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【夏を目前に】お化けよりも人間の方が怖い!! 震えが止まらない実話厳選公開!!【PART13】

許せないくらい、憎い。でも、切ない。
2016/07/28 UPDATE
 
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肩を掴まれたみたいに、怖くて動くことができない。

叔父さんに頃されかけた時の話

叔父さんに殺されかけた時の話。

小学生の頃、家に叔父さんが居候してた。叔父さんは工場の仕事をクビになり、家賃も払えなくなってアパートを追い出され、やることもなく、毎日俺んちでゴロゴロしていた。

収入もなく、毎日安酒を飲んで寝てるだけの叔父さんだったけど、甥っ子の俺のことは可愛がってくれ、時々アイスを買ってくれたり、釣りやクワガタ採りに連れてってくれたりして、俺はこの叔父さんのことを好きだった。

叔父さんが居候しだして半年が過ぎた頃、ある土曜日の雨の深夜、親父と伯父さんが階下で言い争いをしてる声が聞こえた。

かなり激しい怒鳴りあいだったので、聞いてたラジオを消し、息を殺して聞いていると、バタンとドアが閉まる音がして叔父さんがドカドカと階段を上がってきた。

げっ、俺の部屋にくんの?とビビってると隣の仏間の障子がピシャっと閉まる音がした。俺はそっと布団に潜り込みしばらくドキドキしてたがいつの間にか寝入ってしまった。

翌日の日曜、俺の両親は店へ行き、家には俺と叔父さんの2人きりになった。俺は昨日のことは知らないふりで、日曜の昼のテレビを見ながら母ちゃんが用意してくれてた唐揚げで昼飯を食っていた。

叔父さんが、仏間から出てくる音がして、階段を下りる音が続いた。俺はちょっと緊張しながら

「おじさん、おはよ?」

と言うと叔父さんも

「おう、なんや、美味そうやな」

と一緒にご飯を食べだした。

「ツトム(仮名)、飯食ったら釣り行くか?」

と誘われたので俺も子供心に叔父さんを慰めてやろうと「うん」と同意した。

釣竿を2本持ち、仕掛けの詰まった箱をバケツに入れて、俺と叔父さんはいつも釣りに行く近所の滝つぼへ向かった。

滝つぼは前日の雨で水位が増し、コーヒー牛乳色の濁流が厚い渦を巻いていた。

「あんまり釣れそうやないね」

と俺が言うと叔父さんも

「どうやろか、ちょっとやってみようか」

と応えた。

「こう言う時の方がかえって釣れるもんやけん。ウナギとか釣れるとぞ」

と言い、叔父さんは滝壺の方まで進んだ。俺はこんな奥やら行かんでいいのにな?と思いながらも、言葉すくなに早足で進む叔父さんの後をついて行った。

「ここでいいか」

叔父さんは滝壺手前の高い大岩の前で止まった。

「ツトム、この上から釣ろうか。ちょっと上ってみ」

と俺を持ち上げた。俺が脇を抱えられ岩の上に這い上がると、

「どうや?水の具合は。釣れそうか?」

と叔父さんが聞いてきた。俺は濁流が渦巻く水面を覗き込み、

「魚やらいっちょん見えんよ」

と魚影を探した。しばらく水面を見てた俺は、叔父さんの返事のないことに気付き「伯父さん?」と振り返った。

岩の下にいたはずの叔父さんは、俺のすぐ背後に立ち、俺を突き落とそうとするような格好で両手を自分の胸の前に上げていた。

振り向きざまに叔父さんの姿を見た俺は固まった。叔父さんは無表情で力のない目をしていた。セミの鳴き声をバックに時が止まった。

俺は何も言えずに叔父さんの目をただ見つめ返すことしか出来なかった。汗が頬を伝い、身動きの出来ない体の中でただ心臓の鼓動だけが高鳴った。

伯父さんも手を下ろそうとせずにただ無気力な目で俺を見つめていた。

どれくらい見詰め合っただろう。不意に叔父さんの背後の藪がガサガサとなった。両者ともはっと我に返り、藪に目をやった。

見るとこちらに気付く様子もなく近所の農家のおっさんらしき人が横切って行った。俺はおじさんのよこを通り過ぎて

「今日は釣れそうにないけん俺先帰っとくね」

とだけ言って歩き出した。

滝から少し離れると、俺は弾かれたように全速ダッシュで逃げた。振り返るとあの目をした叔父さんがすぐ後にいるような気がして、俺は前のめりになって全力で走った。

だいぶ走ったころ、自分がボロボロ泣いていることに気付いた。俺は家に帰らず、両親のいる店へと向かった。当時定食屋をやっていた両親の店で、俺は両親が店を終わるまで過ごした。

伯父はその日帰ってこなかった。

翌日の夜に親父が警察へ届け、数日後に水死体で見付かった。俺は滝壺であったことをいっさい語らず、伯父は一人で釣り中の事故で片付いた。

俺が持ち帰った仕掛け箱に叔父さんの字で書かれたメモがあった。それには

”ツトムを連れて行く”

とだけ書いてあった。

道徳的に気分が悪くなる人がいるかもしれない。あらかじめ謝っとく。あるアパートでのできごと…

じゃ、投下させていただきます。

すごく微妙な話で道徳的に気分が悪くなる人がいるかもしれない。あらかじめ謝っとく。障害者が出てくるけどそういった人たちを差別するつもりはありません。

俺の住んでる地域は、田舎ほど関係が密接でもなく、都会ほど我関せずでもない。

アパートなんだけどなんとなく他の部屋の人のこと知ってるし、大家も同じところに住んでいてよくあいさつしたり雑談したりするし、でも噂話とか悪いのに限って耳に届きやすい、そんな場所。

俺はそこに何年も住んでいて、他の人もあまり出たり入ったりしないからなんとなく下で顔合わせて、あー〇階の××さんだーとわかってあいさつ。顔見知りとはたまに立ち話もした。


そのアパートに一人おっさんが住んでた、たぶん俺より前から。

そしてたぶん娘と思われる女もいた、その娘さんは見た瞬間、ああ知的障害のある人だってすぐわかる人で奇声あげたり、ブツブツ何か言ってたり、すごい格好で外出たりとかあった。

ちょっと怖いなとは思ったけど、相手は女だったし、父親も何考えてるかわからん不気味な人だったから極力関わらなかった。

どういう生活してるのかまではわからないけど、娘さんは月何日かこっちで親父さんと暮らして、それ以外はどこか別のところで生活してるっぽかった。

んで、ある時、夜中にその娘さんが大声でわめいてるわけだ。その日はもうずっと、俺が聞いてただけで1時間は休みなく騒いでた。

ドアをドンドン叩いたり蹴ったりしながら「開けろよーー!開けろ!!」って騒ぐの。父親に締め出されたにしても騒音迷惑すぎると思ったけど、やっぱり関わりたくない。

次第に同じ階の別の部屋のドアとかも叩き出して「開けてよ!開けてよ!」って涙声なの。

その娘さん、結構いい年なんだけど、口調が舌ったらずで、それで子供みたいに「開けてよー」て泣き叫ぶわけだ。怖かったけどなんか胸も痛かった。

誰か別の部屋の人が警察呼んだみたいで、娘さんは連れてかれたけど、翌日耳にしたこと、あの部屋の親父さん、亡くなってたそうだ。ちょっと前に事故死って言ってたけど、状況的には自殺じゃないかって。

それを娘さんは知らずにいつも通り泊まりに来て、鍵を開けてもらえず騒いでいたらしい。もうなんともいえない気持ちになった。

それから娘さんはまた来た。今度は事情がわかってるからよけいに怖いし悲しい。ドア開けて出て、そこにお父さんはもういませんよって言ってやる勇気もない。(恥知らずに本音を言えば声かけて逆ギレされたらイヤだって思いもあった)

