告「その日は週末で、息子と会うのを楽しみにしていましたが、しかし体調を崩してしまいました。(子供を会えないなどの)自分の状況や、(薬物使用疑惑などの)うわさ。そういうことで突発的に行ってしまいました」

 《弁護人はさらに、清原被告が覚醒剤を使用するときにどのような気持ちだったかについて質問していく。事実ではなく心情を問われると、途端に清原被告の背中は大きく上下し、掠れ声になっていく》

 弁護人「1月31日に覚醒剤を使用しましたか」

 清原被告「していません」

 弁護人「なぜですか」  清原被告「はぁぁ…自分の中の罪悪感、そういうのと戦っていました」

 弁護人「買ってはみたものの、何とか使わずにすまそうと戦っていたのですね」

 清原被告「はい」

 弁護人「罪悪感とは何ですか」

 清原被告「家族を失う、傷つける、周りの人を裏切ってしまう、心の弱さに逃げてしまう自分のこと」 

弁護人「結局使いましたね。辛いことは忘れられましたか」

 清原被告「自分の心の中のことですが、いろんなストレスやプレッシャーを忘れられました」

 弁護人「やめようと思ったことはありますか」

 清原被告「あります」

 弁護人「どのような頻度ですか」

 清原被告「使うたびに罪悪感がありました」

 弁護人「なぜ止めないのですか」

 清原被告「自分の弱さです」

 弁護人「覚醒剤を使うとどんな気持ちになりますか」

 清原被告「罪悪感があります」

 弁護人「(譲り受けた)覚醒剤1・2グラムは全部使ったのですか」

 清原被告「いいえ、全部使っていません」

 弁護人「残ったものはどうしましたか」

 清原被告「捨てました」

 弁護人「どうして捨てたのですか」

 清原被告「使っている途中で、罪悪感にかられて捨てました」

《弁護人は清原被告が覚醒剤から決別できるかどうかを確認していく》

 弁護人「今後、覚醒剤をやめることはできますか」

 清原被告「逮捕されて以来、いろんな本を読み勉強しました。大変厳しい、怖い薬物ということが分かりました。日々一日一日、覚醒剤と向き合い、自分の寿命が来るまで戦いたい」

 弁護人「どうしてやめることができるのですか」

 清原被告「こうしてここにいることや、逮捕されて留置場にいたときに、自分自身、そして覚醒剤についてずっと考えていました」

 《正面にいる吉戒純一裁判官をまっすぐ見つめながらも、時折声を震わせながら質問に答える清原被告。弁護人の質問は、逮捕後の取り調べの様子に及んだ》

 弁護人「取り調べの最中に覚醒剤を使いたくなったことはありますか」

 清原被告「ありません」

 弁護人「取り調べで(覚醒剤の)量を再現する際に、白い結晶を用いると思いますが、使いたいという気持ちになったことは」

 清原被告「(取り調べ中に)刑事さんに覚醒剤のようなものを見せられて、気分が悪くなり、取り調べを中止してもらいました」

《さらに清原被告は「先ほど証拠品として(覚醒剤を)見せてもらったが、とても苦しかった」と述べ、保釈されてからも覚醒剤を使用したいという衝動に駆られたことはないと強調した。その後、弁護人は小林被告と連絡を取るために清原被告が使っていた携帯電話の所在について確認する》

 弁護人「携帯電話は、今はどこにありますか」

 清原被告「弁護士事務所です。弁護士の先生や、ご支援してくれている友人と相談して、新しい携帯電話を持ちたいです」

 《弁護人から「今考えていることは」と問われた清原被告は、「薬物を断つためには何でもやりたい」「きちっと更生プログラムを受けて、薬と立ち向かい、更生するために何でもする」と薬物との決別を何度も強調した》

 弁護人「保釈されたときに、『必ず人の役に立つ人間になる』とメッセージを出しました。今後はどのように生活しますか」

 清原被告「逮捕されてから今日まで、一度も外を歩いたことがない。心と体を健康にすることが、自分のしたいことです。弁護士の先生や、こんな自分にも手を差し伸べてくれる人の意見を聞きながら、考えていきたいです」

《弁護人の質問が、情状証人として法廷に立った元プロ野球選手の野球評論家、佐々木主浩氏(48)について及ぶと、清原被告は声を詰まらせながら答えた》

 清原被告「本当に申し訳ない気持ちで…。(佐々木氏は)自分が逮捕された時に弁護士を通じてメッセージをくれました。保釈された後も、佐々木に電話した。法廷に立ってくれたことに心から感謝しています」

