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【沖縄の貧困問題】なぜ琉球大のエリート女子は、風俗嬢になることを決めたのか

すさまじいDVの実体
2016/08/05 UPDATE
 
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  • 平均年収全国最下位

  • 中村敦彦というノンフィクションライターがいる。

    彼は東洋経済オンラインにおいて、現在女性の貧困についてのルポを執筆しているが、
    平均年収全国最下位、離職率全国1位の沖縄県で貧困に苦しんでいる、ある女性を取材した。
  • 私がこんなになってしまうのは、あいつのせい

  • 「無職です。たまにソープに出勤するくらい。私がこんなになってしまったのは“あいつのせい、あいつのせい”という気持ちが強くて、恨んでばかりだったから。ずっと精神状態が悪くて、ご飯を食べれなかったり、眠れなかったり。最悪なときは歩けなくなった。相手を恨むことをやめようと決めてから、ちょっとずつ回復しています。今は過去のことを、もう何とも思わなくなりました」
  • 1時間半遅れで待ち合わせ場所に現れた新垣玲奈さん(28歳、仮名)は遅れたことを何度も謝ってから、そう語りだす。沖縄のヒエラルキーの頂点と呼ばれる琉球大学中退、現在は実家で両親、年齢の離れた妹弟と暮らしながら、那覇市内のソープランドに勤める。

    新垣さんは典型的な琉球美人だった。しかし、安定剤の影響か、若干ろれつが回っていない。ゆっくりとしゃべる。健康体でないのは言葉を交わせば明らかで、とても就業できる状態ではなかった。それを本人も自覚していた。観光客でにぎわう国際通り、新垣さんは無理して人混みにやってきたという状態だった。彼女を壊したのは、恋人によるDV(ドメスティックバイオレンス)である。
  • 元カレと出会って、人生がおかしくなった

  • 沖縄県の所得、雇用、離職、離婚が全国最悪なのはお伝えしたが、家庭内における暴力=DVも多い。県内有数の上位高校から琉球大学に進学、明るい未来があったはずなのに、いったい何があったのか。

    「別に高校も大学もたいしたことないです。先生に“やれ”と言われたことを覚えて書くことが得意だっただけで、テストで高い点数は取れた。大学に行って自分でテーマを決めて、興味あることを調べて、自分の意見をまとめてレポートにする、ということは苦手で、琉球大では劣等生。成績は悪いながら、大学3年までは飲食店のアルバイトと学業を両立できて、公務員試験でも受けようかなとか思っていました。そんなころ、元彼と出会っちゃって、人生がおかしくなりました。彼氏は自衛隊員ですね」
  • 当時、大学の近くでひとり暮らし。学費は親が払い、家賃と生活費は毎月6万円が振り込まれる第一種奨学金と、アルバイト。飲食店と塾講師を掛け持ちして月10万円ほど、学業とアルバイトの両立はできていた。大学3年の春。新しくできた恋人が転がり込み、同棲をするようになった。

    「最初は優しかったし、一緒にいて楽しかったので付き合ったけど、まず金銭的に依存してきた。給料が少なくてお金がないっていつも言っていて、食費とか遊びに行くお金とか全部私が払ってました。クルマの免許も事故で免許取り消しになって、送り迎えとか全部させられた。私もお金と時間が足りなくなって、大学3年から第二種奨学金を毎月12万円のフルで借りた。奨学金は全部彼氏に持っていかれるみたいな状態です」

    彼氏は職場への送り迎えから、食事、デート、彼女がなんでも面倒みてくれることを望んだ。なにをしてあげても、それが当たり前のことと思っていた。大学はゼミと研修が始まり、忙しくなった。アルバイトも週4、5日は働かないと、ひとり暮らしの学生生活は維持できない。「バイトもあるし、もう、送り迎えはできない」と言ったとき、彼氏の暴力がはじまった。
  • 警察には“スナックで働いているあなたが悪い”と言われた

  • 出典: kozaweb.jp
  • 「蹴る、殴る。蹴る、殴るです。日常的に殴られるようになった。とにかく恐ろしかった。レポートやりたいって言っても、“はっ? まだ話終わってないし”って、やらせてもらえない。彼氏が怖くて時間を作れるように飲食店をやめて、時給のいいスナックで働き始めた。けど、今度は客に嫉妬されてもっとDVはひどくなった。カラダはあざだらけ、半袖のシャツは着ることができないくらい」

    新垣さんだけではなく、沖縄の風俗や水商売界隈で働く女性たちは、必ずって言っていいほど恋人によるDVの話をする。それは、どの程度の暴力か。トラウマになっているのか、当時の暴力の話になると、さらに言葉が聞き取りづらくなる。

    「私が運転しているときに暴れて、クルマの窓ガラスを割るとか。運転中にガンガンって殴って、視力かなり悪いけど、殴られてコンタクト取れて何も見えないのに、そのまま運転しろとか。どうして別れなかったかというと、半同棲なので家は知られているし、実家もバレちゃっているから逃げられない。一度、殺されると思ったとき、警察を呼んだの。殴られておしっこを漏らしちゃった。恐怖で漏らすってよく言うじゃないですか、それは本当のこと。コンビニでパンツを買ってくるって言って、そこから通報した。私と彼氏が事情を聞かれたけど、警察には“スナックで働いているあなたが悪い”って言われました」
  • 暴力と暴力の毎日で