何日か娘さんは通ってきて騒いだけど、しばらくすると来なくなった。

ほっとしたのも束の間、嫌な噂ばかり聞こえてくるもんで、娘さんが亡くなったそうだって聞いた(死因は聞いてない)

他人事だってわかってるのに強烈にあの「開けてよー」が記憶に残ってて落ち込んだ。夜眠れなくなって、病院行ったりもした。

夜にドアの外遠くで「開けてよー」って声がかすかに聞こえる。聞くたびに、開けてあげなくちゃって気になって怖い。声が聞こえなくなるとすごい罪悪感で気分が悪くなる。

他の人も同じような経験でもしたのか、結構長く住んでたはずの人も一人二人と出て行った。

新しく入る人は、あいさつも会釈もしないで目すらあわせずすれ違うドライな若者タイプが多かったかな。新規の人はあの出来事を知らないからか、特に何が気になる風でもなかった。

ほとんど口きかないからほんとのところはわからんけどね。特に付近でホラースポットだと話題になることもなかった。

俺もさっさと出払えばよかったけど、懐事情とか仕事とかいろいろあって、ずるずる残ってた。

もしかしたら、もうあの「開けてよー」が聞こえてるのは俺だけかもしれないって思うとよけいに出て行きにくかった。だから「開けてよー」って声が近づいてるなと思った時は、どうしようか本気で悩んだ。

近くにくるとドンッドンッて叩く音もかすかに聞こえてくるようになった。もし俺の部屋のドアを叩かれて「開けてよー」って言われたら、開けなくちゃいけないって本気で思った。

部屋が違うぞ馬鹿野郎とかこっちくんなとか勘弁してくださいとかもう頭の中ごちゃごちゃほとんど俺が病気みたいになってた。

んで、同僚A(妻子持ち)に2年以上も昔のことを未だ気にしてるのは異常だって言われてハッとした。

なんかつい最近の出来事ってイメージがずっとあったけど、実際その出来事から2年は確実に過ぎてる。

もう幻聴ってレベルじゃない。そもそも俺はそれまでこの「開けてよー」を神経過敏での幻聴だと思ってた。

そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。どっちにしろ俺が参ってたのは事実だってんで、Aが一日泊めてくれたんだ、奥さんと子供いるのに。

そしたらその日は全然聞こえてこない「開けてよー」が。朝起きてからAにそう言ったら、

「じゃあやっぱりあのアパートにいるから聞こえるんだ。早く引っ越せ」

って言われた。

すごい当たり前の対応なんだけど、こうやって一晩泊めてもらった上でこの言葉だからね。俺ちょっと泣きそうだったわ。

決心ついて即効次探して手続きして引っ越した。

環境変えたおかげか、幻聴「開けてよー」もなくなって不眠もだんだん解消されてきた。

憑いてくるタイプじゃなくてよかったって今は笑って言えるけどもしあの「開けてよー」が俺の幻聴じゃなくて本当の霊現象だったなら今もまだ「開けてよー」ってドアを叩いているのかな。誰かそれが聞こえる人はいるのか。

誰か開けてくれる人いるのか、誰も聞こえてないのに続けてるのか。考えるたびにどうしようもない罪悪感で息苦しくなる。

友人がオカルトを信じない理由がムナ糞悪すぎる…

私の友人はオカル否定派なのだが、そんな彼がなぜ霊を信じないのかと言う話。

彼は高学歴で社会的地位もあり、円満な家族を持ち、現在極めて恵まれた生活を送っている。そんな彼が中学の時、今から二十五年以上も前の話だ。

担任の先生から一人の級友の面倒を見て欲しいと頼まれた。

その級友と言うのは‥中学入学時に新しい制服を買ってもらえない程の貧しい家庭で、父親は不在で母親は現在で言えば養育能力がないと判断せざるを得ない人物であった。

昼休みには一緒に弁当を食べていたのだが、その級友の弁当は毎日、ご飯と梅干と魚肉ソーセージであったと言う。しかも級友はそれを自分で毎朝作っていると言うのだ。


もっとひどい話もあった‥たまに級友が妹を連れて彼の家に泊まりに来たと言う。級友は彼に何も言わなかったが、町の噂では、母親が男を家に連れ込んだ時には級友兄妹は家から追い出されると彼は聞いていた。

当然の事であるが、級友はイジメの対象となっていた。ふしだらな母親の事、貧しい家庭の事、その他もろもろ。

良くある話だが、同級生である町の有力者の息子とその取り巻きに惨(むご)い仕打ちを受けていたと言う話だ。彼は何もしないで級友を見ていたそうだ。

ここで、現在の彼を知る私は聞いてみた。なぜその級友を守ってやらなかったのかと?

「子供のルール‥」

とだけ、彼は答えた。

確かにそうだ。私も今では子を持ち、イジメ問題に大人の視点で綺麗ごとを我が子に言うが、私の中学時代にも子供のルールと言う名の惨い掟があり、それにしたがっていた事を認めざるを得ない。

そんな級友と彼は昼休み、残酷な同級生から逃れる為に図書館に逃げていたらしい。

級友は複雑な家庭環境で育ったにも関わらず純粋かつ聡明であったと言う。私はこの時、彼が他人を聡明と褒めた事に驚いた。

自信家の彼が褒めるのだから、その級友は相当聡明な人物であったのだろう。私の驚きに彼は、今まで級友ほど賢い者に会ったことはないとまで断言した。

中三になり県内一の進学校を目指す彼は級友の進路が気になった。

級友はお金をもらいながら勉強が出来る学校に行くと言う。そんな学校が日本にあるのかと不思議がる彼に、級友は悲しそうに話を誤魔化すだけであったと言う。

ただ、級友は嘘や妄想でそんな事を言っているわけではなかったようだ。新しい担任と熱心に進路について相談していたらしい。

しかし‥級友は受験に失敗した。彼は信じられなかった。級友を受け入れない学校がこの国にあるとは思えなかったからだ。

級友はその一度の失敗を持って進学を断念した‥同時に彼も進学をあきらめた級友から離れた。なぜ?と聞く私に彼は

「元々、内申書の為に級友の面倒を見ていたに過ぎない。級友が聡明であったので自分の学力向上と言う副産物も付いたが‥

受験直前期に進学をあきらめた級友の面倒を見るメリットはもはやなく、イジメのとばっちりと言うデメリットをなくしたかったからだ。」

彼はその後、級友との接触を極力断ち、受験に専念し見事、進学校に合格した。

そして卒業式の前日、彼は級友からの電話を受けた。級友は彼に友人として接してくれた事の感謝を述べた後、この友情が彼に迷惑をかける事になると詫びた。

彼が級友を最後に見たのは、翌日の卒業式が終わった後であった。

バットを持って同級生に襲い掛かろうとしているところを数人の教師に止められていた。級友は目から血を流しながら一人の同級生に向かって叫び続けていた。

「お前を絶対に殺してやる‥殺してやる。」

その顔は人間の顔ではなく鬼の顔であったと彼は言う。その翌日、級友は自殺した。三日前に級友の妹が自殺した同じ場所で首を吊って。

彼が担任から経緯を聞いたのは、町の人が噂をしなくなった翌年のお盆の事だ。

級友が自衛隊の学校に進学を希望していたのだが級友の左目は視力が失われていた為、身体検査で落ちてしまったと言う事。

級友は中二の時に同級生にモップの柄で左目を突かれた事と、級友の家庭が貧困であった為、適切な治療を受ける事が出来なかった為、失明してしまっていたのだ。

その上、級友が可愛がっていた中学生になったばかりの妹が自殺した件にも同級生が関与していたらしい。

私がここで関与していたらしいと書くのは彼が、級友の妹に何があったのかは話してくれなかったからだ。ただ非常に綺麗な少女であったそうだ。

彼はオカルトを信じないと言う‥

この世に恨みを持った人間が霊となり、復讐出来るのならばとっくの昔に級友が同級生に復讐しているはずだという。

「あの時、級友は町の神社の拝殿に真っすぐ顔を向け、睨み付けるように首を吊って死んでいる所を見つかった。それなのにあの同級生は今では父親の後を継ぎ、町の有力者として生きている。」

と彼は言った。

近所で有名な叫ぶおじさん[よーく絵を見てくださいいい!]