 《傍聴席の一番後ろで公判の様子を見守っていた佐々木氏は時折うつむきながらも、涙ながらに話す清原被告の声に耳を傾けていた》

 《PL学園高校時代から平成20年にプロ野球の現役を引退するまで、輝かしい経歴を持つ清原被告。弁護人が、佐々木氏が野球を通じて清原被告の更生を探ると述べたことについて問うと、清原被告は「大変ありがたいことだと思っています。しかし…」と話し、こう続けた》

 清原被告「更生の為に野球に向き合うというのは、野球に失礼だと思っています。心と体を健康にして、万全な態勢で野球に向き合いたいです」
《覚醒剤を使用したなどとして、覚せい剤取締法違反(使用、所持、譲り受け)の罪に問われた元プロ野球選手、清原和博被告(48)の初公判は弁護側による被告人質問が続き、女性弁護人が清原被告に体調を尋ねる》

 弁護人「体調は万全ではない?」

 清原被告「体調は…。糖尿の方は投薬治療で今おさまってますし、(留置生活で)耳鳴りや頭痛がひどいですが大丈夫です」

 《弁護人の質問は、周囲の支援体制にも及んだ》

 弁護人「友人はサポートを申し出てくれていますか」

 清原被告「はい」

 弁護人「親戚の方がお父さまと地元で嘆願書を集めたとありますが、これを見たことはありますか」

 清原被告「はい」

 《ここで、男性弁護人が嘆願書のコピーを検察官らに配布した。女性弁護人が質問を続ける》

 弁護人「あなたが見たことがある嘆願書とは、今、示したものですか」

 清原被告「はい」

《弁護人が嘆願書を読み上げる。「私たちは清原和博氏の更生を信じ…」と始まる嘆願書は「裁判官におかれましては、どうか寛大な処分をお願いいたします」と締めくくられ、計約480人分が集まったという。弁護人に嘆願書への感想を聞かれると、清原被告は時折、言葉を詰まらせながら答えた》

 清原被告「こういう風にして…。本来であれば、地元の恥さらしといわれてもおかしくない。こうして地元の方が応援してくれるのは…。感謝の気持ちでいっぱいです」

 《女性弁護人が「嘆願書を調書に添付していただきたい」と求めたが、女性検察官が「同意できません」と返答。吉戒純一裁判官は「裁判所としては、これを拝見するに留めたいと思います」と述べた。女性弁護人の質問が続く》

 弁護人「留置場の中で、お父さんに手紙を書きましたか」

 清原被告「はい」

 《「どのような内容でしたか」と問われると、清原被告は十数秒沈黙。ようやく発した言葉は涙まじりだった》

 清原被告「…。初めて買ってもらった青いグローブの話を書きました…。親不孝な息子を…。許してくださいと…。書きました」

 弁護人「お父さんの手紙を読みましたか」

 清原被告「はい」

 弁護人「読んでどう思いましたか」

 《弁護人の質問の後、清原被告がはなをすする音が法廷に響いた》

清原被告「…。親不孝な…。息子で…。申し訳ない。病を患っているにもかかわらず『俺も一緒に頑張るから、和博も頑張れ』と…。感謝してます」

 《言葉を区切りながら答えた清原被告。「保釈されて息子さんに会いましたか」と問われるとはなをすすり言葉を詰まらせる。「会いたいですか」との質問には絞り出すような声になった》

 清原被告「会いたいっす…。会って、謝りたいです…」

 弁護人「最後に何か言いたいことはありますか?」

 清原被告「沢山の人を裏切ってしまい…。申し訳ないです…」

 《傍聴席後方に座った元プロ野球選手の野球評論家、佐々木主浩氏(48)は、証言台の清原被告の背中をじっと見つめていた》

 《続いて、吉戒裁判官に促されて女性検察官が質問に立った》

 検察官「覚醒剤を使うのは、社会でのストレスやプレッシャーを忘れるためということでしたね?」

 清原被告「はい」

 検察官「でもまた、社会でのストレスやプレッシャーを感じて使ってしまう、ということを繰り返していたんですね?」

 清原被告「はい」

 検察官「最初、ストレスやプレッシャーを紛らわすために、なぜ覚醒剤を使ったのですか」

 清原被告「…」

検察官「はっきり覚えてないですか」

 清原被告「はい」

 検察官「ほか(覚醒剤以外)のものは思いつかなかったんですか」

 清原被告「引退後は一日、お酒に…」

 《語尾がよく聞こえず、傍聴席の記者が身を乗り出す》

 検察官「そこからなぜ、覚醒剤に?」

 清原被告「自分でもよく分かりませんが、今振り返ってみると、いつの間にかそういうものに頼っている自分がいたと認識しています」

 検察官「あなたの周りに、使っている人がいたんですか」

 《清原被告がはなをすすり、「はい」と答えた。検察官が、群馬県みどり市の無職、小林和之被告(45)=覚せい剤取締法違反(譲渡)の罪で公判中=の名前を挙げ、覚醒剤の使用状況について尋ねた》