  • 出典: s.webry.info
  • 暴言と暴力を毎日浴びるようになって、彼女は人が怖くなっている。ゼミの同級生の前でプレゼンができなくなった。人前に立つと、言葉が出なくなる。そして、不眠症が始まった。時間どおりに通学ができなくなり、欠席が増えた。友達の家や実家に逃げても、ひっきりなしに電話がかかってくる。

    「眠剤飲むようになって、欠席が増えていたし、学校に行くのが怖くなっちゃった。行かなきゃ、行かなきゃって思ったら、夜泣いちゃって、朝までずっと泣きっぱなしとか。とにかく、まったく眠れない。単位取れなくて、もう厳しいなって。あのころは感情が崩壊していて、運転しているときに涙が出っぱなしとか。授業を受けていても涙が止まらなくて、先生に心療内科に行けって言われた。診断は双極性障害でした。留年が決まって、彼氏から逃れるために2カ月くらい内地に行きました。その彼氏とは、それっきり。生きているのか死んでいるのかわからない。自衛隊の近くは、もしも会ったらって恐怖があるから、今も近づくことができません」

    沖縄は県民が総じて所得が低く、ほとんどの県民が個人で自立して生きるのは経済的に難しい。その厳しい状況を“家族”によって乗り越えている。共稼ぎは当然、3世帯、4世帯で同居するのは一般的であり、低賃金ながら老人から子供まで家族全員が働き、生活ができる世帯収入を維持する。

    子供が親に、親が子供に依存する、家庭内互助は一般的だ。沖縄は離婚率が圧倒的に高い。離婚の大きな原因は、配偶者によるDV。それは家族に依存する文化が生んでいた。多くのケースで自立できない男性が配偶者や恋人に「どうしてもっと面倒をみてくれないのか」と迫り、力が弱く、情に厚い沖縄女性たちは身体的、経済的な虐待の被害にあう。
  • “あなたの子供堕ろしました”

  • 不眠症を患って昼夜逆転した新垣さんは、飲食店や塾講師で働くことも困難となった。松山のキャバクラに入店して、20時~朝方まで働くことにした。月収20万円ほど、毎月18万円が振り込まれる奨学金はそのまま借り続けていて現在に至るまで返していない。

    「キャバクラで働きだして、ほかの店でボーイをやっていた人を好きになっちゃって一緒に住んだ。やっぱり、寂しくなって。その人もお金がなかった。沖縄は夜の仕事をしても給料は安かったり、上の人がいい加減で給料が出なかったり。もらっていても、たぶん10万円台だと思う。経済的に甘えられて家賃、タクシー代、ご飯代とか、お金は全部私が出しました」

    2人目の彼氏にも経済的に依存され、奨学金として毎月振り込まれるお金は消えた。

    「あと女癖が悪かった。何人も彼女がいるみたいな感じで、あまりにもムカついたので、荷物とか全部まさぐったら、昔の彼女の手紙が出てきた。籍は入れていないけど、子供がいるというのは知っていた。で、“あなたの子供堕ろしました”って書いてあって、何人、堕ろさせているんだって。その子供を産んだ人も、過去にその人の子供を一度堕ろしていて、最後、私も堕胎させられたから」
  • アルコール依存症

  • 同棲する彼氏に恋人が何人もいて、経済的には依存されている。不満が溜まって、当然ケンカになる。暴力も始まった。

    「そのころからアルコール依存が始まった。私、酒癖悪い。酔うとグダグダグダグダ文句を言うみたいで、彼氏にそのままお風呂場連れて行かれたり、髪の毛つかまれて水漬けにされたり。トイレの中に頭を突っ込まれたり。すごくストレスが溜まる生活でした。アルコールと眠剤に逃げるようになって、眠れないし、朝から晩までお酒を飲むようになった。頻繁に記憶がなくて暴れたり、救急車で運ばれたりみたいなことを起こすようになって、最終的にはアルコールで入院するまでになって、今も治っていないです」

    精神病院に入院中に妊娠が発覚した。彼氏に伝えると、「堕ろせ、俺、お金ないけど」の一言。順調にいっていれば、大学4年の冬。実家の両親が娘の惨状に初めて気づき、実家に連れ戻された。

    「産んでいたら、どうなっていただろうって、今でも思う。あのときはもうボロボロで、1日中アルコールが抜けていない状態だった。もし子供を産んでいたら、アルコール抜くことができたのかな、とか。私も彼氏もお金がないから、手術代は親に出してもらった。付き添いは母親がしてくれて“本当にいいの?”って言われた。けど、彼氏はどこかに行っちゃっているし、どうにもならない。サインしたとき、泣きました」
  • 2度目の留年 大学を退学

  • 新垣さんは、実家でずっとお酒を飲むようになった。手が震えるようになって、最悪のときは自力で立てなくなった。立てないときは、トイレに這うように向かう。大学は2度目の留年が決まり、琉球大学を退学した。

    「私があまりにも壊れちゃっているから、親はもう諦めている。たぶん、生きていればいいかって感じだと思う。アルコール依存と、引きこもり。キャバクラで働いているとき、手が震えだしたから危ないなと思ったけど、本当に自分がアル中になるとは思わなかった。段階がある。出勤前に飲むのが普通になって、次はお昼から飲むのが普通になって、エンドレス。お金がないので、お酒代に困るんですよ」

    精神状態と体調が悪い、彼女は今もその日にならないと働けるかわからない。退学してもキャバクラは続けたが、無断欠勤、遅刻ばかりだった。店長に「飲み屋は無理じゃないか。時間の融通がきくソープしかないんじゃないか?」と提案された。新垣さんは、ソープ嬢になった。

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馬刺しを愛すお洒落なひよこです。

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