昔、私が中学生のころ、いっつも

「よーく絵を見てくださいいい!」

って誰もいないのに叫んでることで有名なおじさんが町にいたんです。かなり有名な人みたいで、言葉は悪いけど、まあ頭のおかしな人だったんだと思います。

何をするでもなく、町をフラフラ。何度か警察のお世話になったこともあるらしいです。

で、友達と一緒の学校の帰り道、その人に遭遇しました。相変わらず同じ文句を叫んでいて、私は嫌だなーって思って別の道を行こうと思ったんですけど、友達がスタスタとその人に近づいて行って、

「何が?」

って聞いたんです。友達は他にもう一人いたんですけど、私もその子もびっくり。多分、中学生のころの特有の怖いもの知らずっていうか、イキガリっていうか、そんなのだったんでしょうかね。

女の子なのに危ないよーって思いながら、見守ってたんですけど、おじさんから何かもらって帰ってきました。

「なんか、もらった」

封筒でした。中を開けてみると、一枚の写真。小さな、小学校低学年の女の子の写真でした。不思議なのは、女の子が真顔なんですよね。

小さな子の写真なのに真顔なんて…。三人で見てたら、その写真をもらってきた子が、ヒッって言って写真を落としました。

「どうしたの?」

「目に…」

言われて、見てみると目に満面の笑みのおじさんが映ってたんです。

『絵』じゃなくて『目』…

「よーく目を見てくださいいい!」

と遠くから声が聞こえて、私たちは逃げるように帰りました。

今思うと、あの写真の女の子、生気がなかったように思えるんですよね。
まさかとは、思うんですけど。

終わりです。

【事件?】友達が怪しいバイトに行ったきり帰ってこないんだが…

人生で一番怖かった話。

俺の友達Nがいいバイトを見つけたって言ってきたので内容を聞いてみると、夜中に運転手をやるだけで一日で5万もらえるという。

次の土曜日の一日限りのバイトなんだと言っていた。そして土曜日の夜中2時頃にそいつから電話がかかってきた。

「今、バイトでT山に来てるんだけどさ。このオッサンなんか怪しいんだよな」

俺が何が怪しいのかと聞くと

「荷物を俺に見せないし、この仕事の事誰にも言うなって言うし、今も穴ほってるみたいなんだよ」

俺が「まさか死体とか…」というと友達Tは

「もし俺が行方不明になったら坊主頭のオッサンに殺されたと思ってくれ」

と言って切ってしまった。

俺はびびらせようとしてふざけてるんだろうと思った。そして一時間後ぐらいにまたNから電話がかってきた。

「バイト終わったか?」

と聞いてみると無言で切れてしまった。その日はもう電話はなく、次の日になったのでNに電話をかけてみると電話に出ない。

夜の仕事だったので寝てるんだろうと思い、また次の日にかけてみたが全く電話に出ない。その後警察に捜索願が出ていると聞かされた。

まさか本当に殺されたんじゃないか…とすると2回めの電話は発信履歴からかけてきた犯人…?

あの電話の会話を全部警察に言おうかと思ったのだが、話ができすぎていて俺が疑われるんじゃないだろうか、と思って怖かったので、電話があった事とバイトでT山にいると言っていた事だけ警察に話した。

警察はT山を捜索したらしいが死体は見つからなかった。Nの行方もわからないままだ。

その後も知らないやつからの着信がたまにあるので怖くてケータイの番号を変えた。しかし犯人がNのケータイを見たのなら名前も知られたという事になる。

【恐怖・マジキチ】チャイムおばさん

大分の俺が住んでた地域では誰もが知ってる話。

夜19時から深夜にかけて、ほぼ毎日ご近所の家のチャイムを鳴らして「こんばんわー吉岡でーす、お届けに参りましたー」

って言って去っていく通称チャイムおばさんって人がいた。

お届けに、なんて言ってるけど別になにかお仕事とか親切でなんか届けてるわけじゃなくて、おそらく病気でそういう行動してるんだと思う。

まぁ皆「また今夜もきたか…」くらいな感覚でいつも無視してるし、ウチもそんな感じで無視してた。

朝にはチャイムおばさんが昨夜お届けしてくれたであろう結構な量の砂が玄関にぶちまけられている。

まぁこのお届け物はランダムで、大量の葉っぱとか石とかたまにお菓子なんかもあって、学校では今日はなにが届けられてた~、だのまた砂だったわ~、などで盛り上がったりもしていた。


まぁ色々あるといっても主には砂で、朝は朝刊とって玄関そうじが日課になってたんだ。

んである日のこと、家に親戚一家が遊びに来て俺と同い年の親戚の子にその話しをしたら俄然興味持って、今日きたらドアの覗き穴から監視してようぜ!みたいな話しになった。

俺はなんか知らんけど、あの人は無視しなければいけない人、みたいに教わってたからかなり拒否したけど、最終的に大丈夫だから!とか俺が倒してやるから!とか言われてしぶしぶ折れた。

その日チャイムおばさんは夜19時38分にやってきた。時計見ながら「今日は来ないでくれ!」って祈ってたからかなり覚えてる。

ピンポーン

ピンポーン

「こんばんわー吉岡でーすお届に参りましたー」

って声が聞こえてきた。

部屋で待機してた俺と親戚の子はダッシュで玄関まで走ると、お互い交互に覗き穴からチャイムおばさんを覗いた。

そこには普通のおばさんが大きなビニール袋から大量の砂をぶちまけてる姿があって、俺はそれ見てビビりまくっていたんだけど、その時、親せきの子が何を思ったのか玄関開けてチャイムおばさんに

「何してるですか?」

って話しかけた。

その瞬間、チャイムおばさんは親戚突き飛ばして俺も突き飛ばして部屋に侵入してきた。

俺が起き上がる頃には他の家族が晩酌してたリビングからぎゃぁぁぁ!!とかうわぁぁぁ!!みたいな悲鳴が上がっててダッシュでリビングに向かうと、なぜか体育座りしなざら体を左右に振りまくってるチャイムおばさんが凄い形相でおばさんの目の前に立ってる俺の妹を睨み付けてた。

んっふー!!んっふー!

みたいな呻き声あげながら。

妹はもう恐怖で動けないみたいで顔面蒼白でチャイムおばさんを見つめてた。

家族親戚皆恐怖で動けなかったんだけど、ひとり我に帰った父親がそっと妹に近寄って手を引いてリビングを出た。

その後無言で他の家族親せき一同もリビングを出て二回の俺の部屋に鍵かけて避難した。

一時間近く無言で俺の部屋で身を寄せ合ってたんだけど、それからちょっとして親父と親戚のお父さんが

「そろそろおらんくなったかみてくるけん」といって一階に降りていった。

まぁそれで親父たちが部屋の隅々まで確認したけどチャイムおばさんは消えててその後全員で戸締まり確かめて全員一緒の部屋で寝た。

次の日俺らはかなり怒られ大泣きしたの覚えてる。

その後もチャイムおばさんは夜には訪れていたが、俺が高校で遠方に進学するのを気に俺だけ大分を離れてしまったため、その後のことは知らなかった。

けど、大学3年なって今年のGWに久々に大分帰ったらあのチャイムおばさんはかなりオカルトな存在になっててびびった。

まずあの砂なんだけど、今思えばかなりサラサラした砂だったんだどうやらそれは近くの山の上にあるお城跡から持って来てるらしくて、まぁ入手経路はいいんだけど、問題は砂を各家にまくスピードが異常に早い。