 検察官「小林(被告)から買って覚醒剤を使い始めたのは、平成26年からということでしたね?」

 清原被告「はい」

 《検察官が、それ以前はどうやって入手していたかを尋ねると、清原被告は「小林(被告)を紹介してくれた人です」とだけ答えた》

 検察官「それは、暴力団関係者ですか」

 清原被告「いいえ、違います」

 検察官「どれくらいの頻度でしたか」

 清原被告「それはちょっと…。よく分からないです」

 検察官「注射器は昨年から使い始めたということでしたが、それ以前はどうしていたのですか」

 清原被告「ガラスパイプであぶったり…」

 検察官「これまで覚醒剤に費やしたお金はどれくらいですか」

 清原被告「…」

 検察官「聞き方を変えます。月にいくらくらいですか」

 清原被告「…。コンスタントに月にいくら、という使い方ではなく、何カ月も使わないときもあって、月にいくらというのは分からないです」

 検察官「多いときは?」

 清原被告「それもちょっと覚えてないです」

 《使用状況の詳細を尋ねる質問には、曖昧な答えが続く》

 検察官「何度も覚醒剤をやめようと思ったということでしたね?」

 清原被告「これは恥ずかしい話なんですが、何度も覚醒剤をやめるために、自ら命を絶つこと、そればかり考えてました」

 検察官「通院だけでなく、入院されていたこともありますか」

 清原被告「あります」

 検察官「通院途中でやめてしまうことは?」

 清原被告「カウンセリングだったり、入院もしましたけど、途中でやめたことはありません」

 検察官「最後まで通って、やめられると思った、ということですか」

 清原被告「やめられるというか、そういう治療をしていただいたので、そう思っていました」

 《話題は、逮捕前に報道された薬物使用疑惑にも及んだ》

 検察官「覚醒剤を使っているという疑惑の報道が出たときはどうでしたか」

 清原被告「報道は確かに苦しかったです…。仕事がなくなり、正直、つらかったです」

 検察官「その後も覚醒剤を使い続けたわけですよね?」

 清原被告「やはりその…。報道後の自分の生活、自分の心がすさんでいたんで…」

 検察官「報道により、逮捕されるとは思ってなかったんですか」

 清原被告「考えたことはありました。だから…。なかなかやめられない自分がいて、自ら命を絶つしかない…。そういう風に…」

 《検察官に「覚醒剤をやめられるという自信はどこから来るのか」と問われると、「前の自分とこれからの自分は、決定的に違うと思います」とはっきりと返答。その上で、こう続けた》

 清原被告「まず、心と体を健康にし、そして、留置場での生活、ここで証言している自分を一生涯忘れず、手を差し伸べてくれる人のアドバイスを聞きながら、やっていきたいと思います」

検察官「心と体を健康にするというのは、どうやるのですか」

 清原被告「14歳で電気屋の息子が全国区になり、走り続けて、社会に適応できず…。まずは空を見たり、風を感じたり…。今の生活を…したいと感じています」

 《ゆっくりと言葉を区切って答える清原被告だが、一部、声がこもって聞こえづらい》

 《ここで検察側の被告人質問が終了。続いて、裁判官が質問を始めた》
《覚醒剤を使用したなどとして、覚せい剤取締法違反(使用、所持、譲り受け)の罪に問われた元プロ野球選手、清原和博被告(48)の初公判で、吉戒純一裁判官が清原被告への質問を始める。吉戒裁判官は手元の資料に目を通しながら、ゆっくりと、穏やかな声で尋ねていく》

 裁判官「よろしいですか? 私から少し、質問しますね。まず、覚醒剤を使ってしまうという、そういうときに、使い続けてしまう前に、お父さんとか佐々木(主浩)さんに相談できなかったんですか」

 清原被告「長く選手を、野球を続けてきた中で、人に悩みを言うことは厳しかったです」

 裁判官「(平成26年に薬物疑惑を伝える週刊誌の)報道が出たときには、まだ奥さんやお子さんなど家族も近くにいたわけですが、家族に相談することもできませんでしたか」

 清原被告「自分でため込むタイプだったのと、心配させたくない思いもあって相談はできませんでした」

裁判官「覚醒剤を使っているときの感覚について教えてください」

 清原被告「ストレスや不安が一時的になくなるような感じがしました」

 裁判官「それを求めて使ったのですか」

 清原被告「はい」

 《覚醒剤に手を染めた原因として家族と別れた孤独、仕事面での不安などをあげ、そこから逃れたい一心だったことを強調する清原被告に対し、吉戒裁判官は覚醒剤が心身をむしばむ恐ろしいものであると警告する》