大体チャイムおばさんが出現するのは19時から深夜0時なんだけど確実にその時間内に100件近くは回ってる。

しかも大量の砂を持って移動してるにもかかわらず、砂を女の人が運んでる目撃証言は皆無に等しいくらいない。

もう一つはチャイムおばさんの住所が不明なこと。

俺の家の跡にもチャイムおばさんに乗り込まれた事件が一件あったらしく、町内の会議で止めるよう求めるため住所を調べようとしたが誰も分からんかったらしい。

まぁ一度警察に連絡したらしいから警察とかは分かってたのかも知れないけど、親父やご近所周りではいまだにどこから来て、どこに消えるのか謎らしい。

最後に今はチャイムおばさんの出現率はかなり減り一ヶ月に一回あるかないかくらいらしい。実際俺もGW中は会えませんでした。

とまぁこんな感じのたいしたオチもない話です。

※閲注※あの男は部屋の中で一体なにをしていたのか…[気持ち悪い内容なので苦手な人は見ないでください]

忘れ去る前に記録するつもりで書きます。これは業務中に起こった変わった体験です。話に出てくる同僚はまだ勤めています。

自分は数年前に北陸のCホテルでフロント業務をしていました。その時の話です。

普通のビジネスホテルなので当日深夜のフリー客に関しては基本的に受けたりしません。それに都会ではないので、深夜に宿泊を依頼してくる客はトラブルの匂いを隠せないのです。

その日はすでに午前2時を回っており、仮眠の準備を始めた時の事でした。

「ルルルル…」

電話のカン高い呼び出し音に少々焦りながら受話器を取り応対を始めました。今から一部屋取れますか?の質問に、今夜は満室にしておりますと丁重にお断りしました。

一応その日勤務の同僚に、先ほどした電話でのやりとりを手短に説明しておく事にする。

「さっきのフリー予約が少し変だった。断ったのでフロント来ても入れちゃ駄目だよ」

同僚が承諾してくれたのでトイレと歯磨きを済ませるべく席を立ち別のフロアへ…

用を済ませてフロントデスクに戻ってくると昨日のチェックイン時に覚えのないお客の顔が、同僚に聞くと自分がフリー予約を断った客のようだったが、同僚は断れずチェックインの最中だった。

仕方ないので泊める事にしたが、防犯の事もあるので通常の客よりも注意深く観察する事にした。

もう変とかそういうのではなく、あきらかに普通じゃない風体に愕然とした…やばいと感じる。

まず、夏なのにコートを着ている。ファッションではない。薄汚れた染みだらけのコート、汚れた帽子を深く身につけ、その脇から洗ってはいないであろうベトベトな髪の毛が見えた。

しかしそんなのは普通と思えるほど他に異常な部分がある。それが圧倒してどうしてもそっちに目がいく。

それは皮膚のいたる所に”カサブタ”があるのです。しかも鮮血と膿(うみ)に塗れているためによけい目立ちました。

宿泊表に連絡先を書いている最中も血があふれ、膿がにじみ出ており、フロントデスクにも飛び散っている。同僚は目が極端に悪いため、おそらくは見えていないのかもしれませんが普通に応対していました。

前受け金として通常よりも多めの1万円を預かり、翌日アウトの際にお釣を返却する事を説明した。逃げて料金が回収不能にならないようビジネスホテルでは当然の対応なのだが慣れていないようだった。

鍵を渡して部屋にあがってもらい、なぜ入れたのかと同僚と揉めたのだが、それも止めて仮眠する事にした。

「おおい!A君!起きてくれ!逃げられた!!!」

時計を見たらAM5時、、、なんなのよ…全く。寝起きで頭が回らないのだが、同僚のあわてぶりが尋常じゃないので説明してもらう事にした。

「やっぱりあの客が逃げた」

あの客とは深夜のフリー客のようだった。やっぱりな…だからいったんだ。でもまだAM5時だし、鍵を持って出てるから散歩かもしれない。なにより1万円の預かりがある。

同僚のSさんになぜ1万円の預かりがあるのに逃げたと思うんだ?と問いかけると予想外の答えが返ってきた。

「早朝に自動ドアの音がしたので朝刊だと思い取りに行ったら、点々と血の跡が駅方面へ続いていた」

「ピンときたので深夜のフリー客の部屋に行くとベットも使ってないし鍵も消えていたんだよ」

でも逃げた事にはならないでしょ。同僚にそううながしたのですが納得してくれない。

「宿泊表の住所はデタラメだった。電話番号は繋がるんだけど誰も出ないんだよ。おかしいよ絶対」

じゃあ最終チェックアウトのAM10時までに帰って来なかったら考えましょう、という事で落ち着いてもらった。

結局、あの男は帰って来なかった。しかしどうでもいい、預かり1万円で部屋未使用なら丸儲けだし。と、そこにルームメイクさんが

「A君!A君!ちょっと!きて!早く!!」

とあわてふためいてやってきた。
どうしました?と聞くと

「あんなの見たことないから黙ってついて来て!」

とあのフリー客の部屋に案内された。
え?ここに何が?

「とにかくA君!風呂場見てよ!」

部屋に入るとひどい臭いに鼻を突かれた。ちょっと嗅いだことのない臭いだった。

何が近いかというと食肉センター等で死がいを焼く臭いのような感じ、ユニットバスの戸を開けると凝縮されたその臭いが一気に開放され顔面に叩きつけられた感じがした。

バスタブ前の床には血の付いたトイレロールが無数に捨ててあり、便器の中には理解しがたい物が詰っている。

それらをやり過ごしバスタブのカーテンをつかみ勢いよく横に引いた…目の前には壮絶な光景が見えた。

恐らく水深は20~30cmぐらい。どす黒い、というかそう見えた水に無数の人間の皮膚やカサブタが浮いていた。

見ただけで吐き気をもよおすのが臭いも手伝ってさらに加速する感じだったけど一度部屋から出て落ち着く事に。

「A君、あんな客からはそうじ代もふくめてふっかけなきゃ駄目だよ」

と冗談まじりに言われ思い出した。

あ、そういえばSさんはフリー客の自宅電話は繋がったと言ってたな…かけてみるしかないな…

フロントデスクに戻り女性スタッフに当日の集計をお願いし、Sさんにはあの男の清算処理を頼んだ。

早速あの男の自宅に電話をかける「ルルルルルル・・・ルルルル」呼び出し8回程で通信可能になった。

おはようございます。私CホテルのAと申しますが××〇〇さんのご自宅でございますか?と聞いた、が

「はい、おはようございます。〇〇火葬場です」

、、悪い冗談だよな?これ…

何度聞きなおしても〇〇火葬場のようだったので少し経緯を説明して電話を終える事にした。

フロント処理がすべて終了した後に同僚を少しとがめた。やはりルールを守らないとロクな事がない。そこへルームメイクさんが

「あれ一体なんだったの?流れないし全体的にゼリーのようだったわ」

と質問してきた。

憶測ではあるがあの男が関係しているのは事実だと思う、しかしあのグロテスクな溶液がどうやって溜まったか。

それだけはもし真実を知っていてもメイクさんに伝えるのは止めることにした。やめられると困る…

ひどい臭いが留まったままのその部屋は今もお客様を泊めている。

あの液体がなんだったのかわからない。思い出したくもない。あの男はなんだったのか、今となってはどうでもいい事かもしれない。本当に奇妙な体験でした。

あの男は3時間程いた部屋の中で一体なにをしていたのか…なぜ、火葬場の電話番号を自宅連絡先として選んだのか…

それよりもあの出血で街中を歩けば目立つのに目撃者もいない…自分はドッキリテレビにダマされたと思う事にしている。

【京都】タクシー運転手の不気味な会話

これはまだ僕が京都で大学生だった時の話です。

当時バンドを組んでいた僕は、週末の夜になるとバンドメンバーとスタジオに入り練習をしていました。

その日練習が終わったのは夜の一時。季節は夏で、京都特有のけだるい、のしかかるような蒸し暑い夜でした。

そのスタジオは家から遠く、いつもはバスで帰るのですが、時間的にもうバスも走っていなかったので仕方なくタクシーを拾いました。

背中に背負ったギターケースをおろし、あー、無駄な出費だなぁ、次のライブのノルマもきついのになあ、なんて思いながらタクシーに乗り込みました。


50代くらいのどこにでもいそうなおじさんが運転手でした。ガンガンに冷房の効いた車内が汗をかいた体にありがたかったのを覚えています。

「〇〇通りまで」

と、行き先を告げると運転手さんが話しかけてきました。

「〇〇通りに住んでるってことは〇大の学生さん?」

「はい、そうです」

「あの近く、ボーリング場があるでしょう?私ボーリングがすきでねぇ、社のボーリング大会でも結構いいとこまで行ったんですよ」

「へえ、そうなんですか」

正直そのときは練習のあとで疲れていたので話したくはなかったのですが、気さくに笑った目元がミラー越しに見えたので、話し好きのいい運転手さんなんだなと思い、しばらく相槌を打っていました。

そうして話し込んでいると、妙な違和感を感じはじめました。こちらの返答とまったく関係のない話が急に出てきたり、なんとなく話の前後が合っていないのです。

まぁ、そういう話し方をする人はたまにいるよなぁ、と気にも留めていませんでした。が、しばらくすると、

「…ところで〇〇通りに住んでるってことはもしかして〇大の学生さん?」

「あ、はい」

「あの近く、ボーリング場ありますよね?私好きなんですよ。こう見えてうまいんですよ」

「…」

「〇大の学生さんっておっしゃいましたよねぇ?」

「あ、はい」

「ボーリング場の近くですよね?いいなぁ。実は私ボーリングが趣味でして」

「あの…」

「〇〇通りの近くはいいですよねえ、あ!〇大の学生さんでしょう?」

「あの近く、ボーリング場があるでしょう?私ボーリングがすきでねぇ、社のボーリング大会でも結構いいとこまで行ったんですよ」

「〇大の学生さんっておっしゃいましたよねぇえ?」

こんな感じで、会話がずっと同じ内容でループし始めたのです。

もの忘れがひどい年齢には見えませんし、そういった類のものとは違う、なにか得体のしれない不気味さを感じました。

僕のうつろな返答にかまわず、運転手は延々同じ話題を繰り返しています。密閉された真夜中の車内は、暗く重く、いやな汗が背中から吹き出し、効かせすぎた冷房に冷やされて寒気さえ感じていました。

ミラー越しにはさきほどと同じ笑った目元が張り付いたままでした。

突然、会話がふっと途切れました。この奇妙な会話から解放されたのか?と思った瞬間、

ドンッ!!

という衝撃音が車内に響きました。ビクッ!と身体を硬直させながら見ると、運転手が左足を、まるで何かを踏み殺すかの勢いで床に打ち付けているのでした。

それも一回ではなく何度も何度も。ドン!ドン!ドン!と。

「ああああああああああああああああ。あああああああ!!!」

さらにはこんな唸り声まで上げ始めました。運転手は足を、今度は貧乏ゆすりのようにゆらしているのですが、力いっぱい足を上下しているので車がグラグラ揺れるほどでした。

なぜ?前の車が遅かったのが気に障ったんだろうか?それとも僕が何か怒らせることを言ったんだろうか!?ていうかこの人ちょっとおかしいんじゃないか!?僕は完全に混乱してうろたえていると、

「お客さぁん、〇〇通りに住んでるってことはもしかして〇大の生徒さん?」

…と、また同じことを僕に聞いてきたのです。グラグラと貧乏ゆすりをしながら。目元にはあの笑顔を張り付けたまま。

この時僕は、もはや違和感や不気味さなどではなく、はっきりとした恐怖心を抱いていました。

自分の命を、明らかに異常な男の操縦に預けている。これを意識した時の恐怖は今でもはっきりと思い出せます。

しかも運転は明らかに荒くなっており、曲がるたびに右へ左へ体がふられ、前を走る車にはクラクションを鳴らして強引に前に割り込んでいくのです。

京都のタクシーが運転が荒いのは知っていましたが、乗客に死の恐怖を感じさせるほどではありません。このときは、本当に死ぬかもしれないと思いました。

おろしてくれ!と叫びたかったですが、情けないことに、人間本当に怖いと声が出てこなくなるようです。

なにより、運転手に下手な刺激を与えたくなかったので、僕はただただじっと石像のように固まっていたのでした。

…そして、恐ろしいことに車は〇〇通りへはあきらかに行けない方向へ進路を変えだしたのです。もう限界でした。ぼくはやっとのことで

「…あ、お、おろしてください!ここで、ここで大丈夫ですから!」

となんとか声を出しました。
…すると、意外にも運転手は

「あれ、そうかい?ここじゃ遠くないかい?」

とごくごく普通なトーンでしゃべりながら車を脇に寄せました。

話相手にしちゃってごめんね~などと言いながら、さきほどと比べると不自然なほど自然な対応で運転手は僕に金額を告げました。

僕は、さっきまでの恐怖心は、自分の思い過ごしだったのか?僕が神経質に感じ取りすぎていたのか?と、いったい何が現実だったのかわからなくなるような、夢を見ていたような気分でした。

解放されたということで少し放心状態でもありました。…とにかく、外に出よう!そう思い急いで金額を渡し、運転手の

「ありがとうございました!」

という声を愛想笑いで受けながら、ギターケースをひっつかんで外へ足を踏み出そうとすると、運転手が、あの張り付いたような笑顔で、こう言いました。

「…お客さぁん、もしかして〇大の学生さん?」

以上が僕の体験した怖い話です。そのあと近くの友達の家に駆けこんでこの体験を話したんですが、うまく伝わりませんでした。

体験した僕以外は怖くないのかもしれません。ですが、あの異常な運転手は今でも京都の夜を走っているかもしれないと考えると、得体のしれない恐怖がよみがえってきます。

京都の方はくれぐれもお気を付けください。ちなみにそのときは四条大宮で乗りました。長文駄文失礼いたしました。

派遣会社で働いているんだがたまに不思議な事がある。特に印象的だったのは氏んだはずの人間を派遣していたと発覚した時。

派遣会社で働いているんだが、たまに不思議な事がある。(俺は派遣社員ではなく、派遣会社の社員)

俺の所から派遣している派遣社員が急に行方をくらますとか。たまにある。

特に印象的だったのは、「バックレかよ…」とか思いつつ事後処理に頭を悩ませてたらマジで失踪だと発覚した時と、そもそも死んだはずの人間を派遣していたと発覚した時。

前者は事務処理の手間が何倍にも膨れ上がって俺がバックレそうになった。

後者は「登録時の手違いで、偶然にも死人と同姓同名・同じ生年月日・住所・学歴・職歴その他が一致した」


結局、スタッフはバックレたという事になった。

サラリーマンの幽霊なんて話はたまに聞くが、死んでまでわざわざ派遣に登録しに来るっていうのは不可思議でならない。

【リアルガチ】人間って本当にタヒに直面したらガタガタ震えるのを初めて知ったよ

一応実体験、2ヶ月位前ね。

前住んでたアパートの話。派遣だけど、少し給料がいい所見つかったから働く事になったんだ。

実家からは結構距離があって、朝は毎日6時に起きてた、でも朝は苦手だし、仕事は終わるの遅いし、早起きが結構苦になって会社と実家の中間くらいの所にアパートを借りる事にした。