 裁判官「覚醒剤を使用することによって、幻覚やさまざまな作用のせいで他人を傷つけてしまうこともあります。その危険性は知っていましたか」

 清原被告「そこまで深い認識はなかったですが、逮捕後にいろいろな作用がある話を聞き、危険なものだったのだと思うようになりました」

 裁判官「ご自身が幻覚などを経験したことは」

 清原被告「ありませんでした」

 裁判官「今後も、家族やお子さんに会えないこともあるかもしれません。それでも、また覚醒剤を使用してしまうことはありませんか」

清原被告「もうこれ以上…」

 《言葉が続かない。数秒の沈黙のあと、「ひっ、ひっ」とひきつらせるような呼吸の音、鼻水をすする音が法廷に響く。傍聴席には背を向けているため、その表情をうかがうことはできないが、涙を拭くしぐさをしていることがわかる》

 清原被告「私は留置場にいてわかりませんでしたが、犯した犯罪によって報道される姿を、息子たちに…見せることを二度としたくありません」

 《ひと息に思いを吐き出すと、背中を丸めうなだれる。吉戒裁判官に促されて席に戻る最中も、清原被告は人目をはばかることなくハンカチで目元を押さえ涙を拭った》

 《被告人質問が終わり、吉戒裁判官は検察官による論告求刑に移ることを伝える。求刑時の清原被告の表情を見逃すまいと、記者や法廷画家らは被告人席に向け、身を乗り出した》

 検察官「被告人は、遅くとも現役を引退したころから覚醒剤を使用するようになりました。(覚醒剤を譲り渡したとされる人物に)『ありますか』と述べるだけで入手できる状態にあり、長年使用していたことは明らかです。自宅からはストロー片や注射器のほか、ガラスパイプに詰められた覚醒剤も見つかっていて、覚醒剤が生活の一部になっていたことがうかがえます。親和性、常用性は高く、再犯の可能性も高いといえます」

 「引退後、目標を失ったといいますが、タレント活動などもしていました。使用したきっかけとされる『心の隙間を埋める』というのも酌むべき理由ではありません。一方、被告人は前科、前歴がなく、支援を申し出てくれている家族や友人もいることから、懲役2年6月を求刑します」

 《清原被告はうつむいたまま、表情を変えることなく検察官の言葉を聞いている。速報を伝えようと記者たちがあわただしく席を離れる。論告求刑に引き続いて、弁護人が意見を述べるため立ち上がった》

 弁護人「被告は野球選手として多くの人に夢を与えてきました。薬物に手を出したことを心から悔い、繰り返し謝罪の言葉や気持ちを伝えてきました。留置場での生活で心身ともに疲弊し、今も耳鳴りなどに苦しんでいます」

 「長期間の報道で社会的制裁を受けたといえます。今後は被告が野球に携われるように申し出てくれている友人や、更生の力になろうという地元の支援者らもいます。同時に、再び覚醒剤を使用すれば、こうした人々の信頼を失うことを被告は十分承知しています」

 《清原被告の出身地、大阪府岸和田市では、地元が生んだヒーローへの寛大な処分を求める嘆願書も集められた》

 弁護人「被告人は更生に向け一生戦う決意があります。強(きょう)靱(じん)な肉体と精神力を持っていることから、見事に立ち直った際には人の役に立つことが償いとなります。本人が更生を望んでいることから更生の機会を与えられることが必要であり、寛大な判決を求めます」

 裁判官「被告人は証言台へ」

 《清原被告がゆっくりと立ち上がり、うつむいたまま証言台へ向かった》

 裁判官「以上で審理は終わります。最後に何か言いたいことはありますか」

 清原被告「本当に、申し訳ありませんでした」

 《3秒ほど頭を深く下げた清原被告は、吉戒裁判官に促されてゆっくりと席に戻った》

 《午後3時32分に閉廷。佐々木氏が退室の際、清原被告の脇を通りかかって握手を求めた。その手を握りかえす清原被告。退出する佐々木氏の背中を見送った後、弁護人に声を掛けられると、出入り口で振り返り一礼し、法廷を後にした》

コメント

11
  • 1. lanikane
    2022-09-19 15:40:09 [通報]
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  • 4. まとめいく訪問者
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  • 7. hkf
    2023-09-22 16:48:12 [通報]
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  • 8. timothyferriss
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  • 9. timothyferriss
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  • 10. billei43
    2023-12-18 16:25:10 [通報]
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