その借りたアパートの隣に変な奴がいたんだよね。そいつがとにかく変だったんだよ。何て言うかな、自殺願望あるくせに怖くて最後の一線を越えれない感じの奴。

アパート借りた初日に管理人さんが俺に言いに来る位の奴でさ、本当良く追い出されないでいたよなって思う。管理人さんが良い人だったからかな。


結構自殺騒ぎにも迷惑したし、救急車を呼んだ事もある。とりあえず、どんな感じかを順をおって説明する。

1.日曜の真昼間にいきなり「いてーーっっ」と大声を上げる、見に行ったら剃刀で左手首の薄皮切ってた。

2.夜中にアパートの裏から物凄い音がする、破材置き場のトタン屋根の上で悶えていた。

3.多分首吊りしようとしてたんだろな天井の一部を抜かす、管理人ブチ切れる。まだあるけど、とりあえずこの位。

で、正直迷惑でしかなかったし、嫌だったんだけど、本当に死なれたら死なれたでお隣りさんという事もあって後味悪いなって思ったんだ。

で、ある日仕事が早めに終わってアパートに帰ったらちょうどそいつも帰って来たみたいで鉢合わせたんだよね。最初軽く頭下げるだけだったんだけど、思い切って気になる事聞いたんだ。

「何でそんなに死にたいんですか?」

今でも結構ストレートだったなって自分で逆の意味で感心する。本人からしたら無神経な言葉だし、そしたらそいつ物凄い落ち込んで泣き出したから逆に俺がオロオロして、俺ん家に上げたんだ。

で、身の上話をされたんだよね、初めてちゃんと話す相手にする内容じゃないと思うような事だと思うけど、簡単に言えば親が離婚して母親に引き取られた。

その後母親が再婚したけど、その再婚相手から虐待されて今も生活に必要な金以外は全部取られてるらしい。通りで時々怖面のおいさんが来てると思った。

でも正直に言うと非現実的な感じがして、普通にこんな事言ったんだ。

「なら逃げればいいんじゃない?金払うと思えば遠くへ行けるし」

そう言ったらまた泣き出す。再婚相手は母親にも暴力振るうらしくて金を払わなかったら母親に八つ当たりするらしい、確かにそれは可哀相だが、自殺する事と比べたらどうだろうかと思う。

で、この後言った一言が不用意だったんだよね、今さらだけど

「俺だって死にたくなる事あるけど、頑張ればどうにかなるよ」

そう言った瞬間そいつパーッと明るくなってさ、凄い笑顔で見てくるんだよ。多分仲間がいたとか思ったんだろうか。

で、その時は元気になったと思ったからそのまま帰したんだけど、次の日から怒涛の押しが始まった。

まるで見張ってんの?って言いたくなる位に鉢合わせる、まあ普通に会って軽く話す分はいいんだけど、何かいつもニヤニヤしながら話しかけて来るから、正直気味悪かった。

で、初めて話した日から一週間位した時かな、また鉢合わせて、軽く話してたら
「日曜に家にきませんか?貰い物のお菓子があるから」

って言われて、予定はないし、しかも聞いたら好きなお菓子だったから了解したんだよね。現金な奴で申し訳ない。

で、日曜に初めて部屋に上がったんだけど、綺麗というか見事に物がない。

家具すらほとんどなくて、食器も台所にタオル引いて逆さにした分だけ。あったのは炊飯器と冷蔵庫と扇風機と布団と折りたたみ机がある位だった。

でも巻き上げられる話聞いてたし、気にしない事にしてお菓子を頂いたんだが、何か様子がおかしいんだよね。挙動不信というか、あまりに変だったから「どうかした?」って聞いたら、いきなり訳分からん事を言い始めた。

「いや、〇●さんはどんな風に死にたいのかなと思って」

何言ってんだ、コイツと思って

「死にたいって何?俺そんな事言ってないよ?」

て言ったら、涙目でキチガイになったみたいに叫び出した。

「死にたくなるって言ったじゃないか」

みたいな事ずっと叫んでた。

で、その瞬間「何かヤバイな」と思ったから素早く玄関に走ったけど、用意周到にチェーンみたいなのを付けてたから開けるのが遅れたんだ。

ガチャガチャしてやっと開いたと思って外に飛び出す時にふとそいつ見たら充血した目で凄い睨んでた、左手は見えなかったけど、何か持ってた感じだった。

本当に怖かったのはその後なんだけどね。

で、家に帰ってしっかり鍵閉めて気を張ってたんだけど何事もなかった。まだまだ気は張ってたんだけど、戸締まりは万全だったから布団に入ってたら、いつの間にか寝てたんだよね。

で、夜中に「ゴッ」て音で目を覚ました。その時はまた隣かなって思ったけど、今回は気にしないようにしようって思ってまた寝たんだ。

そしたら朝方、玄関のドアをノックする音で目を覚ました。恐る恐る玄関に近付いたら警官だった。警官は真っ先に俺が大丈夫かを聞いて来たが何がなんだかわからなかった。

で、ドア開けたら新聞配達の人もいて、事情を聞いたら、その前に見た方が早いと言われて玄関を見たら包丁が深々と刺さってた。鍵穴もぐちゃぐちゃになってた。

新聞配達の人は強盗か空き巣と思って警察に連絡したらしい。警官から色々質問されて、心当たりはないか聞かれたから真っ先に隣の奴を上げた。

十中八九間違いないし、隣にそんなんがいるのに安心して暮らせないし、金がないから引っ越しも出来ないから。

で、警官が状況検分とか色々言って刺さったままの包丁と鍵穴の写真を撮ったりしてた。俺の証言じゃ完全な証拠がないと捕まえたり出来ないらしいから、とりあえず毎日パトロールってなった。

で、そんな事あっても仕事は休めないし、でも怖かったから朝と夕方警官に迎えというか待機してもらってた。田舎だからか結構親身になってくれたんだよね。

まぁそんな感じで一ヶ月位たって、鉢合わせもないし、何の行動もないし、俺も警官も大丈夫だろってなったんだよね。それでもパトロールはしてくれるみたいだけど、朝、夕方の待機は止めたんだ。

でも油断してた時が一番危ないって本当なんだよね。待機を止めて3日後位だったかな、その日は残業でかなり遅くに帰ってたんだ。

家に帰り着いて玄関の鍵開けた瞬間に隣のドアが開いて凄い勢いで走って来たんだよ。

真面目に「ヒッ」って声出してバタバタ入ろうとしたけど、隙間に右足入れられて、思い切り包丁突き付けられた。

閉めるのをあきらめて、部屋の奥に逃げた。したら鍵とチェーンみたいなのしっかり閉めて、包丁向けたままこっちに来たのね。

人間って本当に死に直面したらガタガタ震えるのを初めて知ったよ。

充血して血走った目向けながらブツブツ言ってんの、部屋真っ暗で月明かりだけだったから本当にホラーだったよ。

もう無我夢中で色んな物投げたよ、食玩とか本とか、投げた中で一番重かった目覚まし時計が目にヒットして奴がうずくまった隙に窓からダイブ、今度はトタン屋根で俺が悶えてた。

その音で他の住人が出て来て、巡回中の警官がやって来て、奴はあえなく御用となった。

懲役望んだんだけど、精神鑑定の結果で精神病院行きが決まった。これで平穏な日々が帰って来ると思ったけど、そうはうまくいかなかった。

3ヶ月位して、そいつ病院抜け出して会社に押しかけてんの。ちょうど、営業出てた時だから良かったけど、本当怖かった。

そいつ格好が格好だったから受付に不審に思われてまたも御用となった。その後は重病者の部屋に移ったらしい、多分拘束衣を着せられるのかな。

でも俺はそれがいけなかったようでクビではないけど、遠回しに会社をやめさせられる事になった。で、今は実家で就職活動中。

アパートの管理人さんとは今も仲良くて、たまに飯食い行くけど、その時聞いた話によると、食事時に舌噛んで死んだらしいと噂。

精神病院の情報が他人に漏れるとは思わんが、本当だったら俺は自殺志願者を本当の自殺者にしてしまったのかもしれん。

今回得た教訓は、下手な好意は人によっては逆効果って事だった。

終わり。

当時付き合ってた彼女と別れて一週間後くらいに知らないアドレスからメールが来たのが始まりだった。

10年前の話。
当時付き合ってた彼女(Y子)と別れて一週間後くらいに知らないアドレスからメールが来たのが始まりだった。

かいつまむと

「突然のメール申し訳ございません。僕はY子さんとバイト先(某コンビニ)が一緒の田辺と申します。実はY子さんのことが好きになってしまいました。彼氏だったオレさん(実名書かれてた)に相談したくてメールしました」

まずお前誰だと。いきなり知らない人にメール?しかもオレがY子の元彼ってなぜ知ってんのかと。

知ってんのはまだしも、なんでオレのメアド知ってんのかと。ふつうに気味悪さに寒気がした。


とにかくメールは長文で田辺がY子をどんだけ好きなのかがびっしり書いてある。で、最後に「Y子さんをどうやったら振り向かせられるか教えてください」と。しらねえし、お前こええよwww

で、シカトしようかとも思ったんだけど、逆恨みされるのもイヤだから、返信。

「今はY子と別れて連絡もとっていません←実際連絡とってない。そんなに好きならしっかり想いを伝えてしまえばいいと思いますよ。頑張ってください」

それから数時間後、返信が。

「ありがとうございます。全力で頑張ろうと思います。オレさんに相談して勇気が湧きました。よかったです」

さすがにキモかったので返信せず。それからほぼ毎日田辺からメールが来る。

「今日は一度Y子さんと話せました」

「今日はY子さんと一緒に発注についてやりとりできました」

「今日は出勤時間が一緒で偶然会え、バイト先までいろいろ話せました」

こんな感じの報告メールが一日一回のペースでくる。キモいし関わりたくなかったので一切返信しなかった。それでも毎日こんな感じのメールがきた。

1週間ほどしてからメールの内容が変わってくる。

「なんでY子さんは僕の気持ちに気づいてくれないんでしょうか」

「Y子さんはいろんな男に愛想がよすぎる。男に話しかけられると皆に笑顔です。八方美人は嫌いです」

「僕のことをY子さんは馬鹿にしているんでしょうか」

明らかに報告からY子への嫉妬むき出しの内容に変わった。それでも無視を続けていたら、とうとうすごいメールが届いた。

件名は「良い事を思いつきました」

「今日、Y子さんの夕勤帰りに僕の友達を使って襲わせます。そこに僕がたまたま通りかかったことにして助ければY子さんも好きになってくれるはずです」

さすがにやばいと思ったオレはそのとき初めてY子にメールをする。Y子と同じバイト先の田辺ってやつがヤバイ、今日襲うとかいってるから帰りは皆で一緒に明るい道で帰れ、と。

Y子からメールが来る。

・田辺なんてバイト先にいない。ってか男自体がオーナー以外今は勤務先にいない。

・確かに今日は夕勤で23時あがり。

・友達と帰るから大丈夫。やばけりゃ交番近くにあるから大丈夫。

こんな内容だった。

田辺が実際にいない人物と分かって鳥肌がたったのを覚えてる。気味悪かったがY子にも連絡できたことで少しだけ安心する。同時に田辺へ返信。

「Y子に伝えました。変なことはしないほうがいいですよ」

田辺から返信はなかった。

夜になり、オレはやることもなく家でゴロゴロしてた。23時過ぎても田辺からの返信はなく、Y子からも特に連絡なし。

ホッとしてるといきなり着信音がなる。Y子からだった。電話に出ると半べそでパニック状態のY子の声がした。

Y「どうしよう、〇〇駅(最寄り駅)ついてから変な人がずっとついてくる」

オ「!?どんなやつだ!?」

Y「怖くて見れない。けどずっとついてきてる」

オ「とりあえず交番いけ!」

いきなり家のチャイムがなる。
心臓が止まりそうになる。

おそるおそるドアを覗くと…Y子だった。オレの家とY子の家はすぐ近所。一人暮らしのY子はあまりの怖さでうちに来てしまったらしい。

開けるとY子はものすごい真っ青な顔で泣きまくってる。すぐに家にいれて鍵をしめる。

オ「オレの部屋に入るのは見られたか!?」

Y「わかんない。でも近くまでずっと付けられてたのは確か」

勇気を出してベランダから外を見るも人の気配はない。正直オレ自身もものすごいパニックになっていて、田辺にメールをする。

「警察に今連絡をしました。今までのメールも全て残してあるので証拠になります。もうすぐ警察が来ますのでこれ以上のことはしないほうがいいですよ」

ちなみに今考えれば警察に本当に連絡すればよかったものの、なぜか連絡しなかった。ガキだったこともあって警察に巻き込まれるのがなんとなく嫌だったんだと思う。

どう考えても警察にいっていい内容だったと思うが。

Y子にはバイトを次の日休ませ、なにかあったら本当に警察に行こうという話をした。チャイムが鳴るんじゃないかと相当びびりながらすごしたが、結局その日は何も起こらなかった。

翌日、田辺からオレにメールが来た。最初のメールのときのように敬語で長文。内容としてはこんな感じだった。

・どうかしてました。本当にごめんなさい。

・実は僕は田辺という名前ではありませんし、Y子さんと同じバイト先というのも嘘。

・Y子さんのバイト先にたまたま買い物をし、一目ぼれをしてしまった。

・ある日、近くの居酒屋で飲んでいるときに偶然Y子が何人かと飲みにきて横のテーブルにきた。

・Y子達はオレと別れたドンマイ飲み会できていたらしく、ベロベロに酔っ払ってオレの名前をいっていた。

・友人にY子がトイレへつれてかれる。テーブルに誰もいなくなったとこでY子の携帯を見てオレのアドレスをメモ。その後オレにメールした。

・もうしません。本当にすみませんでした。

それからオレにもY子にも何も起こらなかったこともあり、結局犯人が誰だったのかはいまだにわかっていない。

長文失礼しました。オチになんのインパクトもないけど、人生で自分的に一番怖い体験でした。

【3.11】津波の時に俺を10年ほど虐待したバアさん葬った話需要ある?

まあ書いたことそのままなんだけど、俺は11歳頃まで父方の実家で、父・母・祖父母(+数年後に弟)と一緒に暮らしてた。

で、この祖母と母の嫁姑仲が最悪に悪かった。そこから恐らく全て始まったんだけど、まずババアは母の出産自体気に食わなかったらしく、生まれたばかりで退院して間もない俺の額を指で凹ませて殺そうとしたことが二度ほどあったらしい。

んで当然ながら時間がたつにつれて和解。おばあちゃんは優しくなりました。

なんてことはなく、まあ虐待じみたことを10年ほどがまんしてたんだが、ついに母親が切れて父と離婚→俺と弟を連れて引越しし、ババアとの縁は切れた。

かに思われたんだけど、その日、去年の3/11の時にはちょうど爺さんの命日で、爺さんには何かと世話になったということで、実に9年ぶりに父方の実家に戻っていた。


その時家にいたのは俺、弟、ババアの三人。(母と父は仕事で夜に来ることになっていた)ちょうど出前の昼飯を食い終わり、コタツで週間ナントカという女性向け雑誌見てる時だった。

バキン!ととてつもない音がなり、家全体が持ち上げられて落とされたような衝撃。それからバキバキと家全体を鳴らしながら本当に身動きが取れないほどの縦揺れが続いた。

俺は四つん這いでコタツから這いでて玄関に向かい、高速自動ドアと化してる扉を抑えつけて大声で弟を呼んだ。

爺さんの書庫で官能小説漁ってた弟が同じく四つん這いで生まれたての子鹿みたいに這って出てきた。

その時、ババアは仏間。完全にババアのことは頭になかった。
なんとか弟を家から出し、降ってくる瓦を避けながら庭で2人うずくまっていると、ガラス越しに仏間でうずくまるババアの姿が確認できた。

その頃には揺れがだいぶ収まっていて、他の家々から人が出てきて安否確認なんかをしていた。俺は何を思ったか再び家に、ババアを救助しに入った。

ババアは半分泣きながら爺さんの位牌と経典?のようなものを抱えて、何かぶつぶつと念仏のようなひとり言のようなものをつぶやいていた。俺は硬直してるババアの腕を取って

「ばあさん危ないから家出よう」

とかなんとか言った。
ここでババアまさかの

「やんた(嫌だ)」発言。

家の中はめちゃくちゃ、瓦もガラスも散らばっていて、外では防災無線がガンガン鳴り響いている中、

「えさいればいい!おはいる!(家にいればいい!私は逃げない)」

俺パニック。家は高台にあったが海に近く、津波はとてもここまできそうにないが次揺れたら家は潰れそうなくらいのギシギシっぷりだった。

ババアの両肩をつかむと羽交い締めのように抑えつけ、比較的ガラスが飛び散っていない縁側からババアを連れて脱出した。

ババアは発狂していた。外では防災無線がますます鳴り響き、海抜の低い下の方の家の住民がわめきながら坂を登ってきたり、糞狭い小道を軽トラがギチギチに占領していたりでえらい騒ぎだった。

ババアは庭に出してもまだ尚何か叫んでいて、家は誰が守る?とか、通帳はどこだ?とかあとはほとんど訛りが強くて聞こえなかったが、とりあえず大いに取り乱していた。

弟だけは冷静に携帯を開き、電波が全く通じないこと、恐らく津波が来ること、車で逃げると死ぬかもしれないこと、母と父は内陸部にいるので恐らく無事であろうことを淡々と俺に説明した。

この時点で恐らく15:00ころ。

家の脇の道路を見ると車がありえないほど渋滞していて、車の隙間を縫うように下から人が避難してきていた。ここでババアがまた大声を出す。

「遺影もってこ!!(遺影を持って来い)」

その後、通帳とタンスの金もだ!とまくし立てるように言うと俺に指を差した。

俺「そんな時間ない!山に上がるぞ!」

弟「裏から行こう。ばあちゃん俺が担ぐから兄は道確保して」

ババア「おらはいかねえ!爺さん置いてくのか!?財布も忘れだ!!」

ババア、頑として譲らない。

そこで俺もちょっと油断した。うちは高台にあるから津波なんてここまで来ないだろ。ババアを黙らせるためには仏壇の写真をとってくればいいんだ。

弟に先にいけ、ばあさんは俺が連れて行く。と言い、再び家に。余震が続いていてガラス片がバリバリいいながら降っていた。

俺が倒れた仏壇の下から遺影を引っ張り出していると、なぜか家の中までついてきたババアが

「それでねえ!大きいのだ!上のだ!」

と、梁に立てかけてある、肖像画くらいの大きさの爺さんの遺影をアゴをしゃくって挿した。

梁ははしごを使わなければとても手が届かない。俺もだんだん冷静になって頭に来始めて、

「そんなもん無理だ。自分で取れ!」

と怒鳴った。家の外から

「来たぞー!!」

と誰かが叫ぶ声が聴こえた。

また余震だと思った。とんでもない音で地鳴りが鳴り始め、外では逃げろ!とか早くしろ!とか、一人ではなく大勢が叫んでいた。

ただならぬ気配に外に飛び出した。坂の下、海のほうを見下ろすと砂浜がなかった。真っ黒い墨汁のような水が防波堤ぎりぎりまで満たされていた。

「津波だー!!」

と、誰かが叫んだ。

俺「ばあさん!だめだ!もうダメだ!津波が来た!写真持ったべ?逃げるぞ!」

ババア「財布はどこだ!?」

坂の下の方では声をかき消すくらいバリバリと雷と台風でもいっぺんに来たような轟音が鳴り響いていた。

俺は問答無用でババアの腕をつかんで裏口へと走った。横目で坂の下を見ると、幼なじみの実家に波に流された軽トラが突き刺さっていた。

俺「ばあさん!弟は!?先に行ったか!?」

ババア「財布とってねえ!おめえ、写真どこさやった!?おい!」

ババアも俺に渾身の肩パンを繰り出しながらずっと叫んでいた。ずっと後ろの方で悲鳴が聞こえていた。

裏口を回って山道に出る。少し見通しのいいそこに立つと、うちの二軒下の家に大量の瓦礫がぶつかってドリフのコントのように押し流されているところだった。瓦礫の中に赤い服着た人間が混じってた。

どう考えてもここまで来る。それもあと数十秒で。あ、死ぬの?と漠然と思った。ぽかんとしている俺の肩をババアが突き落とすように押した。

ババア「写真どこさやった!おら位牌ももってねえが!!おめえ早く取って来い!!」

ババアは今津波に飲み込まれようとしている家に戻れと、俺に言っていた。

俺はそこで我に返って、急いで後ろの急斜面の何の舗装もされてない山を四つん這いで登った。ババアが俺の脚をつかんで引きずり下ろす。

俺「おい!おい!死ぬんだぞ!おい!津波来てんだぞ!」

ババア「早く行け!おめえ、誰が育てたと思ってる!?」

俺「何いってんだお前!早く登れよ!なんなんだよ!」

ババア「おらが生かしてやったんだぞ!!おめえを!あん時死ねばよがったんだぞ!早く行け!!」

泥まみれの土まみれで四つん這いのままババアを振り返ると、ババアは俺の脚をつかんで、子供の頃に見たあの人呑鬼(じんどんき)そっくりのブチ切れ顔で俺をさらに引きずり降ろそうとしている。

ババアの後ろには家と、車の塊。俺が戻れと言われていた実家はもう瓦礫にもみくちゃにされて、今まさに砕けているところだった。

ババアの顔を見て、小さい頃のババアとの思い出がパラパラマンガみたいに脳裏に蘇った。

猫が食った後の残飯を食わされたことや、部屋の隅にビニールテープの陣地を作られてそこを出ると殴られたことや、母ちゃんの悪口を書いた手紙を読まされたこと、飼ってたインコに粉洗剤を盛られたこと。

そんで出ていくきっかけは俺を生垣から突き落としたことだったなあと。

急に冷静になって、「あ、うん」なんて返事をして、腰を捻って下にいるババアの両腕を引っ張りあげるようにつかんだ。

大部分の瓦礫は道路側に逸れて、流れの早い波がさっき上がってきた裏庭を駆け上がってきていた。

俺が気の抜けた返事をしたからか、自分を引っ張り上げてくれるような動作をしたからか、ババアは一瞬素の顔に戻って力が抜けた。

そんでそのまま、両腕を持ったまま、ババアを下に向けてポイっと放った。ババアは一段下の山道へ尻餅をついて、「おい」と普段呼びかけるようないつもの調子で言った。

いつもの顔をしていた。俺はそのまま四つん這いで山を駆けのぼった。ゴーゴー爆音がそっちこっちで鳴り響いていて、夢中で登った。

今どこまで津波が来ていて、自分の進んでいる方向は正しいのか、一切わからなかった。

どのくらい登ったかは定かじゃないが、ふと後ろを振り返ってみると7mくらいの所で波は止まっていた。波が引いていくのを見て、ババアの姿を瓦礫の間に探したがもう居なかった。

あれから一年たつがババアは未だに見つかっていない。

以上で話終了。

家族で死んだのはババアだけで、ババアの死亡届は親父の手によって早々に出されたらしい。

ちゃんと探したのかどうかもわからんが、これ以降親父の親族近辺には関わっていない。

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